里村専精先生の「浄土真宗にようこそ」No40をお届けします。
源信僧都は、天台の学僧です。
けれども、親鸞聖人は一味違う受け止め方をしておられます。
それは、同じサンガに生まれられた人という意味です。
源信僧都その人は、生涯天台宗の本山である比叡山から出られることはありませんでした。
ですから、日本天台学の大切な学問僧である評価は変更することはありません。
ただ、比叡山では恵心流の念仏という、大切なジャンルを守る人でした。
視野を大きく取り直した時、源信僧都は玄中寺の善導大師のサンガの流れに繋がります。
善導大師のお弟子さんの、懐憾禅師の流れを受けておられるからです。
大唐の都長安で、善導大師の周辺には新しいサンガが展開していたはずです。
今月のページの中に写真を掲載していますが、
香積寺とその塔は…、懐うん(えうん)という名の、
善導大師のサンガの一人が、善導大師のために建立した寺です。
懐憾禅師も、同じサンガの流れに生きて、ともに阿彌陀仏の浄土に往生する一人でした。
源信僧都は懐憾禅師の学びをうけて、報土と化土という大切な心得を残しておられます。
親鸞聖人にとって同じサンガの感覚を、比叡山横川に生きられた先輩に感じ取られたのでした。
サンガに立てば、日本や中国での宗派の違いなど、ほとんど問題にならなくなるのです。
浄土は阿彌陀仏のサンガですが、それは三世十方の諸仏世界を包むものなのですから。
源信僧都の自覚は有名です、自分を「頑魯の者」と呼んでおられます。
が、このような自覚は、ひときわ大きな仏道に照らして出てくる言葉ではないでしょうか。
私たちは、念仏往生・浄土讚仰の、その深さを知ることができます。
報土と化土とという二つの国土、仏道を取り違えて落込むわながあります。
本願に相応した報土を無視すると、自力で模索した化土に堕す畏れがあります。
大きな本願荘厳の浄土へ、源信僧都は歩みを進められたのでした。
本願荘厳のサンガに帰入してこその源信僧都だと、親鸞聖人は頂かれたものでした。
仏教について詳しい学者だというだけでは、それはあくまでも部外者なのです。
カウンセリング研究会【くりのみ】親鸞とカウンセリングコースは、
『教行信証』の音読&『正信偈』読誦&楽談をしています。
小さな学習会ですが、内容充実・楽しい“時空”です。
ぜひ、お出かけください。
7月の学習会は…
7月18日(土) 親鸞とカウンセリングコース
会場:タワーホール船堀 午前10時~12時
*9時~10時、自由参加の自主学習タイムもあります。
写経・声明等、各自の課題に取り組んでいます。