人生の大先輩ご夫妻を囲む飲み会をしました。
この先輩、昨年の秋に脳出血で入院したと聞いていたので心配していたのですが、一見ほとんど後遺症もなくて幸いでした。
脳出血の瞬間とか、その後の対応をどのようにしたのかを後学のために聞いてみました。
すると、「最初は夜にベランダに出ていて、『顔の半分がザラザラする』と言って部屋に入ってきたのよ」と奥様が言います。
「なんだか顔の皮膚の感覚が、右半分だけ変な感じになったんだよ」と先輩。
「体の半分が変だ、というのは、やっぱり脳の病気を疑うでしょ。本人は『もう寝る』と言ったんだけど、『病院へ行きましょう』と言って新聞で当番病院を探したの。そうしたらちょうど宮の沢脳外科病院が当番病院だったので、そこへタクシーで行ったんです」
「救急車は使わなかったのですか」
「うーん、マンションだからサイレンを鳴らして来られると、周りに迷惑かな、という思いがあったのと、まだそれほど緊急でもないと思ったんです」
「なるほど」
「ところが慌てていたので、タクシーの運転手さんに病院名を『【宮の森】脳外科へ行ってください』と告げて走り出したの」
「僕はタクシーの中のある時間から記憶がないんだけどね」
「ところが本当は宮の沢脳外科で、住所を覚えていたのでタクシーの運転手さんが無線で確認してくれて、宮の沢病院についてそこで処置をしてもらえたのよ」
「実際の治療はどういうものだったんですか?」
「詳しくは分からないけれど、血圧を下げるのと脳の腫れたところを抑えるような点滴だったと思うな。血圧が160くらいだったんだけど、あるときから血圧を下げる薬を飲まなくなっていたんだ。やっぱりそれが悪かったみたいだけど」
病気になった瞬間に、周りに人がいるかいないかで、その後の運命は大きく変わりますね。
「可笑しかったのは、治療がひと段落着いた後だったよ。看護師さんが、『今日は何月何日ですか?』『今日は何曜日ですか?』『ここはどこですか?』と、脳の機能回復の度合いを確認するために、毎日来て質問してくるんだ。そのときにこちらは、記憶がなくなるまえの『宮の森病院』という単語の印象が強くて、『ここはどこですか?』と訊かれるとつい『宮の森脳外科…』という単語が口から出て来てそのたびに、看護師さんに(まだ治ってない…)と渋い顔をされたよ(笑)」
「あはは、それは災難でしたね」
笑い話にできるのも、結果オーライだからに違いありません。
最後に奥様から一言。
「教訓だけど、毎日新聞で、『今日の当番病院はどこかしら』と確認しておくと良いわよ。いざとなると慌てちゃうから」
日々の『もしも』に備えることって大事ですね。
不健康な兆候はチェックを疎かにせず、健康第一で参りましょう。