先日漫才の賞レースであるM-1を観ました。
決勝は勝ち残った3組による二本目のネタ勝負で、私はヤーレンズの方が上かな、と思いましたが審査員の票は令和ロマンに軍配。
どちらが勝ってもおかしくない勝負でしたが笑いと共に緊張が広がる"勝負"という感じがしました。
1本4分のネタで勝負し、審査員の点数による勝ち負けなど独特のレギュレーションの下で戦うのですが、令和ロマンは自分たちの順番が先だったり後だったりしたときにどうするか、という作戦や戦略があったというネット記事がありました。
(なるほど、ただ面白いだけではだめなのか)と改めて、ルールを熟知したうえでの勝負に臨む心構えのようなものを知らされてハッとしました。
ある審査員は「競技漫才」という表現をして、ある敗者の芸人に「競技ではなく劇場でのネタを見てあげて欲しい」と言っていましたが、ルールの中での勝負ではあるのでしょうが、本当に面白いものを見るならば制約のないフィールドで勝負させてあげたいとも思います。
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実は蕎麦打ちにも似たようなことがあって、プロではない素人の蕎麦打ちには段位認定試験があります。
全国麺類文化振興協議会(通称全麺協)という団体が認定する蕎麦打ちの技術を段として認定するもので、初段は700gの蕎麦粉(+割り粉)を40分以内に細い蕎麦にする技術を問う、ということから始まって、技術的には五段位が最高で、今は名誉上位段として「八段位」まであるようです。
これらも特定の粉を使って指定の量を制限時間以内に打つことで技量を試されるのですが、私は二段まで取ったところで転勤で北海道から離れてしまったために連続して段位認定試験を受けることがなくて、次第に段位取得から離れて行きました。
自分自身の価値観も、指定の粉で制限時間以内に打つということよりも、より美味しい蕎麦粉を探してそれを上手く細切りの蕎麦にすることや美味しい蕎麦汁を作ることを合わせて、美味しい蕎麦を食べることに関心が移って行き今に至ります。
私の場合は「細く長くコシのある蕎麦」が好みなので、生地の長手をできるだけ長くしてできるだけ薄く熨すことで"細く長く"を実現させます。
コシは、できるだけ挽きたての蕎麦粉を使うことが大事なので、ここが旨いと思う馴染みのお蕎麦屋さんから自分で打つ直前に粉を分けてもらって調達しています。
蕎麦汁も蕎麦研究会で馴染みの鰹節屋さんから薄削りの本枯節と宗田鰹を仕入れて食べる直前に出汁を取り、半年以上寝かせている"返し"を合わせて作ります。
余計なものを一切使わずに使っているものは全部自分で納得の安心の材料で、結果的にはお店へ行くよりも格安で美味しいお蕎麦が食べられます。
段位認定の蕎麦打ちからはある意味脱落したのですが、自分的にはこの到達点で十分だな、と思っていて良い趣味を持ったものだと様々な出会いをありがたく思います。
今日も午前中に両親などに配る分と自分たちで食べる分を打ち、午後には歳前の挨拶と共に、汁と一緒に蕎麦を配って歩きました。
振り返ると今年もいろいろなことがありましたが、大晦日に蕎麦を打って美味しくいただいて年を越せ、平和で安寧な時を過ごせるということにも感謝です。
多くのお世話になっている皆さま、こんなブログを読んでくださっている皆さまにも感謝です。
今年もお世話になりました。
来年が皆さまにとっても健やかな年になりますようお祈り申し上げます。