朝、駅を降りたら、胸ポケットに大きな封筒を挿して歩いてくるおじさんがいた。
駅前のポストに投函するのを忘れないためだろう。
私の場合は、家を出るとき、手にもって出る。鎌倉駅近くの駐輪場に着くまで、自転車の運転が面倒ではあるのだけど、仕方ない。何日も投函しないでいては一向にらちがあかない。
大事なことを忘れないための工夫というのはいろいろある。
職場でよく見るのが、若い医者とか、看護師さんが手に直接書くこと。手のひら、手首に数字やらなにやら書いている。
あんまり書きすぎてごっちゃにならなければいいがと思うが、どうなのだろう。
私は手帳を使う。
手帳の場合、書いたことは思い出すが、はさんだ紙を忘れてしまう。
つい先日も、自分の検査の予約票をはさんでおいたのを忘れて、あせった。
あとは、付箋。机の前の壁は見えない。
どうしても忘れないということは、忘れないのだが、どうでもよくないことなのに、つい忘れてしまう、というのはどうしてなのだろう。かえって緊張してしまうからかもしれない。
今朝、すれ違ったおじさん。あの胸の封筒、ちゃんと、投函できただろうか。
封筒を胸に挿したまま、電車に乗ってしまっては、気がついたとき、とても恥ずかしいに違いない。