昔作って今はもう使わなくなったクレジットカードがあります。
クレカって有効期限がありますが(もう使わないんだけれど、このカードはどうしようかな)と思っていました。
するとそういう思いが通じたのか、カード会社から一通のお知らせが届きました。
曰く、「弊社では一定期間ご利用のないカードにつきまして、"新しい有効期限のカードの発行を見遅らせていただきます"。なにとぞご了承くださいませ」とのこと。
なんと日頃使っていないカードは新しいものを発行しないというのです。
実に賢明です。
どうせもらっても使わずにいて、下手に落としたり盗まれたりすれば不安の種が増えるだけのものなので、いっそのこと新しいものをくれない方がすっきりします。
なにか心に引っかかっていたことの一つが解決した思いです。
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それにしても、クレジットカードって「いつ何を買っていくら払ったか」という利用実績は気になりますしよく目にもしますが、「いつから使っていないのか」という、使っていないデータというものがこうして利用されるというのは目からウロコでした。
だまし絵の一つに「ルビンの壺」というものがあります。
一見するとただの壺のように見えますが、図と地を反対に考えると二人の人が向かい合っているように見えるというものです。
どこを地であると考えて、どれを図であると考えるかによって見えるものが違う多義図形。
使った情報と使っていな情報もひっくり返して考えると、使っていないという事もいろいろなことに気がつく情報だということです。
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仕事柄、わが社の袋物の製品がどれだけ売れたかと言う情報を各工場から集めて集計するという地道な作業をしています。
普段は「どれだけ売れたか」「売り上げが伸びたか」というような前に向かう情報ばかりが気になるところですが、じつは「昨年までたくさん買ってくれていたのに今年はその量が減った」ということも貴重なデータです。
どのような推移をたどって買ってくれなくなったのか、ということがわかれば、その原因を突き止めたり、再びしっかりと営業をすべきポイントがわかるでしょう。
買ってくれたデータだけではなく、買ってくれなかったデータも使い方によっては有効な情報を与えてくれるものです。
時々自分の常識である「地と図」を入れ替えてみると意外な発見があるかもしれませんね。