北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

台湾第二の都市、高雄観光

2011-10-31 23:45:55 | Weblog
 今日は台湾の平日ということで、公務班とプライベート班に分かれて行動。

 私はプライベートで台湾島の最南端にある台湾第二の都市高雄市の観光です。

 朝八時半に台北駅を出発する台湾高速鉄道の車両は実になめらかに走り出します。実は台湾高速鉄道は、欧州連合と日本連合との間の受注合戦が国政にまで結びついて大変な騒動を巻き起こした曰く付きの鉄道。

 結局日本連合が大きく盛り返して車両はほぼ日本のものになったのですが、一部にドイツやフランスの技術を取り入れざるを得ず玉虫色の鉄道となっています。

 それでも日本の新幹線を見慣れた者には安心出来る車内の風景です。

 台北駅を八時半に出発して終点の高雄市左営駅への到着は10時06分。最高時速296キロの快適な旅でした。


    ※    ※    ※    ※


 現地の高尾ではガイドの李さんが出迎えに出てくれて、高雄市内を案内してくれることになっています。

 まずは竜虎塔で健康祈願。ここは龍の目と人食い虎の喉を治した医療の神様を讃える建築物で、龍の口から入って虎の喉から出るというもの。

 建物まで行く橋がジグザグになっているのは、古来中華文化では悪霊はまっすぐしか進めないという考え方があるためで、この思想は本州の古い庄屋さんなどでも家への道が曲がりくねっているところに現れているのを見ることがあり、興味深いものがあります。

 続いては高雄で一番高いビルの展望台に登って高雄市内を一望。かつては台湾一高かったビルでしたが、台北市が首都の面子にかけて一〇一タワーを造ったことで第二位の高さとなりました。

 タワーに登ると港湾都市高雄の様子が一目で分かりますし、まだまだ発展の余地のある都市が伺えて感心します。

 かつては日本軍が南進する時の拠点港だったわけですが、そんな歴史も学ぶと興味深いものがありますね。


    ※    ※    ※    ※


 高雄の港からはフェリーで5分の旅で旗津へ渡りました。ここには馬祖様という航海の安全を守る女性の神様がいて、ここへ旅の無事をお願いしてきました。

 最後には高雄名物として必ず紹介されるマンゴーかき氷のお店へ連れて行ってもらい、その味を堪能。

 マンゴージュースの細かいかき氷の上にマンゴーの果実が乗っていて、その上品な甘さは確かに絶品です。この日はサービスでバナナも乗せてもらってゴージャス度も大いにアップです。

 一度も日本に行ったことがないといいながら現地できれいな日本語を使いこなすガイドの李さんに皆で拍手でした。

 高雄を17時30分発の新幹線に乗れば台北には19時06分に到着。新幹線を使った日帰り観光というのも便利です。

 アニメ「千と千尋の神隠し」のモチーフになったという九フン(フンはにんべんに分)も行きたいところ。台湾にはまだまだ魅力があります。

 お互いに近づいた釧路と台湾の関係をもっと深めたいものです。いよいよ明日は帰国です。
 
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動物園の後の台北市内

2011-10-30 23:50:32 | Weblog
 式典終了後は私は全くのフリーで動物園内を散策。

 この日の天候は、式典終了後から小雨が降り出して時折強くなる急変化でしたが、夕方には雨も上がって一安心。

 動物園ではサイやライオン、キリンなど、動物園なら普通はいると思われるようなお馴染みの動物を見て回りました。

 広さも動物の種類も数も、東洋一と言われるだけあってさすがに見所満載で、ことのついでにパンダ舎まで訪れてパンダを見てきました。こちらのパンダは元気よく笹の葉を食べていて観客にかわいらしい仕草を見せつけていました。

 とても一日では回りきれない台北市動物園。ケーブルカーも見られませんでした。また来なくては。


   【パンダは愛らしい仕草です】


    ※    ※    ※    ※  


 動物園を後にして、関係者一行は市内の新光地区にある新光三越デパートへと向かいました。

 こちらでは道庁主催の北海道観光プロモーション事業が行われていると共に、隣の館では日本の物産展が開催中。こちらで活躍しているスタッフたちを激励するのです。

 観光プロモーションを訪ねた時は二回行われるイベントのちょうど入れ替えの時間帯でしたが、まだ一回目の余韻が残る感じ。スタッフも二回目に向けて準備の真っ最中でしたが、感触は良さそうです。

 隣の館で開催中の日本物産展では、今回北海道の物産が初めて登場するという触れ込みで大人気なのだそう。


   【日本商品展なる物産展】


   【超満員の会場】

 実際に行ってみると決して狭くはない会場が人で溢れています。特に大行列ができていたのは鯛焼き。これは釧路ではありませんが、列を整理するのが大変そうでした。

 北海道からはアイスクリームやら柳月などのスイーツ、釧路からは水産加工品が出店されていました。

 台湾の人たちは家では料理をしないので、料理用材料そのものよりは加工してそのまま食べられるものが良い、と聞いていました。

 しかし実際に現場の声を聞いてみると、意外にも昆布なども随分売れているようで、「お金持ちなどは家で料理をするようなことが増えている印象ですね」とのこと。

 またタラコもコンスタントに売れているのだそうで、「保存の仕方や食べ方を現地の言葉で紙に書いて貼っているんですよ」とも。

 でも人気が高かったのは揚げカマボコのようで、食べ歩けるスナックとしても人気があるようでした。

 いずれにしても、今回のタンチョウプロジェクトで北海道や釧路を大いに印象づけて、販売路の充実と共に実業としての物産流通が盛んになるよう願います。


    ※    ※    ※    ※


 新光三越の後は、多少ベタながら101タワーを改めて妻と見学。残念ながら天候が悪くて屋上へは行けませんでしたが、89階からの眺めを存分に堪能しました。


   【台北の夕日】


 ここには多言語対応のガイドフォンが借りられたり、動画と多言語で行う景色紹介のタッチパネルモニターがおいてあるなど、IT先進国としての台湾の面目躍如たる趣があります。


   【三カ国語対応のガイドフォンは国際観光地には必須】



   【動画は風景の早回しが楽しめます】


 言語は大陸の中国語、英語、日本語という組み合わせが当たり前。

 これくらいのことは日本の地方都市だってやれそうなので、大いに参考にすべきですね。

 ホテルへの帰りは市内を巡る地下鉄も利用してみました。切符の変わりにICチップを埋め込んだプラスチックのコインが出てくるのにはちょっとびっくり。


   【ルーレットのチップのような通行証】


   【これが改札機】


 これを改札機の受信部にかざすだけでゲートが開いて、降りる時には回収というわけですが、これなら余計なゴミも出ず環境に優しいですね。

 世の中には後発の利ということがあるもので、先駆者の事績を改善している例は枚挙にいとまがありません。

 新しいニーズに対応した社会作りをどうするか。大いに学べるところは学びたいものですね。




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台北動物園でのタンチョウお披露目式

2011-10-30 23:45:59 | Weblog
 いよいよ今日がタンチョウヅルのお披露目式。この日のために様々な手筈を整えてきたので参加者一同気合いが入っています。

 朝は6時半に起床。朝の集合が7時45分なので早め早めの行動です。

 天気は曇り時々晴れですが、降雨確率は30%とのこと。午前中は何とかもちそうです。

 高橋知事や蝦名市長、王金平台湾立法院長らの到着を待って、式典は10時過ぎに始まりました。

 始めは台湾政府代表として王金平さんからの挨拶。「北海道を訪問した際に『北海道に放射能の影響はありません』という話と聞いて、渡航制限を緩めましたし、私も5月に札幌を訪問した際にタンチョウの話を聞いて釧路まで訪問しました。その時にはビッグにしか会えませんでしたが、今回来てくれて本当に歓迎します」とのこと。


   【王金平院長の挨拶】


 また台北市副市長からも関係者一同に対する感謝が述べられました。

 続いて日本側からは高橋はるみ知事の挨拶で、「2009年に台北経済文化代表処札幌分処ができたときに、読売新聞の内山さんから『台湾がとてもタンチョウを欲しがっている』というお話を聞きました。しかしタンチョウは貴重種なので、簡単なことではなく、蝦名市長を始め関係者にご苦労をおかけしつつ、このたびはニトリさんのご協力で今日のこの日を迎えることができました。台北動物園でタンチョウを見て、その故郷が見たくなったらぜひ北海道へお越しください」という返礼がありました。




 また台北市教育長と蝦名市長からは、それぞれ台湾語と日本語で、『釧路市動物園・台北市動物園・タンチョウ保全宣言』が読み上げられ、登壇者による署名もなされました。


   【蝦名市長の宣言文朗読】


   【登壇者が整列をしています】


 これでタンチョウは正式に台北市動物園に送られることに両動物園が協力しながらタンチョウの保全のために努力する連携が形作られたのです。

 実はこれを受けて、釧路市動物園に台北動物園から人気の動物が借りられないものか、という検討が進められているとのことで、その進捗を楽しみにしていてください。

 その後は記念の植樹式が行われて、ここでも蝦名市長から、「釧路と周辺の自治体からも140名の参加者が今日のために訪問しています。分かりづらいからちょっと立ってもらえますか?」という振りがあり、釧路関係者から大きな拍手がわき上がりました。

 タンチョウは旧阿寒町を含む釧路市だけで保全ができるわけもなく、周辺の自治体が一体となった努力と協力があったからこそですが、今日は弟子屈町長、釧路町長、そして鶴居村の村長が参加しており、蝦名市長からも紹介を受けていました。


    ※    ※    ※    ※



   【これがビッグの住まい。奥に貴華がいるはずなのですが】

 式典終了後は関係者に対してもタンチョウの公開が行われましたが、メスの貴華の方はまだ体調が万全ではないとのことで公開が見合わせられ、今日は雄のビッグだけの公開となりました。

 貴華の体調が早く復活するように祈ります。

 現地ではこの日、20社を超えるマスコミが取材に訪れ、日本からも複数の取材陣が到着していました。

 どこの放送局か分かりませんが(多分NHKか?)テレビでニュース放送があったようで、山口県にいる知人から早速フェイスブックで、「全国放送でタンチョウの話題を見ましたよ」という連絡がありました。

 山口県でも映ったのなら全国放送なのでしょうね。どこか他で見た方はいませんか。

 この冬の北海道の大きな話題として、台湾で大人気のタンチョウの故郷をより多くの方々に見てもらいたいものです。

 実は式典終了後の午後からは小雨が降り出して傘の花が開いたのですが、式典の間は天気が良くてほどよい風があり爽やかな式典となり大成功でした。台湾訪問に参加してくださった多くの関係者の皆さんに、心から感謝と敬意を表します。ありがとうございました。
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台北市内観光 ~ 儀仗兵の交替

2011-10-29 23:45:17 | Weblog
 台北での二日目。今日は一日フリーなので台北市内観光です。

 まずは忠烈祠という、台湾が戦争で亡くした軍人の英霊を祀ってあるところで儀仗兵の交替の様子を見てきました。




 儀仗兵は、入り口に二人が配置されていて一時間に一度交替をします。交替と言いながらその動作は非常に独特なもので、一つの観光要素になっているのです。


 ここ忠烈祠での儀仗兵は、陸・海・空軍のそれぞれが交替で警備に当たっていますが、それぞれの制服が違うのだそうで、白い制服は海軍のものだそう。

 しかもいずれも身長180センチ以上という体格が必要でイケメンも条件なのかも知れません。また、交替してからは1時間、微動だにしてはならず、厳しい忍耐が必要な仕事でもあり、まさに選ばれたエリート揃いなのです。
 
 それにしても、日本人の観光客も多く来ていましたが、国を守るために命を捧げた人たちへの敬意と尊敬を集める施設という意味がどれだけ分かっているのだろうか、と思います。

 軍務に観光要素があるという幸せな日々が続くことを願わずにはいられません。




    ※    ※    ※    ※


 その後は今一番台湾で人気のスポットの故宮博物館を見学。たった一時間の見学では興味あるコーナーもほとんど見ることができず、次の機会への渇望が募るばかり。

 人気の故宮博物館の中でも最も人気があるのは、302号室に飾られている「翡翠の白菜」です。

 なぜ白菜?と不思議でしたが、元来翡翠というのは単色であることが望まれる要素なのでした。それが、白と緑が混ざった素材では本来価値ある宝にはならないところを敢えて白を白菜の白い部分として使い、また緑の部分を白菜の緑にとして使いさらには多産の象徴である緑色のキリギリスまであしらっています。

 おまけに台湾語で白菜というのは、女性の純潔を表す単語と同じ音をもつのだそうで、これがために使い物にならない素材が台湾を代表する宝物に姿を変えたのだそう。

 歴史と物語のある国には良い宝物がありますね。もっと見たい故宮博物館でした。


    ※    ※    ※    ※


 さて、台湾にまでパソコンを持ち込んできたのは良かったのですが、なんと電源のケーブルを荷物に入れ忘れたようでした。

 充電の量だけで起動するのは辛いところ。そこで通訳の方に、「この辺に電気屋さんはありませんか」と訊いたところ、「忠孝新生駅の近くに電気屋街があって秋葉原みたいですよ」とのこと。

 何とかそこまでたどり着いてお店を巡り歩いてみたところ、まさに秋葉原のジャンクショップみたいなところがありました。


   【よくぞ売っていたもんだ、すごいぞ台湾】


 そこでまさに欲しい規格に合致するケーブルを見つけてゲット。日本円でわずかに130円足らずのケーブルですが、これがなくて苦しい思いをしました。

 ジャンクショップのおかげでやっと今日になってパソコンを満足に使えるようになったというわけ。

 ピンポイントで欲しいケーブルが手に入るという台湾の底力に感謝です。いや、たいしたもんだ。

 明日はいよいよ動物園でタンチョウのお披露目。好天を祈ります。

 
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さあ台北へ出発!

2011-10-28 23:45:26 | Weblog
 ちょっと遅れた台湾レポート。パソコンが使えなかったので遅くなりました。

 まずは昼前に釧路空港に到着。まずは順番に航空券を受け取って人数を確認します。

 今回は復興航空が釧路へ飛ばすチャーター便に帰る形で台北への旅を企画しました。150人乗りの飛行機に台北から140人、釧路からも139人が参加しての台北への旅となりました。

 公式行事グループは、観光グループや物産グループ、教育グループなどに分かれて行程を組んでいて、それぞれが一緒になる場合もあれば別々に行動することもあります。

 全体をコントロールする港湾チームと観光チームの担当者の苦労に敬意を表します。

 釧路空港では二人いる副市長のもう一人の松浦副市長から出発への激励挨拶があって、いよいよ復興航空の飛行機で出発です。




    ※    ※    ※    ※



   【いざ出発】

 飛行機の旅は順調で、機内食を楽しみながら4時間のフライト。

 台北空港では前回訪問でもお世話になり、9月には台北から訪問してくれて見慣れた台北動物園のスタッフたちが横断幕を持ってで迎えに来てくれました。

 やはり友人、知人が出迎えに来てくれるというのは嬉しいものですね。


   【台北動物園のスタッフの出迎えです】


    ※    ※    ※    ※


 事前にネットで調べたところ、台北は『この四日間はずっと雨』という予報でがっかりしていたのですが、現地で話を聞くと明日も30日も午前中まではもちそうだ、ということで少し元気が出てきました。

 気温は22℃もあって外に出たら暑いくらい。まずは英気を養って、明日からの旅に備えましょう。
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子育ての社会化をデザインする

2011-10-27 23:43:39 | Weblog
 札幌から教育関係に従事する友人が仕事で釧路を訪ねてくれました。

 釧路の子供たちの学力低下を話すと、「学校教育の分野だけで対応することはできないのではないでしょうか」とのこと。

「ではどうすればよいと思いますか?」
「本当は家庭教育が担うべきですが、それもかなわないとなると家庭の分をどれだけ社会教育がカバーできるか、いわゆる子育ての社会化がカギになると思います」

「なるほど、子育ての社会化ですか」
「はい、寝るための8時間、学校での8時間、その残りの8時間をだれがどこでどんなふうに子供を育てるかをデザインすることを考えてはいかがでしょう」

「なるほど、では児童館のようなものを活用するということですか」
「児童館は児童福祉法で規定されている、子供たちに健康と情操を豊かにするための施設です。しかし本来子供たちを含む地域の住民の皆さんな文化や教養の向上となると公民館が本来その役割を果たすべきなのだと思います。本州では公民館を上手に使って放課後の子供たちの面倒を見て、学力やコミュニケーション能力を向上させている例がかなり多いですよ。不思議に北海道はそういうことが少ないのでしょうか」

「掛川では生涯学習センターと呼んでいて、それを学校に併設する形で担っていましたね」
「生涯学習と呼んでいても良いですが、要するに教育委員会の中で社会教育の分野にもっと気を配ってはいかがでしょうか。その分野の人材や予算を上手に使うことで、地域の意識を向上させ、子育ての社会化を果たすことかなあ、と私は思っていますが」

「北海道の学力は全国でもほぼ最下位ですが、釧路は道内でもさらにランクが…」
「北海道の下には沖縄があると思われているかもしれませんが、ある学年のある教科など、特定の分野では全国で最下位なのがあるんです。もう黙っていたら上になど上がれないところにいるんだという自覚をもてば、何も恐れることはないのではありませんか。何もやらずにダメになるなら、なんだってやってみればいいのだと思います」


 もはや特定の分野では全国で最下位のものもある、というのはやはりショックです。

 学校教育を補完する地域での子育ての社会化という提案をどれくらいわが市は受け止められるでしょうか。

 なんだってやってみるという踏ん切りをつけるにはどうすればよいでしょう。

 職員が自らの役割をもっと広げられるような体制だけは整備しておきたいと思います。


    ※     ※     ※     ※     ※


 さて、いよいよ明日から妻とともに台湾へ行ってきます。

 基本的にはプライベートな旅という形なので公式行事には参加しない旅です。

 動物園のお披露目式には入れるんだろうなあ…。
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レジメは話題の詰め合わせセット

2011-10-26 23:45:02 | Weblog



 最近の市政のビジョンについて話をしてほしい、という依頼を受けて、「良いですよ」と言っていたら、今日は講話が昼と夜の二回になっていました。

 お昼は北ロータリークラブで40分間のお話で、夜は商工会議所女性会で一時間というご依頼。

 講演や講話をする際の資料として、最近はよくパワーポイントで映像を見せたり、そのスライドをそのまま印刷して配ったりするものですが、いろいろやった上で「やっぱりこれかな」と思うのが、A4一枚にキーワードを羅列するレジメを配布するやり方。

 これって掛川市の榛村市長がたどりついた一つの様式美ですが、三年間一緒に榛村さんと仕事をする中でやり方を真似て真似て、ようやく身についたものです。


    ※     ※     ※     ※     ※


 レジメづくりの中で榛村さんから得たものは、「必ず一枚の資料を持ち帰ってもらうこと」、「資料は自分の言葉から作ること」でした。

 政治家が演説の内容を資料として持ち帰ってもらう、というのを聞いて、「もしできなかったことを考えると危険ではありませんか?」と訊いてみたことがありましたが、その答えは、「政治家がそうやって言葉を空気に乗せて終わりにしてしまって、自分の言葉に責任を取らなくなったから政治が世間から馬鹿にされるようになったんだ。僕は自分の言葉で市民に対して手形を切っているつもりなんだよ」というものでした。

「もし聴衆が昔の証文を持ってきて、『なぜこのときに言ったとおりになっていないのか』と訊いてきたらどうするのですか?」
「はっはっは、僕の資料をそんなに後生大事に持っていてくれて、おまけにその時と違うのはなぜか、なんて説明を求めるくらいになれば立派なものだよ。もちろん、何がどう変わったのかをちゃんと説明しますがね」


 『政治家が言葉に責任を持たなくなったから政治がダメになった』という言葉は重いものがあります。ましてそれを配って形に残すというのは勇気がいることです。政治家は、言葉への責任と説明する勇気を持ち合わせなくてはならない、という言葉に感心したものです。

 また、形にして持ち帰ることで、単に「なんだかいい話を聞いたような気がする」というふわふわした記憶ではなく、レジメを見返しさえすればあの時何を言っていたかを思い出してもらえるし、身内や家族にも話したことのいくばくかが伝わるかもしれない、とも言われたことも印象的でした。

 言葉は形にしておかないと消えてしまいますが、その分量が多すぎてもいけません。ぎりぎりの分量がA4一枚と言う分量なのです。





    ※     ※     ※     ※     ※


 また「資料は自分の言葉で作らなくてはならない」という哲学も立派なものでした。

 榛村さんは、一日三回の講演会があれば、全部少しずつ違った表現や言い方のレジメを作りました。聴衆の顔を思い浮かべながら、あるいはその後に思いついたことをすぐにレジメに盛り込んで常にその時点で最新の情報内容にすることに心を配っていたのです。

 榛村さんの場合は、レジメの中に使う言葉に独特の表現美学があって、一見「ん?どういう意味だ?」と思わせるようなものが多くありました。

 たとえば「一世紀一週間人生を目指せ」などと書かれると、読んだ人は「これはどういう意味だ?」と関心を寄せるようになります。そこに話を聞いてくれようとする動きが起きるのだ、という哲学でした。

「ははは、これを称して『あれはなんだ効果』と呼んでいるんだよ」 聴衆の心理もつかみながらの講演は随分面白く聞いたものです。


    ※     ※     ※     ※     ※


 レジメにキーワードさえ書いておけば後は時間との兼ね合いで、その話題で記憶の引き出しをいくつ開けるかということだけが問題になり、だから時間の調整に苦しむということもありません。  

 与えられた時間の範囲で伝えたい話題を縦横無尽に詰め合わせにしてお届けする榛村流のレジメ作成術。

 今ではもうこれも私しかやらなくなったのかもしれませんが、この姿を見て誰かが真似たりしてくれるでしょうか。

 パワーポイント全盛時代の中で、レジメによって聴衆を寝させない講演をする一つの様式美はどこまで通じるでしょうか。

 さて、次のご依頼をお待ちしています。
 
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除雪に悩む日々

2011-10-25 23:45:34 | Weblog
 涼しいことが売りの釧路といえども暑い夏の日はあります。

 そんな一日、道路維持の担当者は汗を拭きながら地元の土木業者さんを回ります。

 普通は業者が市役所へ来て名刺を配ったり営業をしたりするものですが、ここだけは別。今年の冬の除雪を担当してくれるようお願いに回っているのです。

 北海道は積雪寒冷地と言いますが、釧路の冬は積雪はそれほど多くはないけれど寒冷地には違いありません。

 一冬で除雪車が出動するのはせいぜい数回。しかしそんな数でも除雪体制を備えて、「雪が降りそうだ」となれば待機をし、「いざ積雪!」となれば除雪車を出動させなくてはなりません。

 釧路は市内を6つのブロックに分け、さらにぜんぶで約140もの細かい除雪単位に分けてそれぞれに業者さんを張り付けるという除雪体制を組んでいます。

 かつて公共事業が潤沢にあったころは、夏にそれなりに収入を得られて、冬の除雪などはサービスという感覚が強くありました。どうせ使わない機械を使って小遣いを稼げればよいくらいの感覚。

 ところが夏の公共事業が減ってきたことで土木業者の経営体力は衰える一方。使う当てのない機会は持っていても仕方がないので売ったり、普段から機械を持たずに使うときだけレンタルで借りたりする業者さんも増えました。

 そもそも除雪車を操作できるオペレーターが冬には内地へ出稼ぎに行ってしまい、地元で運転できる人を調達するのにも苦労をするようになりました。





    ※     ※     ※     ※     ※

 
「もう今年が最後だと思ってください」

 そういわれる業者さんも増えました。夏の公共事業もとれず、冬の除雪でも一度や二度の出動では重機のレンタル料を賄うほどの収入にもならないと言います。

「これまでは公共事業でお世話になったという恩があるから冬はボランティアでも良いと思っていましたが、さすがに赤字の年が続くとやっている意味が分からなくなりますし、おまけに市民からは『除雪に来るのが遅い』とか『除雪の仕方が悪い』とクレームもきたりするとモチベーションも上がりません」 


    ※     ※     ※     ※     ※


 維持事業所の担当者は、「実際、土木業者さんだけでは数が足りていません。だから広い構内を除雪している中古車の販売会社へ飛び込んで、その機械で周辺の道路を除雪してくれませんか、と頼み込んで了解を取り付けたことさえあります」と語ります。

 国の直轄道路や道道の維持管理ではまだ予算も多くつけて機械もしっかりそろえた体制を組めていますが、市道の除雪では十分な予算もなく、綱渡りで業者さんを拝み倒しているのです。


 また、儲からない冬の除雪を一生懸命やってくれる社会奉仕の精神に満ちた業者さんがいれば、その一方でそういうことに関心のない業者さんもいます。

 一部の事業では指名登録をする条件として冬は除雪を引き受けるということを明記しているところもあり、方やそうした指名登録制度を用いていない事業の業者さんへは非難の声さえ起きつつあります。

 世の中のことは因果がめぐり、あるところで利益を得ようとするとどこかで不利益を発生させることになります。

 わがまちを適切に維持する能力が衰えてくるという不安は、年年歳歳その度合いを深めています。

 何かを悪者にして溜飲を下げていればよいというものではありません。どのようにして地域社会を守ってゆけば良いのか、頭を悩ませる日々は続きます。
  
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週末は台湾へ

2011-10-24 23:45:36 | Weblog
 いよいよ今週末には台湾へ向かうことになりました。

 準備もいよいよ佳境に入っていますが、いまだに詳細の日程が詰まっていない部分もあって、担当の皆さんも胸突き八丁の日が続きます。

 私の旅も、書類は来たものの請求書らしきものもなかったので旅行会社に訊いてみましたが、なんだかそれどころじゃない雰囲気が伝わってきました。

 私の方も現地での動きがまだよくわからないので、現地での友人に声をかけようかどうしようか迷っています。そろそろ最終の確認会議が行われるとのことなので、そこでチェックしてみなくては。

 前回は観きれなかった台湾をより深く見てみようと思います。 


   【101タワーは必見】



 一方、釧路から台湾への訪問団も、今日現在で141名になったという連絡を受けました。それぞれ関係者の努力でチャーター機の満席150人に限りなく近づきました。ご協力に心から感謝します。

 関係者と担当者の皆さん、もう少しなので頑張ってください。向こうに渡ってしまえば、多少のトラブルは現場力でしのぐしかありませんから。


    ※     ※     ※     ※     ※


   【台北動物園の管理事務所】


 先日札幌に住む母がママさんコーラスの交流で、台湾からのコーラス隊の合唱を聴きに行ったそうなのですが、その際の挨拶で先方から、「今度釧路から二羽のタンチョウがやってきて、釧路からも訪問団が訪れてくれるんです」と嬉しそうに言っていたよ、という話を聞きました。

 やはり台湾ではタンチョウを贈られたことを大歓迎してくれているようで嬉しくなります。

 二羽のタンチョウのお披露目式は10月30日の日曜日。日本でも大いに報道してほしいところ。タンチョウの美しさや優雅さをもう一度日本人が再認識してくれないものか。

 真の良さは外から知らされることが多いのです。


   【台北の小路、台湾が俺を待ってるぜ】  
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くしろ夕日シンポジウム

2011-10-23 23:45:14 | Weblog

   【大澤理事長のあいさつ】


 釧路青年会議所(JC)が主催する「くしろ夕日シンポジウム」を見てきました。

 くしろ夕日プロジェクトはJCが2009年から始めたプロジェクト。毎年会長が変わるJCでは単年でのイベントが行われがちですが、釧路の夕日を地域に根付かせるには最低三年間は継続しよう、と最初から決めて取り組んだのです。

 実は釧路の夕日は1965年に釧路十景として選ばれたらしいのですが、それから40年以上もその資源を活かそうとする動きはなかったようです。

 そこでとにかく市民に夕日を認知してもらおうと、JCでは数々のイベントを実施しました。まずはフォトコンテストに始まって、2010年にはタクシーに貼るステッカーを作ったり、夕日PRリーフレットを作ったり、東京に夕日のラッピングバスを走らせたり、夕日文化祭を実施したり…。


    ※     ※     ※     ※     ※


 やがてそれに呼応して市民や企業の中から夕日への関心が高まり始め、シンポジウムの中では、そうした夕日に関連した活動について各団体から活動報告がありました。

 飲食店主の大野さんは、サントリーとともに「くしろ夕日ハイボール」をつくり、市内の飲食店に積極的に置いてもらえるように交渉をしました。

 今では釧路管内で200以上のお店が夕日ハイボールを提供するようになったとのことですが、まさにJCの活動がなければこれだけのお店の協力は得られなかったでしょう。

 今では「飲んで参加するまちづくり」として面白がる人も増えてきたようです。ご当地でしか味わえない希少性が良いですね。


 今年からは夕日が沈んだ後の夕焼けのライブ映像をスマートフォンでゲリラ的に発信する「くしろ夕焼け倶楽部」が活動を始めたほか、夕日を取り上げた春採り中学校の校内新聞、北陽高校での番組制作なども紹介されました。

 さらに愛国郵便局の前川局長からは、くしろ夕日切手シートの販売について報告がありましたが、発売と同時に初版は一週間で完売、急きょ増刷したものもすごい勢いで売れたんだそう。
 
 バリ、マニラとともに世界三大夕日と言い続ける釧路ですが、継続は力なり。これからも言い続けて力をつけてゆきましょう。
 

   【くしろ夕焼け倶楽部の活動報告】


   【春採中学校の校内新聞】


    ※     ※     ※     ※     ※

 
 さて、こうして都市ブランドの一助となりつつある釧路の夕日ですが、これをさらにこれからどう活用してゆくかが課題です。

 JCの担当者に訊いても、これからどうしようかについての作戦はまだのよう。

 これからご当地商品への企画を企業にぶつけようと思うと、商標登録やデザインコードやロゴ、あるいは利用のための約束事もあった方が良いかもしれません。

 キャンペーンの段階から発展的にモノやサービスが売れるビジネスのステージにに結び付けるように努力をしなくては。


 しかしまずは釧路全体が夕日を面白がるその姿が大切です。

 「近者悦べば遠者来る」とは論語の言葉。自分たちが面白がって楽しむことから始めましょう。

 JCのこれまでの活躍に心から敬意を表します。




   【フォトコンテストの表彰も行われました】
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