北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

目利きと組織のバランス

2013-07-31 23:43:38 | Weblog

 ある友人と話をしていて、「目利き」の話になりました。

 目利きというのは、あるものを数多く一心に見つめるところから、微細な違いや変化が分かるようになるということ。

 それは一つの能力なので、分かる人には分かることが、分からない人にはどうしても分からない、ということが起きます。

 分からない人から見ると、まるで超能力のように見えますが、分かる人にとってはあくまでも訓練の成果なので、何の不思議もありません。

 かつて転勤で信州安曇野に暮らした時に、「蝶々一筋60年」という方に会いました。

 ある人はこの方を評して、「飛ぶ蝶の影を見ただけでなんという蝶か分かる人ですよ」と言いました。

「そんなことがあるのですか!?」と驚いたものですが、よくよくご本人から話を聞くと、とにかく幼い時から野山を駆け巡って蝶を採取してきて、その結果を、いつ、どこでどんな環境のところでどんな蝶が取れたか、をずっと記録してきたのだそう。

 そうしたノートが何十冊にもなっていて、そうした経験が積み重なると、この季節に、この環境のところで、こんな飛び方をするこれくらいの大きさの長はあれだ、ということが分かってくるということがうなづけたのでした。

 ことほどさように、一つのことをじっくりと見つめることで微妙な違いが分かってくるものです。

 私は良く「眼力」という単語を使いますが、全く同じ意味のこと。

 こういう能力が身に着くと、人生が楽しくなってくることでしょう

 
   ◆   ◆   ◆


 ところがこと組織の中での仕事となると、また様相が変わります。

 優れた一人がいて、なんでもこなせて頼られるのは良いとして、その人が転勤などでいなくなった時にそれほど優秀ではない人が後任になると、とたんにチームのパフォーマンスが落ちる、ということにもなりかねません。

 組織での仕事としては、引き継ぎ書やマニュアル、手引きなどを作って、やり方をスムースに引き継ぐことが必要です。

 またできれば組織全体が、どこへ行っても同じソフトや同じ様式で仕事をしていて、混乱しないというような備えをしておくことも大切でしょう。

 その人しか使えないような職人技のソフトでは、次に生かせないこともしばしば起きるのです。

 そんなわけで、個人としては目利きになるような生き方を目指しつつ、組織の中では全体のパフォーマンスが上がるようなシステムを作るというこのバランスが大切だということ。

 これを間違えると、組織の中で浮いてしまったりする憂き目を見るかもしれません。

 自分自身の中にもあるべきこういうバランス感覚。

 自分自身をちょっと俯瞰してみる視点も持った方が良いですね。

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ホテルローヤル読了

2013-07-30 23:45:39 | Weblog

 今年度の直木賞受賞作、桜木紫乃さんの「ホテルローヤル」を読了しました。

 もう潰れてしまったホテルローヤルでの出来事から始まって、次第に時間軸を遡ってゆく男女の物語が6編。

 決して6編からなる短編集ではなく、それぞれがホテルローヤルにまつわる人、物、出来事に絡んで進む短編連作集です。

 選評の中では「あざといほどうまい」という意見が出たそうですが、中心となるホテルローヤルを折り込みながら、物語が進みます。

 男と女の愛憎、あきらめ、出会いと別れ、おもいやり…、なるほど、こういう出来事を文章でこう料理すると、こういうシーンになるのか、とその筆致力に脱帽です。

 男女の物語なので、ちょっとエッチで大人向きのシーンも多いのですが、これが作者のイメージなのでしょうね。

 時間軸が遡ってゆくことで、一つの事象のいわく因縁が次第に明かされてゆき、最後にホテルローヤルが誕生するときの物語へと全てが繋がってゆきます。

 それはまるで推理小説の謎解きをしてゆくような気がしてきます。

 小説のところどころには釧路の風景が巧みに織り込まれていて、釧路湿原の風景が頭に浮かぶ私には、ちょっとうらぶれた雰囲気さえたまらない懐かしさがこみあげてきます。

 多くの人がこの小説を読んで、釧路への憧れと想像力をかき立てられることでしょう。

 釧路市民もこぞって読みましょう。釧路市民が支持することでさらにこの作品の価値が上がります。

 釧路は恵まれていますねえ。 

 

 

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質問力を養おう

2013-07-29 22:10:54 | Weblog

 世の中には様々な講演会や勉強会がそこここで催されています。

 参加して良い話を聞く機会は実にたくさんありますが、そうした講演会は運営の仕方にもよりますが、最後に講師に対して質問の時間を取ってくれることがあります。

 私は常日頃から、部下や同僚に対して言っているのは、「講演会などの最後に質問の機会があれば、必ず一問質問をしてから帰ってくるようにすると良いよ」ということです。

 そしてそう言うからには、私自身も質問の時間には手を上げて質問をするように心がけています。
 
 このことにはいくつかの意味がありますが、その一つ目は、「よく話を聞くようになる」というもの。

 最初から、(必ず質問をしよう)という意識で公園を聞くと、まず講師の話をよく聞きます。

 逆にうっかり寝てしまって聞き逃したりすると、もしかしたら話したことを質問してしまうかも知れないと恐くなって質問ができません。

 ですから寝てはいられないし、質問しようと思ったことを講師から話されたりすると、質問は変えなくてはなりません。

 講演の全体を理解した上で、なお話題を引っ張り出すような良い質問をするという真剣勝負なので、そのためにこちらも真剣に話を聞くようになるのです。


    ◆     ◆    


 次に、「議論を深めること」ができます。

 講師が話した内容で足りない部分や、もう少し詳しく聞きたいという所にピンポイントで質問を投げかけることで、講師の方は話足りなかった所を補ってさらに興味深い話を聞かせてくれるものです。

 それは自分の経験や知識も伝えて会場に話題を提供しつつ、講師からより議論を深める話を引き出すので、議論が更に深まります。

 逆に言うと、講師の中からそういう話題を引っ張り出せるような良い質問でなくてはいけませんし、そういう質問ができるように自分も普段から勉強をしておかなくてはなりません。

 自分の普段からの勉強がさらに深まることは間違いありません。

 

 さらには度胸もつきます。大勢が見ている中で、論点を明らかにしながら端的に話をするのはなかなか勇気がいることです。

 しかし敢えてそれをクリアすることで、まさに度胸の「経験値」が上がってゆきます。

 大勢の前で話す訓練なんてそうそうできるものではありませんから、絶好の機会と言えるでしょう。


 そして、なによりも講演後の質問は講師に対するおもてなしでありお礼であるということです。

 私も時々人前で話をすることがありますが、できるだけ質問の時間を取るように心がけます。

 そして話が終わった後で質問をしてくるかどうかは、自分の話が聴衆の皆さんの興味を引いたかどうか、とバロメーターでもあるのです。

 何も質問がない、というのは、講師に対して「疲れたでしょうからもうお休みください」という心遣いであるかも知れない反面、「話には余り興味が無かった」ということの無言の不満であるかも知れないのです。

 そのどちらかを打ち破ってくれるのは、会場からの質問に他なりません。それは「もっと知りたい」という気持ちの表れだからです。  

 

    ◆     ◆   

 

 以前、とても良い話の聞けた講演会がありました。

 ちゃんと質問もできて、そこでさらに議論が深まってすばらしい時間を過ごすことができました。

 その講演会からの帰り道で、それなりに地位のある後輩と会ったので、「さっきの講演会の感想はどうですか?」と訊いてみたところ、実にレベルの低い感想しかなくて、がっかりしたことがありました。

 思わず、「そんな、それなりのポストを与えられていて、指導的立場にあるのにそんな感想しかないのかねえ」と詰問してしまいましたが、講師に対して申し訳なく思ったのでした。

 
 さてそんなわけで、良いお話の講演会があったら、皆さんもこぞって質問をするように心がけていただきたいと思います。
 
 それが講師への一番のお礼なのです。

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初めての経験

2013-07-28 23:45:56 | Weblog

 なんだか一向に夏らしくならない北海道。

 今日も札幌は最高気温25℃ほどで、室蘭や釧路に至っては最高気温が21℃なんだそう。

 今年は春先から北の高気圧が強く、南からの夏の高気圧の押上げを阻止しているようです。

 そしてそのために、二つの高気圧に挟まれた梅雨前線が北上して消滅するというパターンがとれなくて、本州中央に位置し続けているようなのです。

 今日は山口県と島根県で局地的な豪雨が発生し、「これまで経験したことのないような」という表現で、住民らに危機感を伝えていましたが、この表現は昨年の2012年から用いられています。

 「時間雨量○○ミリ」と言われても、一般の住民にはピンとこないという声が多く、危機感を伝えるためには別な表現が必要になったというわけ。

 分かりやすい表現で危機感を伝えるというのは案外難しいものですが、気象庁なりに考えた成果でしょう。


   ◆   ◆   ◆


 私が最も強い雨を経験したのは、ある公園の現場にいた時で、30分間で50ミリという雨でした。

 一時間雨量に換算すると、時間100ミリということになるのでしょうが、そのときはそこまで強い雨が持続せずにすみました。

 しかし30分間で50ミリの雨の時は、もう本当に滝の中にいるようで、大粒の雨がものすごい勢いで振ってきて、芝生を貼ったばかりの斜面がみるみるうちに削られてゆきました。

 そんなときは、プラスチックの布で作られた袋に土を入れる土嚢(どのう)が大活躍。

 司馬の貼っていない斜面がいかに脆いか、また土嚢によって土が削られるのをいかに抑えられるかがよくわかりました。

 さて、このような雨続きの場合、ダム管理所や河川事務所はこの間必死で情報伝達と洪水被害防止に努めているはずです。

 私たち機械・電気通信部隊も、現場の作業を陰ながら支えています。

 強い雨で被害を受けている皆さんにお見舞い申し上げるとともに、まだまだ雨が続きそうな地域にお住いの皆さんは、十分に気を付けてください。

 

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ゲストではなくフレンドとして

2013-07-27 23:45:02 | Weblog

 静岡の友人が仕事で北海道へ来ていて、「釣りをしませんか」と誘ってくれたので、夕張川周辺へ行ってきました。

 夕張川は、上流の地質全体が脆いのか、川筋に大きな岩がなくて小さな石がじゃらじゃら集まっている、いわゆる「ざら瀬」という川でした。

 こういう川は、あまり魚たちにとって住みやすいとは言えず、やはり釣りをしても、なかなか魚にあたりません。

 それでもなんとかいそうな深みのポイントで、何度かトライを繰り返していると、突然変な感触が手に伝わって、「ん?かかったのか…?」と思った瞬間、大きな魚にくわえられた針がぐーんと移動して、ブチンと切られる始末。

「魚も、釣る側に殺気があるときと殺気がないときを感じるんでしょうかね(笑)」

 いや、逃げられた魚は大きかったです(笑)


   ◆   ◆   ◆


 最後には何とか形のよいエゾイワナを一匹釣り上げて、とりあえずボウズは避けるのが精いっぱい。

 他の参加者はもっと上手なので、何匹かちゃんと釣り上げていましたが、こういう友達が遠くから来る釣りは、単に釣果を競い合う釣りとはまた一味違います。

 昔の思い出や最近仕入れたネタで笑い合い、まだまだ至らぬ私に指導してくれたり、静岡の川の話を自慢したり…。

 こうなると釣りは単なる時間を共に過ごす格好の社交術にしかすぎません。

 でもせっかくなら腕を競い合う方が、終わった後には互いの釣果を褒め合って、過ごした今日という一日がまた楽しい思い出になるのです。

 社交術ならやはりダンスでもゴルフでも釣りでも、上手であることに越したことはありませんね。


   ◆   ◆   ◆


 今日の夕張地方は全体に涼しくて、真昼で25℃くらいで朝夕はずっと涼しく快適な一日でした。

「いやあ、静岡空港を出発するときは35℃で、新千歳へ降りたら21℃でしたよ。今日の釣りも楽しくて涼しくて、北海道は本当に避暑にいいですねえ」

 もちろん北海道は涼しいので、連日暑い日の続く本州の人たちは北海道へ避暑にくれば良いのに、と思います。

 でもただ暑さを避けるためだけに、飛行機代とツアー料金を払ってホテルに泊まるだけで良いのでしょうか。

「今日の釣りが楽しかったというのも、それは静岡からわざわざ来た時に、地元北海道の友達が迎えてくれるからなんじゃないでしょうか? 『涼しいからどうぞお越しください』というだけだったら何か寂しくありませんか?涼しいところに友達がいるから会いに来たら、涼しくて楽しくてまた来たくなる、ということなんじゃないでしょうか」
「ああ、それは本当にそうですね。訪ねたくなる気持ちの一番は、友達なんですよね。単に避暑地へどうぞ来てください、というだけじゃなくて、やはり来てくれた人を迎え入れて友達になるような仕掛けや努力が必要なのかもしれませんね」

 北海道も、単に涼しくて食材が美味しくて、雪がきれいで広大な大地ということだけが宣伝文句になるのじゃなくて、そこに「そういう北海道で友達を作りましょう」という試みがもっとあっても良さそうです。

 それも、変に贈り物をしあってベタベタするのではなく、来るときは連絡をくれて、「じゃあどうやってもてなそうか」とちょっと考えるくらいの水のような交わりが良いでしょう。

 「北海道の、水のような友達」ってフレーズで、国内外はもちろん、海外からのお客さんも友達になってしまいたいですね。

 ゲストではなく、フレンドとして迎えたいものです。


 

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セイコーマートの経営戦略

2013-07-26 23:45:05 | Weblog

 情報通信大手のNECさんが主催するソリューションフォーラムに参加して、北海道を席巻するコンビニストアであるセイコーマートの丸谷智保社長の特別講演を聞きました。

 講演のタイトルは、「北海道の資源を生かす~セイコーマートの経営戦略」

 日本のコンビニ大手4社とは、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKの四社で、全体の約75%を占めるとのこと。

 そして日本中の都府県で上記4社のどれかが一番店舗数が多いというなかで、北海道だけはセイコーマートが最大店舗数を誇っています。

 この道内企業セイコーマートの経営戦略を丸谷社長から直々に聞くことができました。

 
   ◆   ◆   ◆


 丸谷さんは、「小売業を見るときに、川上が製造業で、卸を通って川下の小売りで売られていると一般には認識しているだろうが、よく考えると、小売り店から発注データーが出て、その情報が登って行って、メーカーはその注文に従って原材料の手当てをする、という側面もあるだろう。つまり川上と言われながら、最前線の小売りが起点になっているとも言える」

 「セイコーマートは千店あるが、そこからの売上や発注データを得て製造は調達や製造を行う。意外にモノの流れは下から上に流れている。セイコーマートは生産物流、小売りというサプライチェーンのかなりをグループ内で確立した。そして北海道の資源を十分に活用していることの意味を話したい」というのが今日の講演の趣旨です。


   ◆   ◆   ◆


 セイコーマートは年間売上1846億円、店舗は1157店、来店者数2億3千万人、年間取扱数量は9億個。

 179市町村のうち170自治体で出店している。カバー率95%で、人口カバーでは99%で、広い北海道だから物流が大変だ。

 グループ会社は30社、(製造12社、物流・卸3社、小売り4社、農業3社、その他8社)で、従業員数は2万人。意外と多いがほとんどはお店のパートだ。


 製造業は、道内に15工場。豊富に牛乳公社、羽幌町にダイマル乳品などほとんどがPBだ

 ダイマルは豊富の牛乳でアイスを作っていて、ロッテの製品も作っている。雪印パーラーのアイスも作っている。雪印がつぶれた時にロッテが経営をして、その製品はダイマルが作っているというわけ。

 農業法人は、87ヘクタールで年内に100ヘクタールを超える。ただ一年に使う野菜は8千トン、そのうち農業法人が作っているのは使ううちの20%しか供給できず、55は農協・契約農場だ。

 野菜その他は市場を通すと価格が乱高下するので、その山切りをすることに意味がある。


   ◆   ◆   ◆


 経営の中では、物流基盤が問題だ。この広い北海道で、効率性などを求めながら製品を運ぶのだが、物流コストは大手より4%低くなっている。

 大手は都会だから効率が良いはずだが、我々の方が良いというのは特長になっている。

 その一端は、札幌にある大きな配送センターを中心に、道内五か所に地方ネットをつくり、そこでまた個別に個配するという仕組みだ。

 また全道各地に分散している製造工場を配送の帰りに回って、できるだけ空便で帰ってこないようにして効率化を図っている。


   ◆   ◆   ◆


 さて、北海道の資源を生かすということだが、例えば農業法人からキュウリを仕入れるときは、規格内品は店舗で野菜として売る。

 そして曲がってしまった規格外品は捨てるか自家消費するしかないのだが、これを惣菜やサラダ、弁当の副惣菜漬物にする。

 農業の一番の問題は、製品の80%しか市場に出せないという歩留まり悪さだ。

 農業法人は、こうしたハネ品を惣菜にできて、歩留まりを98%、99%にすることができるのが強みだと思う。


    ◆   


 一例として、赤肉メロンは北海道の特産品だが、割れたようなメロンやマスクの出来が悪い、つるがない、などといったメロンのハネ品が出る。

 これも、今までは捨てていたのだが何とか利用しようと、農家から買って、搾汁をして果汁を取りこれで商品を作った。

 すると、全道各所から買ってくれと動きが広がり、一方商品の宣伝もして売れるようにしたところ、某有名飲料メーカーからも引き合いが来るようになった。

 お金をかけて産廃として捨てていたものが、お金がもらえる産品になったのです。


   ◆   ◆   ◆


 海外からも独自の調達をかけている。

 また、世界各国からも品質の良い素材を自分たちで集めて商品にしているが、商社を挟まないことでコストを下げる努力をしている。

 人気の100円パスタは、トルコのアンカラパスタ、オーストラリアの塩、アメリカのベーコン、イタリアのチーズ、クラッシュトマト、オリーブオイルなどを使うことで安く仕上げられている。 


   ◆   


 また大人気の500円ワインの秘密をお話しよう。

 昨年セイコーマートでは年間にワインを400万本売ったが、これは道内の21%のシェアだ。

 なぜ売れるかと言えば、安いからに外ならない。

 ワインが失敗したな、と思うのは、「ワインとはくるくる回して何か薀蓄を語らないと飲んではいけない」というような、高級感漂うマーケットにして、高くてちょっと売りというやり方にしたことだと思う。

 それを普通に大衆の嗜好品として飲むようなワインの市場にすれば、買いたい人は潜在的にとてつもなく多いことに気が付く。

 そしてそのためには気軽に買える料金として、ワンコイン500円とした。

 よく、「500円で打って儲けが出ているのですか?」と訊かれるが、ご心配なく。500円で売っても一本でその半分くらいは利益が出ている。

 なぜか。

 ワインの仕入れは、海外の大きなワイン商談会で直接やり取りして商社や仲卸はいらない。

 たくさんあるワインの原価は、一本1.5ユーロ=200円くらいなもので、こういうワインを試飲して選んでくるのだが、実は中身が同じでも瓶が高いとこれまた値段が高くなる。

 
 同じワインを高い瓶に入れて1800円で売っているメーカーもあるが、実は瓶しか違わない、なんてことになっているのだ。


   ◆   ◆   ◆


 大まかに言って、ブドウ1kgからワイン一本が作れて、1kgのブドウの値段の10倍がワインの値段と言われる。

 そしてその1kgのブドウは フランスで25円、チリなら15円で、日本ならば300円はしてしまうところだ。

 その価格差は、圧倒的なブドウ畑のスケールによる。チリなどはブドウ畑が1800ヘクタールもある農場があって、圧倒的なコストパフォーマンスが出るのだ。


   ◆   ◆   ◆

 
   
 さて、なぜセイコーマートは北海道にしがみついているのか、ともよく訊かれる。

 人口は減るし、高齢化は進む。高齢化がすすむと、胃袋が小さくなって消費しなくなる。

 しかしそれでもなぜ北海道にいるのか?

 それは、生産量ナンバーワンのものばかりで大きなシェアも持っているからだ。

 北海道はそれ自体大きなブランド力があるので、関西のスーパーには豊富牛乳を出荷している。他の地域の物よりも20円高いがそれでも売れている。

 つまり、セイコーマートとして進出しなくても、他の店に売りつける生産会社としての価値もあるのだ。


 もちろん、道内の来店者数がもっと伸びれば、良いことだが、来店者数とは、人口×何回来てくれたか、の計算で出る。

 人口が減っても、来てくれる回数が増えるような経営をすれば、衰退してゆくことはない。

 北海道の魅力をもっと生かすことができると思う。


   ◆   ◆   ◆


 丸谷社長の講演は初めて聞きましたが、素晴らしい経営戦略でした。

 改めて道産子なら、どうせ何か買うならセイコーマートだなあ、と思わせる共感の力も十分です。

 明日もセイコーマートでお買い物と行きましょう。

  

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「地域再生の罠」を読む

2013-07-25 23:30:30 | 本の感想

 久繁哲之介さんの著書「地域再生の罠」を読みました。

 日本の地方都市がなぜ坂を転がり落ちるように衰退の一途をたどっているのか、というテーマを掲げて、その原因を探るのが本書の趣旨です。

 衰退に歯止めのかからない都市の担当者は、「経済的な豊かさを目指して地域再生に取り組んでいるの【だけど】うまくいかない」とつぶやきますが、著者から言わせれば、「経済的な豊かさをめざす【からこそ】うまくいかない」と読み替えるべきだ、ということになります。

 経済的な豊かさというのは、地域再生の本質やビジョンに関わりがなく、えてして成功事例などのハウ・ツー論にとびつきがちなのです。

 そこで本書が提案するのは、「土建工学者などが提案する『机上の空論』」ではなく、地域の現場・市民との交流から感じ取ったエピソードのエッセンスとして、七つのビジョンと三つの提言を示します。

 七つのビジョンとは、
①「私益より公益」
②「経済利益より人との交流」

③「立身出世より心地よい交流」 
④「器より市民が先に尊重される地域」

⑤「市民の地域愛」
⑥「交流を促すスローフード」

⑦「心の拠り所となるスポーツクラブ、居場所」というもの。


   ◆   ◆   ◆


 そして三つの提言は、
Ⅰ.食のB級グルメ化・ブランド化をスローフードに進化させる。

Ⅱ.街中の低未利用地に交流を促すスポーツクラブを創る

Ⅲ.公的支援は交流を促す公益空間に集中する

 というものです。

 筆者が強く感じているのは、経済合理性(にかなっていると思われるプラン)よりも、共感的合理性にかなった計画にすべきだということのように思えます。

 地域には、一見成功とされる地域開発も実はそうでもないというものが多い、と筆者は言い、それは経済的合理性を追求しすぎたプランなのだと。

 七つのビジョンについてはうなずけるところも多いのですが、現実には、「私益より公益」にした結果が、出資者の私益に返ってくるというところのシステムが理解されるかどうか。

 また「市民の地域愛」はどのように醸成できるか、ということもまた鍵になってくることでしょう。

 まちなかのスポーツクラブも、スポーツクラブであればよいだけではなく、その経営と指導姿勢に共感してもらえるような現実的なノウハウはやはりあるわけで、ビジョンや提言を実現するにもやはりそこには経営的なノウハウ、人間力的なノウハウがあるようにも思えます。

 しかし、経済的合理性に心や人間力を加味するべきだという視点にはうなずけるところも多いのは事実です。

 実際、土地を所有さえしてしまえば周囲の雰囲気や地域全体の整合性など一切構わずに好き勝手なデザインのビルを建ててしまう東京の都心などを見ていると、地域全体の公益を考えてそれに合致しないと建てさせない、という強い倫理性や指導性がもっとあってもよいと思えます。

 より良い地域づくりを目指す方には、大いに参考になるのではないでしょうか。

 それにしても良いまちづくりは本当に難しいなあとつくづく思います。はい。

 

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十勝川の千代田新水路

2013-07-24 23:45:38 | Weblog

 帯広へ出張してきました。

 心配されたスーパーとかちは、無事に動きほとんど遅れもなく帯広に到着。

 現地では打ち合わせの後に、十勝川で行われた千代田新水路を見学。ここは、サケの捕獲で有名な千代田堰堤をショートカットする形で作られた新しい水路です。

 十勝川の千代田堰堤付近はカーブしているのと河道断面が足りないために、過去の出水の際に洪水を起こしています。

 本来ならば千代田堰堤を河道全体を広げても良さそうなのですが、千代田堰堤そのものは昭和十年に農業用取水堰として完成して十勝地方の農業を支えた北海道土木遺産としての価値もあり、おいそれと壊すわけには行かなかったという事情もあったとのこと。

 そこで普段は千代田堰堤側に水を流し、洪水の際はそこをショートカットする新しい河道を掘削して千代田新水路として整備をしたのです。

【千代田新水路】 http://bit.ly/143SuCt


 新水路は、機会で作動する起伏式ゲート4門で水流をコントロールしていますが、面白いのは4門のうち1門に、特別に川の本流の水を使った実験水路を作っていること。

 いろいろな河川の実験をするのに、ミニチュア水路を使うことは多いのですが、スケールが違うのでどうしても本当の川の姿を知るのは難しかったのですが、ここでは幅43メートルものゲート1門を使って、幅30メートル、長さ1,300メートルの水路を作り、大量の水を流して河川工作物がどの程度もつものか、といった実験をすることができます。

 世界最大級の実験水路施設とのことで、これだけのスケールならばかなり実物に近い実験もできるでしょう。


   ◆   ◆  

 
 十勝地方は、高速道路の道東自動車道が開通してから道央地区からの観光客が大幅に伸びたと言います。

 十勝は豚丼が有名ですが、なかでも良く知られたお店でも土日の昼の客が大きく増えたそう。

 交通の便は地域の観光の姿も変えますね。

 さて千代田堰堤、かつてはサケの遡上が一大観光スポットだったのですが、最近は少し人気も落ちて来たとのこと。

 近くには道立エコロジーパークが開園していてオートキャンプ場もあります。秋になったら再び訪れてみたいものです。

 

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公共事業者も社会保障の世界を学ぼう

2013-07-23 23:13:38 | Weblog

 ここ数年、「公共事業に携わる我々も、ちゃんと福祉の勉強をした方が良いよ」と考えていて、機会があればそういう話もしているところ。

 ここ何年かの民主党政権の下では、事実として公共事業関係予算は削りに削られて、現代社会に相応しいインフラの整備と管理はかなりつらい目にあわされてきました。

 ところが、世間の中には適切な額の公共事業という考え方には反発する向きもあって、公共事業関係者はいつも「なぜもっとちゃんと公共事業に予算を回してくれないのか」と不満に思っているのです。

 地方自治体にいると、まさに市を取り巻く課題に対して対応する予算ということがあるので、公共事業だけを考えてもいられないという思いもわかりますし、やはり福祉や民生関係が重視されてしまうという現実も良くわかるもの。

 つまり、国全体の財政状況と予算配分の仕組みが分からないと、公共事業だけの理論だけでは通用しないということなのです。


 そんなわけで、社会保障や年金、医療、福祉などといった分野を財政の面から一度ちゃんと勉強しておいた方が良い、というのが私の実感であるわけ。

 ところがこの社会保障や年金という問題は、きわめて奥が深くて難しい分野でもあります。

 歴史から入ろうと思うと、アダム・スミスの「国富論」から入らないといけないし、アダム・スミスと言えば、「見えざる手」なんて言って、経済学の親玉みたいに思われていますが、実は「国富論」の前には「道徳感情論」という著書を表していて、「近代市民社会における利己的でバラバラの個人が、『共感』をある種の秩序の源としてまとまっている」というようなことを述べています。

 経済学というものがそもそも人々の幸せをもたらす原理の追求だったということもちゃんと知っておいた方がよいでしょう。


     ◆   


 またそれが進んだ複雑を極める現代社会においては、年金や医療などの社会的なインフラも整ったのに、それに対する将来性が不安視されたりして、ときには政争の道具にされたりもします。

 政権交代前に民主党が散々煽った、「年金は破綻する」という命題も、素人には本当なのかウソなのかが全く分かりません。

 このような、全く分からない分野の問題にアプローチするにはどうしたらよいでしょう?

 私の答えは、「信用できる先生の本やブログをしっかり読んで惑わされないように勉強すること」というもの。

 そんな私がこと社会保障や年金問題で絶大な信頼を寄せているのが、慶応大学商学部の権丈善一(けんじょうよしかず)教授です。

 権丈先生は、日々の活動や発言履歴、参考になる資料などを惜しげもなくホームページで披露してくださっていて、その量たるや膨大です。

 私の身近な人たちでも、「将来、年金なんてあてにならないしね」などという言葉を平気で吐いたりしているのですが、権丈先生は、「年金は破綻しない」ということを明確に述べられています。

 なぜ破綻しないのかを語るのはとてもこの紙幅では無理なので、ぜひ権丈先生の著書やホームページで勉強していただきたいと思います。

 また、恐るべきことは、年金問題会を語る学者さんたち自身がほとんどそのシステムを理解していなかったり、先に立つ思い込みで議論しているトンデモ話に近い現実があったりするようでもあるのです。

 テレビや新聞でも有名な先生が言っていることが、実は根拠が全くなかったり思い込みで話しているなんて、素人の我々にはとても分かりません。

  
 でも少しでも理解しようと努めて、国全体がどういう仕組みと理屈で動いているのかを知っておくことは大切な事なのだと思います。


   ◆   ◆   ◆


 参考までに、権丈先生がホームページに貼られている、「人任せ教材」という欄をご紹介しておきます。

 この中には、「年金破綻論のまやかし」や、「未納が増えても年金は破綻しない」とか、「年金は世界有数のひっかけ問題だ」などといった、興味深くかつわりと読みやすい雑誌記事なども掲載されているので、とっかかりとしては入りやすいコーナーです。

 【権丈先生の人任せ教材】 http://bit.ly/13XGRgg

 毎月ちゃんと取られていながら、どういう仕組みで支払われることになるのかわからない年金問題も、まずは一度じっくりと勉強してみることをお勧めします。

 私たちの公共事業も、そういう世界とは決して無縁ではないのです。 
 

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今度は「スーパーとかち」か…

2013-07-22 23:45:11 | Weblog

 

 車両事故が続くJR北海道ですが、今度は根室本線のスーパーとかちでエンジンから白煙が出る故障が発生しました。

 http://bit.ly/132fgKU

 前回稚内出張前に函館本線の車両故障が起き、釧路出張の際にはスーパーおおぞらが配電盤からの出火事故がありました。

 実は近々帯広への出張を予定しているところで、またまたスーパーとかちでの車両故障で、これで運休が発生したりすると、出張のたびに車両故障を招いているような感じ。

 まさか私の出張が事故を誘引しているわけでもないでしょうが、それにしても故障が多いですね。


    ◆   


 自治体の予算編成をしている際にもよく、修繕はしたいけれども先立つお金がないので、とりあえず使っておいてもらって、本当に壊れて使えなくなったら初めてその時修繕をしよう、という対応をせざるをえないことがしばしばあります。

 限られた予算の中で、それ以上に優先しなくてはならない事項が山積しているからなのですが、そういう対応で、1年、2年とだましだまし使っても、結局一番大事な時に故障してしまったりして、影響が大きくなることもあるわけです。

 予防保全的な修理や修繕ができればそれにこしたことはないのですが、少しでもお金をかけずに長く使いたいという思いとのバランスの問題。

 一部には、社内で抱える技術者が少なくなって外注に頼ったことが事故の遠因ではないか、という意見もありますが、必要な際に技術を買って全体としての経費を下げようとすると、外注という流れは極めて合理的な流れでもあるわけ。

 故障や不具合、点検の記録を徹底的に残して、破滅的な故障の前兆現象を読めるようになれば良いのですが、それが事前に分かる思った通りの故障なんてないわけです。

 一連のJRの故障の教訓は、我々にも参考になるところで、一定の結論を早く知りたいところです。


 そして、スーパーとかちには運休が出ないことを祈ります。

 公共交通は安定もまた命ですからね。

 

 

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