
今日はこの時期恒例の「道路講演会」が開催されました。
講師は「ホンマでっか!?TV」などでもおなじみの武田邦彦先生で、今日のお題は「科学者が見る環境問題」
もともとご専門の資源材料工学の見地から、石油や鉄鉱石はなくならないのかとか、地球温暖化の問題、人間による地球汚染の問題、人間の長寿の問題など、興味と感心の赴くままに、『科学者から見た真実』について縦横に語っていただきました。
武田先生は元々「地球温暖化はない」と主張されている科学者のお一人で、ネットを検索するとその手の記事は膨大に出てきます。
しかしその根拠となる節などを直接聞いたのは今日が初めてで、武田先生が「地球温暖化はない」とおっしゃる主張の根拠は、「もとも地球が誕生してから何億年もの間、地球の大気はCO2が95%以上あった。そこに植物と言う生命が誕生して何億年もの間光合成によって炭素(C)をCO2から切り離して、『CO2=C+O2』という炭素固定活動をしてきた結果が今のCO2が0.04%という大気組成になった原因だ」というところにあります。
「CO2が増えたら地球がどうなるかのシミュレーションなど必要ない。だって、地球の歴史はCO2が減り続けてきた過程なのだから、増えたらどうなるかはCO2の濃度がまだ濃かったときに地球がどうだったか、ということを調べれば良いだけのこと。それでも恐竜も人類も生きていたでしょう」
「それよりも、CO2が増えることを恐れて日本中が国民運動みたいなことをして、暑い夏にエアコンをセーブして能率が下がっていても我慢する生活をすることの方が弊害が大きいんです」
武田先生は、「そういう主張の根拠を、ちゃんと検証した方がいいですよ。それが科学的なアプローチというものだ。それなのに、根拠に当たらずして『世間や有名な司会者が、このままじゃ大変だと言っているから大変だ』というような噂で自分の行動を決めてしまうのがおかしいと、私は言っているだけ」とおっしゃいます。
また、「アメリカのトランプ次期大統領も、『温暖化なんかない』という立場の人だから、少しは真実をみる機運が出るかな」とも。
そういわれると我々自身、温暖化主張の根拠論文などを直接読んだことがあるわけでもありません。
それこそ科学者の主張を鵜呑みにしているだけかもしれませんが、それならば是非とも科学者同士で決着をつけてほしいな、と思うところ。
武田先生の主張には、「武田氏こそマチガイ」という反論も多いので、両方の説をちゃんと勉強しないといけませんね。
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お次は人間の高齢化と長寿の話。「寿命は健康と関係ないんだよ」というのが武田先生の主張です。
何歳まで生きるのかを決めるのは、①天寿、②体と心、③予防、④治療、という順番に効いてくる。人間だったら大体60歳からせいぜい生きて120歳で、いくら頑張っても個体の命はそれくらいしかもたない。
しかし命は継げる。「命を大切にする、命を継ぐ」という事はつまり結婚して子供を作るという事。それが続けば命は何百年でも継がれていくんです。
人間以外の生物は、大体生殖ができなくなり子供を作ることができなくなれば、それが社会的寿命。大抵はその後で死んでしまう。
ところが人間の女性は、50歳を過ぎてもう子供は作れないとなってもなお長生きをする。そういうステージの女性にどういう意味と役割があるのか、ということをいろんな学者が研究してきたのだけれど、ようやくその理由がわかってきました。
それはその世代の女性は、子育てを終えても今度は孫の世話をし、社会的のお世話をするという役回りがあるんじゃないか、ということ。
男にはそういう役割はなくて、横に女性がいない男性、特に独身男性の平均寿命はせいぜい60歳。逆に女性の伴侶がいれば男性の寿命は79歳まで伸びる。
ところが女性は、男性の伴侶がいてもいなくても、独身でも代替平均寿命は86歳ということになっている。
「僕の住んでいる名古屋には、"錦"というススキノのような歓楽街があるのですが、そこでお酒を飲むと、横にババアみたいな女性が座って、それで家で飲めば一杯5百円のお酒が一杯一万円になっちゃう(笑)。でもそれでいいんだと。男は横に女性がいるってだけで長生きするんだ、という話に得心がいってからは一杯一万円のお酒が高く感じられなくなりました(笑)」

最後に、道路の話にも少し触れてくださいました。
「日本は効率化を目指せ、なんて言っているのに、国として高速道路すら満足につながっていない国ですよ。こんなのありえない。ドイツやアメリカなどの先進国は、効率化=道路をつなぐっていう理解ができているから国中を高速道路で結んでいるじゃないですか」
「ちょっと前に、『コンクリートから人へ』なんて言った人たちがいたけど、人が幸せに暮らすためにコンクリートがあるのじゃないですか?そもそもどっちを取るか、なんて比べるモノじゃないしね」
つまり!
「日本人は、いい大人が科学でも政治でも、ちゃんとした議論を全くしない国になっちゃったってことなんです。そこはしっかりと考えた方がいいと思いますよ」
まあテレビとおんなじ声と語り口で、一時間半にわたる熱弁。話し方が上手ですねえ。会場は爆笑の嵐でした。
武田先生は73歳になった今でも講演を年間200回やり、テレビのレギュラー番組を4本、年に十冊の著書を出す、という生活をしているそうです。
見習うとともにあやかって、もっと勉強をしなくてはいけませんね。
楽しい講演でした。