こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

がんは何のためにがんになるのか?(3)不死化による不死化の失敗

2019年04月18日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

414からのつづき)

感染症が原因の子宮頸癌がん、タバコが原因の舌癌とか咽頭癌、一部の肺癌など、発がんのメカニズムがある程度わかっているがんは、全部のがんの一部で、多くのがんについての発がんの機序はわかっていない。発がんの機序がわかっている癌については、なんらかのDNA損傷の刺激がトリガーになるだろうというのは容易に想像がつく。

ウイルスが生き延びるためにヒトからヒトへと渡り歩くことが原因となったり、タバコの刺激に対して対抗するために癌になってしまったり、というようにそういう類いのがんはそのうちもっと詳しいことがわかってくるだろう。

私が声を聞いてみたいと思っているのは、高齢者のがん細胞の声だ。顕微鏡のレンズの向こうにいる大腸癌、前立腺癌、乳癌、子宮体癌、膵臓癌、甲状腺未分化癌など、ほかにもたくさんあるけど、なにがその原因になったのかがよくわからない癌。

この世にあるすべてのものには存在意義がある、そうすると、彼らは何のためにがん化するのか、なぜがんとして生きるのか。私にはそれは、生物としての延命が目的では無いかと思えるようなってきた。人間の細胞分裂の限界は50回程度、おそらくそれは、純粋培養されたようなとても環境の良い細胞のことで、他の細胞はもっと早く死に絶えていく。そこで、分裂回数が限界に近づいてきた細胞が生き残りをはかるのは想像に難くない。そこでなんとか、生き延びようと自身の遺伝子を操作して不死化を試みる。不死化能を獲得したのががん細胞であって、これがやがて人間そのものを蝕み、死に至らしめることになるのは皮肉なことである。

またいれこみすぎてるな

 

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