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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「ポスト真実」とメディアの責務 市民が賢くなり対抗を

2017-02-03 11:21:02 | 政治・社会問題について
「ポスト真実」とメディアの責務 市民が賢くなり対抗を

立教大学名誉教授 門奈直樹さんに聞く
トランプ米大統領の登場や、英国が欧州連合(EU)を離脱したことは世界に衝撃を与えました。「こうした動きにメディアが深く関わっている」と指摘する門奈直樹立教大学名誉教授(ジャーナリズム論)に聞きました。(渡辺俊江)

トランプ氏がメディアを攻撃する姿は、日本にも伝わっています。大統領就任式の参加人数を「少なく伝えた」と大手メディアを非難。大統領就任前、米CNN記者に「フェイクニュース(偽ニュース)を流している。質問をさせない」と敵意をあらわにしました。
選挙中から主流メディアに対して「既得権益者」だとレッテルを貼り、断固たたかなくてはならないと宣言していました。グローバル化の中で格差が広がり、“忘れ去られた人”といわれる白人労働者たちがトランプ氏を支持しました。大手メディアはトランプ氏の問題発言を取り上げはするが、そういう人々に関心を示すことがなかった。トランプ氏は既存のメディアを敵にまわすことによって、受けをねらったのです。

感情で世論形成
大統領選のさなかに、「ポスト真実(Post-truth)」という言葉が広がりました。イギリスのオックスフォード辞典が、昨年の世界を象徴する言葉として発表したのです。真実の前に感情が先走り、その感情で世論が形成されていってしまう状況を指しています。
英国のEU離脱は大方の予想に反した出来事でした。グローバル化とは何なのか、EU離脱がどういうことをもたらすのかという議論は深まらなかったのです。米国ではトランプ氏が選挙戦で大手メディアを批判し、一方ではインターネットを使い国民の素朴な感情に訴えかけるような発信をしていました。「ポスト真実ポリティクス(政治)」です。底流には、メディア不信が人々の間にあると思っています。
ストックホルムに本拠を置くNGO団体「世界価値観調査機構」がメディアの信頼度調査をやっています。2010~14年の調査によると、テレビに関して不信感が高いのはオーストラリア、アメリカ、スペインの順です。逆に信頼度が高いのはフィリピン、中国、日本、韓国と続きます。日本でもメディア不信はあるのだが、世界的な傾向で見ると、いかに日本の国民がメディアに従順で批判的に接していないかという結果になっていると思います。
一方で、国境なき記者団の報道の自由度ランキングを見ると昨年、日本は72位と過去最低でした。民主党政権のときに22位でしたから、安倍政権の介入が影響しているのです。

検証しないまま
安倍首相の演説を聞くと言葉に重みがないんですよ。うそを平気で言う。メディアは、首相の言うことについて検討して語ることがほとんどありません。首相の言葉の中身を検証することなく流すだけです。首相はメディアパフォーマンスをする一方で、圧力をかけていく。「ポスト真実」は、日本でも起こっているのです。
昨年、高市総務相の停波発言がありました。メディアの萎縮をねらった脅しです。欧米では、萎縮は民主主義の破壊につながるという位置づけです。毛利透著『表現の自由』(岩波書店)は、萎縮効果に着目し、表現の自由を再構築することの重要さが語られています。この本を読むと、アメリカやドイツではメディアや市民の萎縮について裁判になっていることがわかります。言論・表現の自由を侵しているというのです。
「ポスト真実」とは真実が置き去りになっていることを表す言葉です。政治のあり方、真実を見極めるためには、憲法21条が掲げる言論の自由の論理をしっかり組み立てることです。市民がメディアに対して賢くなる必要があります。イギリスでは、メディアワイズ(メディアに賢くなれ)運動が起こっています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年2月2日付掲載


日本では、かつての「小泉劇場」の様にメディアに流される傾向が強いですね。
メディアが報道に対してもっと責任を持つことと合わせて、市民の側も「この報道は本当に大丈夫なのか」と検証能力をつける必要があります。

コメント
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