玉原高原(群馬県沼田市)に、高層湿原(玉原湿原、標高1,300 m)がある。規模は大きくないが、この湿原の植生は興味深い。湿原を訪れ人はあまり多くないので、木道から花を静かに眺めることができる。
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先週(7月5日)、湿原ではサワランやトキソウの花が咲き始めた。まだ、緑の中に点在している程度であるが、サワランの花や蕾は目立つ。
紫紅色の花は周囲の緑から浮かび出るようであった。花は小さく(2 - 3 cm程度)、開く程度も控えめである。しかし、このものの濃厚な色と美しい造形には、見る人を唖然とさせるようなインパクトがある。
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湿原での雪融けが遅かったために、花々の開花が遅れているとのことであった。しかし、私達が木道を歩いたとき、トキソウ、ワタスゲ、ヒオウギアヤメ、オゼヌマタイゲキ(オゼタイゲキ)、キンコウカなどが風で揺れていた。
緑の中に、トキソウ(鴇草、ラン科)の花
ワタスゲ、ヒオウギアヤメ、オゼヌマタイゲキ(オゼタイゲキ)(トウダイグサ科トウダイグサ属)、そしてブナの森
花が開き始めたキンコウカ(金光花、金黄花、ユリ科キンコウカ属の多年草
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おわりに、湿原の案内板
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サワラン(沢蘭、ラン科サワラン属の多年草)
本州中部以北、北海道の山中の湿原に自生している。花茎が葉よりも高く伸びて、一輪(稀には二輪)の花が横向きに開く。花の色をたたえて、このものには「アサヒラン(旭蘭)」との別名がつけられている。
日差しを受けているときの花の色は鮮烈である。花をマクロレンズや望遠レンズでクローズアップしたとき、私は輝く紫紅色の造花が目の前にあるとの錯覚に陥りそうになった。多分、花に含まれている色素が紫外光によって発光(蛍光発光)していたのであろう。花茎の高さは20 cm程度。変種としてシロバナサワランがある(玉原湿原では見なかったが)。
トキソウの花などは、次回の記事としたい。
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