岸田政権は少子化対策の議論をいよいよ本格化させるようです。
年度内国会は予算を通すのが最大の目標なので、まずはそれはこなしたところで、次のターゲットポイントは来年度予算作成の前提になる、6月にまとめられるいわゆる「骨太の方針」です。
「骨太の方針」とは、政府の経済財政に関する基本方針のことで、正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」です。
しかしこれだと長くて分かりにくいので、通称として「骨太の方針」と呼ばれています。
その「骨太の方針」を議論して決定してゆくのは国会ではなく、背負の経済財政諮問会議で、ここで決議され改革の方向性が示されます。
これがなかったときは、省庁が政策の方向性や予算を持ち寄って、それを財務省が調整するというようなやり方だったのですが、それを官邸が各省庁の利害を超えたところで日本のあるべき姿を議論しています。
議論の中身は官邸のホームページで割とすぐに公開されるので決して密室の議論ではありません。
観たければ誰でも観られます。
そこで、この骨太の方針に少子化対策をどのように盛り込むかが大きな焦点になっています。
マスコミはすぐにお金をどのようなことに使うかという歳出の政策面にばかり注目しますが、少子化対策・子育てを含めて社会保障のプロたちは、社会保障とは基本的には財源をどうするかの問題だ、と言うことが分かっています。
しかしマスコミは、どんな政策が行われてどれくらい予算をつけようとしているかとか、それは効果があるのか、といったところにばかり注目をする一方、財源の話になると「国民の負担が増大する」と一蹴して反対の論調にしかなりません。
昨今財源問題の観測気球として挙げられているのが、「社会保険による少子化対策」ということです。
本来国民に負担をお願いして財源を確保するならばその王道は増税なのですが、日本と言う国はとにかく増税を蛇蝎のごとく嫌います。
増税をすると政権が一つ吹っ飛ぶほどの拒否反応を示すので、本当にそれを行おうとするときはかなり慎重にアプローチします。
それに対して社会保険では多くのサラリーマンが天引きで負担しているのでその重さが分かりにくいということがあって、拒否感がより低いという、現実的な側面があります。
社会保険で、と言っていますが、正しくは社会保険の制度を使った形での国民負担、という方が良いように思います。
それは今のような年金や健康保険のような形では企業に勤めるサラリーマンが負担するということのように見えますが、これからやろうとしている少子化対策のための社会保険システムとなると、まず受益者を誰だと想定して負担を求めるのか、という議論から始まることになります。
そうなると子供が将来増えることの恩恵を受けるのはサラリーマンだけではないわけで、受益と負担の関係を整理しなくてはいけません。
そういう意味でも、国民全体が負担して国民全体が少子化対策の恩恵を受けるという事から言うと、本来は消費税なりを上げるのも止む無し、とするのが王道です。
しかしそういう正論を言って嫌われたい人は少ないわけで、財源論は反対の人の声しか聞こえてこないというわけです。
今の経済が苦しいと言われれば、いつだってそれなりに苦しいことはあったわけで、そうやって問題を先送りしてきたツケが少子化と言う形で表れていることを思えば、そろそろ日本国民も本気で議論して行動に移さないといけない時が近づいているように思います。
子孫の世代に付け回しするのはもう恥ずかしいと思います。