今朝(2017年3月31日)の日経新聞に、『高速の速度制限、緩和を~ヤマト・佐川、政府に要望』という記事が載っていました。
内容は、「宅配大手のヤマト運輸と佐川急便がトラック運転手の人手不足対策として、高速道路における大型トラックの速度制限緩和を政府に要望している」というもの。
高速道路の法定速度は、乗用車やオートバイが時速100㎞なのに対して、大型トラックは時速80㎞に制限されているとのことで、大型バスが100㎞ならば大型トラックも100㎞で良いのではないか、という話。
最近は、特に会社名の入った看板を背負って走るトラックなどは、走行記録が残るために、きっちりと制限速度を守って走ります。10kmくらいオーバーしても捕まらない、などという甘いことはせずに、本当に制限速度で走ります。
実際の道路上では、制限速度をいくらか超えて走ることが常態化しているので、はみ出し禁止区間などでは、そういう車は制限速度を守っているトラックの後ろに列をなして連なります。
そうしてはみ出し禁止が解けたところで追い越しをかけて前へと出てゆくのです。
制限速度を守ることは当たり前と言えばそれまでですが、(せめて急ぐ後ろの車を抜かさせればよいのになあ)と思う事がありますが、片側一車線の道路ではなかなかそうもいきません。
高速道路での大型トラックの制限速度が80㎞だったなんて、この記事を読むまで実はよく知りませんでした。
しかし人口減少時代を迎えて、一人一人がもっと付加価値を生産していかなくてはならないとして、社会全体で『生産性向上』が叫ばれる今日、移動のスピードを上げるというのは極めて簡単にできる生産性向上方策の一つと言えるでしょう。
高速道路であれば、ある程度のインフラの整備水準も維持管理水準も高いので制度を改善することで簡単に対応できそうです。
ただそれを敷衍すれば、情報が光ファイバーや高速通信手段の整備でどんどん大量で高速化してゆくのに対して、物流がいまだにとろとろとしか運べないということこそ生産性向上を阻害しているように思います。
考えてみれば、橋やトンネルができることで輸送距離を短くするということがずっと行われてきたわけで、これなどは時間短縮にどれだけ効果があったことでしょうか。
そしてこれからの未来を語るとして、なにも一般道路を全面的に四車線化するなどという無理な投資が必要だと言うわけではありません。
道路用地にゆとりのあるところで、追い越し付加車線をもう少し増やして走行をスムースにするとか、わだちや穴ぼこなどスピードを出せなくなる道路のメンテナンスをもう少し改善するなどで、走行はもっとスムースになるはずです。
AIやGPSによる無人運転やビッグデータの活用など、次世代技術の改良も必要でしょうが、今あるインフラをもっと良好にすることでも、生産性向上や人で不足への対処が可能だと思います。
生産性向上のためにも、何が必要なのかをもっと議論してほしいですし、見逃されていることって多いように思います。