先日の美唄での講演会での話。
話の話題の中で、「何のために情報発信をするのか」ということを説明する場面がありました。
そこでの私の考えは、「受け取った側に心の変化をもたらすため」というもので、そこには段階があって、(無関心→)「認知」→「共感」→「参加」→「率先」という四段階があると説明をしました。
情報を発信することで、無関心つまり知らない人に対して、まずお知らせをするというのが「認知」の段階です。
選挙の際に候補者がひたすら名前を連呼するのは、まず「認知」の度合いをあげるためなのです。知らない人よりは聞いたことのある人に投票するというのが現実かもしれませんが、それだけではちょっと寂しい気がします。
次の段階が「共感」のステージで、知ったものや人に対して、「うん、それはいいな、好きだな」と思ってもらう段階のこと。
コマーシャルでは良い商品イメージをそこで植え付けるために人気のある芸能人をつかうわけで、キャラクターの良いイメージを商品に重ね合わせる手法ですね。
また、商品であれば有効な効果を説明することも良いでしょう。
その次が「参加」のステージで、何かの誘いごとであれば実際に自分も行くという実践行動です。商品であれば対価を払ってでも買うという行動のことです。
最後が「率先」のステージで、ここまで来ると、自分が参加したイベントに人を誘ったり、商品であれば他の人にも勧めるという行動に出ることを意味します。
ここまで心に火がついていれば、もう自分自身で新たな道を切り開いてゆけるもので、ときには自らがリーダーとなって他の人を導くような行動もとれるでしょう。
情報発信とは、受け手に対して感動や喜びの心を沸き起こさせて行動に変化をもたらすために行っている、ということをまずは理解しておかなくてはなりません。
こうした目的意識を持たないままに、認知向上のレベルにとどまっている広報宣伝や情報発信というのは案外多いものです。
【さあ、ステージを上げましょう】
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講演がひと通り終わったところで会場から質問を受けました。
すると一人の若者が手を挙げて、「認知から率先というステージがあるということは分かりましたが、まずは認知を共感のステージに持ち上げるのが大変なのではないかと思います。そこにどのようなコツがあるのでしょうか」という質問をしてくれました。実によい質問です。
私からの答えは、「そのためには情報発信者が信頼されて好かれるということが必要だ」というものでした。
そして情報発信者が信頼されて好かれるためには、発せられる情報が誠実であるかどうか、態度が不遜ではないこと、発せられる情報に感動がこもっているかどうか、などの好ましい条件が整っていることが必要だと思います。
これが実際にできるかどうかのためには一つの条件と二つの段階があります。
一つの条件とは、自分自身が誠実であること、あるいは誠実であろうとしていることで、まずここに偽りの気持ちなどがあった場合は、情報が数多く発せられる中でかならずやメッキは剥げると思わなくてはなりません。
大衆を短時間、少数を長時間だませても、大衆を長時間だますことはできないものです。
次に二つの段階とは、まず一つ目は自分の感性を磨いて、見聞きしたことの中に感動の気持ちを見出すことができるようにすること。そして二つ目はその感動を外に対して伝えるための文章など、表現方法を磨くことです。
この二つはある程度練習を積むことで伸びるスキルであると思っています。
こうした自分自身の感性や表現能力に磨きをかけて情報発信を続けてゆくことで、信頼を得て好かれることができ、そこで初めて発する情報に共感の心が得られることでしょう。
そしてこのことは、一度や二度の機会では無理で、常日頃からの言動や数多くの情報の質によってようやくえられるもので、地道な積み重ねこそが求められるのです。
逆に言えば、少しでも早く自ら誠実な情報発信や信頼を得られる行動を積み重ねてゆかなくては得られない高みでもあると言えるでしょう。
それが実践できるかどうかはひとえに自分自身の問題です。
思ったら実践してみることです。今生の寿命は案外短いものですよ。
成功をお祈りしています。