NHKのど自慢の予選に参加してよかったこと、それは、医療業界という狭い世界の外には、すごく広い世界があるということを体感できたということ。
普段の生活であれば、考え方の違う人とわざわざ付き合う必要などないが、だれもが平等の立場で選ばれようとするとなると、どうしてもほかの人のことも考えることになる。
私は病理医で、外来にやってくる様々な人と接することもなく、顕微鏡にしがみついて
一人で過ごしている時間が圧倒的に長い。大学病院にいた頃は同僚の病理医が同じ部屋にいたから雑談も挟んでいたが、今はそれもない。検査技師さんと一緒に行う作業もあるが、全体に比べたら少しの時間だ。気をつけなくては、井の中の蛙というか山椒魚のようになってしまいかねない。
そこで、のど自慢。予選には多くの人が来て、多くの応援の人も来ていた。老若男女が20の枠を目指していた。観客席に座っていると、いろいろな人が間近で会話しているのを聞くことができる。そうして、ああ、そういう考え方もあるのかといろいろ気づかせてもらえた。たかだか、のど自慢の予選会場でのことではあったけど、私にとってはとても有意義なことだった。
外へ出よう