今日は東京で、(公社)日本都市計画学会の総会があって参加してきました。
今回の総会で新任の理事に選任されて、かねて北海道支部長ということになりました。
都市計画の世界では、いわゆる旧の都市計画法と呼ばれる最初の都市計画法ができてから100年、またそれが大きく改定された現行の都市計画法ができてから50年という節目の年を迎えています。
そこで今年は、それらを記念するとともにこれまでの都市計画法を踏まえつつ、これからどのような都市計画があるべきなのか、長期的な視野に立って今後の都市計画を考えたときに何を引き継ぎ、どのように新しい観点を導入してゆくべきかを議論しています。
そのため学会では今年中に三回のシンポジウムを開催して、それらを追究していきます。
第一弾はすでに開催されたのですが、「社会システムとしての都市計画と土地利用制度」というタイトルで、線引き制度から立地適正化計画までを振り返りました。
今日は総会に先立って第二弾のシンポジウムが開催されて、「都市計画の領域と新展開」について先進的な4人の研究者たちの話を聞くことができました。
一人目は甲南大学文学部の阿部真大教授による『社会学から見た居場所論』として、50年前には想像もつかなかった社会の変化を都市はどう受け止めるのかを投げかけました。
それらは、LGBTだったりおひとり様問題だったり、児童や高齢者への福祉、貧困の問題だったりです。
かつてはそれらをすべて「包摂する」ということを目指したのですが、本当にそれでよいのか? 都市の中に無秩序をどう組み込んでゆくのが良いのか、と問題提起します。
新しい問題を都市がどのように受け止めるか、という投げかけでした。
二人目は兵庫県立人と自然の博物館主任研究員の三橋弘宗さん。
こちらは、「皆さん勘違いしているが、一度壊した自然はやっぱり元には戻らない、という事実の重みを理解して欲しい」と訴えます。
そのうえで、自然環境や緑を都市の計画にしっかり位置付けることがやはり大切なのだ、という訴えです。
三人目は、㈱トラフィックブレイン代表取締役社長の太田恒平さん。
太田さんは、東大卒業後にナビタイムに就職して、最適な経路選択ということを研究してビジネスに結び付けていましたが、今は独立して、改めてその分野で起業したもの。
ビッグデータを活用することで、公共交通のより効率的な運用が可能で、それがもたらす経済効果は極めて大きい、というお話をしてくれました。
ビッグデータは、かなりの量のデータがオープンになっているのに、それを上手に料理できる技術者や研究者が少ないので、まだその恩恵を十分生かしていない、と。
研究の成果を社会が実装することが大事だ、とおっしゃいます。
最後の四人目は、インターリスク総研㈱プロデューサーの原口真さんで、この方は、これから訪れるであろう社会的リスクをいかに都市計画が受け止めるかについてのお話でした。
それは防災や災害ということもありますが、先進的な世界からはSDGsが求められてくるなかで、それをちゃんと理解しているだろうか、という問いかけ。
私自身、久しぶりにハイレベルな研究の成果を聞いて頭がくらくらしましたが、さすがは東京だなあ、とも。
ただこうした最前線の都市の問題意識と、人口減少に苦しむ地方都市には随分と意識に乖離があるな、とも感じました。
都市を人間が意識してデザインするという世界に、どのような問題意識とアプローチがあるのか。
それは現実的な日常の都市の暮らしにどのように変容と効果をもたらすのか。
またこの世界を勉強して、北海道にも役立つような活動に結び付けていきたいと思います。
ご支援をよろしくお願いいたします。