こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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ヒトはどこから来てどこへ行くのか(4)・・・エピローグ

2012年08月05日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
ヒトの心も、身体も遺伝情報によって支配され、動かされている。
遺伝情報は本質的に自己保存のみを目的とした存在で、ヒトおよびそのほかの生物の身体を利用して、継代していく。
いかなる物質であっても無機物であっては、いつかその姿かたちを変えさせられてしまう。それに対して、移動できる動物を用いて遺伝情報をつないでいくというのはいい方法であった。ただ、生物を用いるにあたっては問題がいくつかあったようだ。
一つは、生物の持っている遺伝情報だけでは過酷な地球上の環境に対応できない、ということだった。しかし、これに対しては別の遺伝情報を取り込んで生き延びることに成功した。ミトコンドリアだ。ミトコンドリアは固有のDNAを持っている。
例えば、ヒトの細胞にはヒト固有のDNAとともに、ミトコンドリアのDNAが共存している。DNAというものが一つの意志をもった遺伝情報であり、生き物とすれば、ミトコンドリアはヒトが生まれた時から持っている別の生命体である。
そうまでして、ヒトのみならず、地球上のほとんどの生物は生き延びてきた。

もう一つは、寿命だ。動物には寿命がある。だから、遺伝情報の伝達に遺伝情報はいろいろな生物種を用いてきた。恐竜が絶滅したのは誤算だったのかもしれないが、哺乳類が生き延びた。だが、哺乳類だけが特別な生物とは言えない。
ヒトとマウス、ショウジョウバエ、同じような遺伝子配列は多くある。
進化の系譜からは古くから保存されているもの、本質的な遺伝情報というのは皆同じである。
配列がどれほど違ったところで、遺伝情報の本体は、DNAという塩基が配列したものである。大腸菌の中でもある程度の大きさのDNAを増やすことはできる。
すべての生物の間で遺伝情報というものは共有されている。

遺伝子というものが持つ、意志のようなもの。
自分の意志ではコントロールできない遺伝子により、人々は衝き動かされながら生きていく。所詮はDNAにすぎないものの、それによって私たちがこのように生かされる。
その意志のようなものが、ヒトが畏れる神とか創造主といったようなものなのだろう。

遺伝子が発生したのは、偶然か、それとも何らかの意志によってなされたことか。

ヒトがこの先どこへ行くのか。食料やエネルギーを求め、まずは広い宇宙に出ていくのだろう。だが、私たちが認識しうる3次元もしくは4次元の世界の中から出ていくことは可能だろうか。


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