里村専精師の「浄土真宗にようこそ」No84をお届けします。
安田理深先生が残された、多くの課題があります。
例えば、親鸞までは三経の厳密な区別は存在しなかった、というものです。
中国の三祖たちにも、ヒントは出ていますがきちんとした区別がありません。
法然上人が「三経一論」と教えられたものの、その区別はありません。
現代から見れば、親鸞が三経の分析を終わっているということは驚くべきことです。
顕彰隠密の義があるという、そういう着眼のヒントは善導大師の観経蔬によります。
けれども、善導大師には広く三経に渡る検証はありません。
中国の三祖と龍樹・天親の学びを承けて、親鸞は「教行信証」を表します。
それは二回向四法という組織で知られていますが、こういう組織は伝承を承けた己証なのです。
真実の歴史というものは、人類文化史のようなものではありません。
それは人間を救済し、人間を成就する歴史の促しに基づいたものです。
伝承のない己証だったら、それは不遜なミスティシズムかもしれません。
そして己証のない伝承も、空しい空疎な流転でしかありません。
真理は流転しませんが、人類ははてしなく流転します。
真理に基づいた歴史を承けて、親鸞は歴史の人としてその存在責任を果たしています。
伝承に応じた己証には、新しい歴史展開の素晴らしい業績がのこります。
現代の親鸞教学に、このような歴史展望があるのかどうか。
流転の群生海にとって、由々しき一大事なのですが…。
《声明カウンセラー・くりのみ》は、以下の学習会を主宰しています。
◇カウンセリング研究会【くりのみ】 *タワーホール船堀
*道元とカウンセリングコース
*親鸞とカウンセリングコース
◇「歎異抄」うたと語り合い in 願海庵 *本郷三丁目「願海庵」
◇(願海庵)やさしい仏教塾 *本郷三丁目「願海庵」
日程はコチラから。
↓
http://www.ab.cyberhome.ne.jp/~kurinomi/calendar/calendar.htm
《声明カウンセラー・くりのみ》は、
『教行信証』『歎異抄』『正法眼蔵』の音読&『親鸞和讃』をうたっています。
ご同行の皆さんのご参加をお待ちしています。