読者の投稿 雪の思い出 =楽しくて、ちょっとほのぼの=
投稿募集、今回は雪にまつわる「楽しくて、ちょっとほのぼのする思い出」をまとめて紹介します。
通学路の隠れた名所?
ペンギンにお辞儀
北海道帯広市 平 麗子 62歳
帯広市は内陸部にあるので冬は寒さが厳しいです。今の積雪は70センチ。朝はマイナス20度まで下がることも多く、日中でも氷点下。でも晴天が続くので雪をふんわりとまとめ、雪像作りを楽しんでいます。
お地蔵さんは毎年作ります。通学路なので子どもたちが何やら手を合わせて行きます。夜になるとアイスキャンドルに火をともします。
部活を終えた女子中学生たちが、わが家の窓に向かって「ありがとうございま~す」と大声で叫んでいたこともありました。
3月中旬になると雪はほとんど無くなりますが、最後の雪をかき集めてペンギンを作ります。そして「ご卒業おめでとう」と書いたメッセージカードも立てます。(写真)
卒業証書を手にした中学生が、ペンギンにお辞儀をするのを見て、私はかわいいなと思い、心が明るくなります。
授業を忘れて“雪つり”
楽しさがすっとぶ
東京都多摩市 花嶋恭子 73歳
静岡・伊豆半島の北部はめったに雪が降ることはない。60余年前、小学2年の冬。今までになくあたり一面まっ白に雪が積もり心わくわくした。
母から教えられた雪つり(30センチほどの糸の先に小枝を結び、それを芯に雪だんごを作り、糸を持ち新雪の上にだんごを置いていくと雪がくっついてきて雪の棒ができる)を、休み時間に友達と2人夢中になり、つくつくつくつく。
当時チャイムではなく、小使いさんが手持ちの鐘を鳴らしながら校内を巡って知らせる方式。
校舎の裏庭で雪つりに熱中している2人には聞こえるはずもなし。
なかなか帰らない児童を探しに担任は級友を出したに違いない。授業が始まっていることを知らされた私たちは、雪つりの楽しさが一気にすっとんでしまった。
授業できずウサギ狩り
南国で備えがなく
神奈川県 眞っちゃん
雪が降ると中学の時のウサギ狩りを思い出します。私の出身中学は鹿児島の吹上浜砂丘のすぐ下にありました。吹上浜は東シナ海に面していて、南国なのに雪がドサッと降ることがありました。
10センチも雪が積もると備えのない南国では、すぐ交通が混乱しました。すると山あいの集落の子たちは登校できず、半分も子どもがいないということになります。
そうすると当然授業はできず、登校した子たちは全校でウサギ狩りです。砂丘には灰色の野ウサギがいて、それを大勢の子どもたちで追いかけ捕まえるのです。
ウサギは同じルートで逃げてくるので、待ちかまえていれば捕まえることができました。ワーワーと実に楽しかった。
今ごろになって、あのウサギはどうなったかと思います。野ウサギはその頃、普通に食料でしたから、宿直室で先生が食べたという噂でしたが。今から50年以上も前の、世の中がのんびりしていた頃の話です。
浴槽に雪を入れ沸かす
水くみの手間省く
兵庫県丹波市 笹倉香 60歳
私が学章期の頃は、山の麓のような所で過ごしていたので冬になると雪が深く、よく休校になった。
そのたびに家の周りで雪遊びを楽しんだ。父親に作ってもらったそりで滑ったり、友だちとかまくらを1日かけて作ったり。その中でお餅を焼いて食べた思い出は、今思い出してもワクワクする。
そしてなんといってもお風呂に水くみをしなくてよかったこと。いつもなら20メートルほど先の井戸から天秤棒で前後にバケツをぶら下げ、水運びをするのが日課だった。水道がまだ通ってなくて、私の手伝いのひとつだったがきつかった。
でも雪が積もる冬は「ヤッター!」です。風呂場の窓から手を伸ばせばちょうどいい所までの積雪で、それを浴槽に洗面器でどんどんいっぱいにする。その雪を水がわりにして薪で風呂を沸かした。もちろん熱すぎた時は窓から雪で加減した。
大雪は大変だけど、子どもの頃の私にとっては楽しかった思い出が多い。今?今は雪かきで腕、足腰に湿布が必需品です。
54年になる結婚式の日
雪かきしていた夫
愛知県豊川市 三谷トミ 75歳
昭和38年(1963年)3月14日、私の結婚式でした。都会には珍しい大雪が前日に降って、あたり一面、真っ白に積もっていました。
朝起きてびっくり。結婚式は午後からでしたが花嫁はいろいろ支度もあり、午前中から式場へ行くために彼の家(近所でした)の前を通っていかなければならないのです。私が通りかかった時に彼が綿入れはんてんを着て、長靴姿で通りを雪かきしていました。
あと数時間で夫婦になる2人でしたが、何となく気恥ずかしく「行ってきま~す。あとでむこう(式場)でね」と声をかけて、急いで通り過ぎました。
結婚記念日になると、あの雪の日を思い出します。もうすぐ54年になりますが、雪のキラキラ輝いていた中で雪かきをしていたことを、夫は覚えているのでしょうか。懐かしい思い出です。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年2月10日付掲載
子どもの頃、たまに雪が積もると、喜んで遊んだものですが「雪つり」って遊びは初めて知りました。
楽しそうですね。
投稿募集、今回は雪にまつわる「楽しくて、ちょっとほのぼのする思い出」をまとめて紹介します。
通学路の隠れた名所?
ペンギンにお辞儀
北海道帯広市 平 麗子 62歳
帯広市は内陸部にあるので冬は寒さが厳しいです。今の積雪は70センチ。朝はマイナス20度まで下がることも多く、日中でも氷点下。でも晴天が続くので雪をふんわりとまとめ、雪像作りを楽しんでいます。
お地蔵さんは毎年作ります。通学路なので子どもたちが何やら手を合わせて行きます。夜になるとアイスキャンドルに火をともします。
部活を終えた女子中学生たちが、わが家の窓に向かって「ありがとうございま~す」と大声で叫んでいたこともありました。
3月中旬になると雪はほとんど無くなりますが、最後の雪をかき集めてペンギンを作ります。そして「ご卒業おめでとう」と書いたメッセージカードも立てます。(写真)
卒業証書を手にした中学生が、ペンギンにお辞儀をするのを見て、私はかわいいなと思い、心が明るくなります。
授業を忘れて“雪つり”
楽しさがすっとぶ
東京都多摩市 花嶋恭子 73歳
静岡・伊豆半島の北部はめったに雪が降ることはない。60余年前、小学2年の冬。今までになくあたり一面まっ白に雪が積もり心わくわくした。
母から教えられた雪つり(30センチほどの糸の先に小枝を結び、それを芯に雪だんごを作り、糸を持ち新雪の上にだんごを置いていくと雪がくっついてきて雪の棒ができる)を、休み時間に友達と2人夢中になり、つくつくつくつく。
当時チャイムではなく、小使いさんが手持ちの鐘を鳴らしながら校内を巡って知らせる方式。
校舎の裏庭で雪つりに熱中している2人には聞こえるはずもなし。
なかなか帰らない児童を探しに担任は級友を出したに違いない。授業が始まっていることを知らされた私たちは、雪つりの楽しさが一気にすっとんでしまった。
授業できずウサギ狩り
南国で備えがなく
神奈川県 眞っちゃん
雪が降ると中学の時のウサギ狩りを思い出します。私の出身中学は鹿児島の吹上浜砂丘のすぐ下にありました。吹上浜は東シナ海に面していて、南国なのに雪がドサッと降ることがありました。
10センチも雪が積もると備えのない南国では、すぐ交通が混乱しました。すると山あいの集落の子たちは登校できず、半分も子どもがいないということになります。
そうすると当然授業はできず、登校した子たちは全校でウサギ狩りです。砂丘には灰色の野ウサギがいて、それを大勢の子どもたちで追いかけ捕まえるのです。
ウサギは同じルートで逃げてくるので、待ちかまえていれば捕まえることができました。ワーワーと実に楽しかった。
今ごろになって、あのウサギはどうなったかと思います。野ウサギはその頃、普通に食料でしたから、宿直室で先生が食べたという噂でしたが。今から50年以上も前の、世の中がのんびりしていた頃の話です。
浴槽に雪を入れ沸かす
水くみの手間省く
兵庫県丹波市 笹倉香 60歳
私が学章期の頃は、山の麓のような所で過ごしていたので冬になると雪が深く、よく休校になった。
そのたびに家の周りで雪遊びを楽しんだ。父親に作ってもらったそりで滑ったり、友だちとかまくらを1日かけて作ったり。その中でお餅を焼いて食べた思い出は、今思い出してもワクワクする。
そしてなんといってもお風呂に水くみをしなくてよかったこと。いつもなら20メートルほど先の井戸から天秤棒で前後にバケツをぶら下げ、水運びをするのが日課だった。水道がまだ通ってなくて、私の手伝いのひとつだったがきつかった。
でも雪が積もる冬は「ヤッター!」です。風呂場の窓から手を伸ばせばちょうどいい所までの積雪で、それを浴槽に洗面器でどんどんいっぱいにする。その雪を水がわりにして薪で風呂を沸かした。もちろん熱すぎた時は窓から雪で加減した。
大雪は大変だけど、子どもの頃の私にとっては楽しかった思い出が多い。今?今は雪かきで腕、足腰に湿布が必需品です。
54年になる結婚式の日
雪かきしていた夫
愛知県豊川市 三谷トミ 75歳
昭和38年(1963年)3月14日、私の結婚式でした。都会には珍しい大雪が前日に降って、あたり一面、真っ白に積もっていました。
朝起きてびっくり。結婚式は午後からでしたが花嫁はいろいろ支度もあり、午前中から式場へ行くために彼の家(近所でした)の前を通っていかなければならないのです。私が通りかかった時に彼が綿入れはんてんを着て、長靴姿で通りを雪かきしていました。
あと数時間で夫婦になる2人でしたが、何となく気恥ずかしく「行ってきま~す。あとでむこう(式場)でね」と声をかけて、急いで通り過ぎました。
結婚記念日になると、あの雪の日を思い出します。もうすぐ54年になりますが、雪のキラキラ輝いていた中で雪かきをしていたことを、夫は覚えているのでしょうか。懐かしい思い出です。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年2月10日付掲載
子どもの頃、たまに雪が積もると、喜んで遊んだものですが「雪つり」って遊びは初めて知りました。
楽しそうですね。