アメリカのミステリー作家、マイクル・コナリーの19作目、「真鍮(しんちゅう)の評決」が講談社文庫の1月新刊で刊行。コナリーの本は、ジェフリー・ディーヴァーと並び、一番期待を裏切らないキャラクター・シリーズを書き続けている。今回も全く期待を裏切られない。冒頭からラストまで、「一読、巻を措く能わざる」(いちどく・かんをおくあたわざる=最近「ページターナー」なんてイングランド語(米国語?)で言う人が多いけど、「日本語」だとこういう表現があるわけです。)小説です。
巻末に著作リストがあるけど、僕は全部読んでる。時々やり過ぎと思うこともあるけど、その度合いはディーヴァーやスティーヴン・ハンターより少ない。この本は、リンカーン弁護士シリーズの2作目。だけど、コナリー最大のシリーズ、ロス市警のハリー・ボッシュが捜査担当者として出てくる。コナリーの得意技に、登場人物そろい踏みがある。ボッシュシリーズを書きながら、当初は独立したミステリーとして、新聞記者ジャック・マカヴォイ(「ザ・ポエット」)や心臓移植を受けた捜査官テリー・マッケイレブ(「わが心臓の痛み」)を書いた。それがまた面白くて評価を受けると、今度はシリーズに昇格し、その中でハリー・ボッシュと共演したりする。
そうやってマンネリ化を防ぎ、新アイディアを出し続けていた。マッケイレブは死んでしまったので、もう出てこないが、新しく始まったのがリンカーン弁護士シリーズ。リンカーン弁護士と言うと、弁護士の姓かと思うが、事務所を持たずに高級車リンカーン(フォード社)の後部で仕事をするのである。その名もマイケル・ハラ―は、パソコンを車内で操り提出書類を裁判所に電子メールで送る。そういう弁護士なのである。前回初登場で、大変面白かった。その2作目で、法廷小説の形をとるが、警察捜査小説でもある。最後の最後に、事件の本筋以外の点で、ビックリの展開がある。あれま。
ハラ―弁護士は、銃撃を受けて治療中に薬物中毒になり、リハビリ途上。1年間何の事件も手掛けていない。そこへ突然事件が多数舞い込む。知人の弁護士が殺害され、契約事項に引き継ぎ弁護士はハラーとなっていたという事情。引き継いだ弁護士の書類もパソコンも、殺害と同時に奪われ何の事件を手がけていたかもわからない。ただ、ハリウッドの大物プロデューサーが妻と愛人を銃殺した容疑の事件があることは知っている。突然、大もうけの事件を担当することになるが、無実を主張する被告人は本当に事件と関係ないのか。一方、弁護士殺害事件の捜査を担当するボッシュの捜査は何をめざしているか。
というような設定で、実にうまいよ。アメリカの裁判制度、特に陪審の実情、銃や薬物の問題、親子の関係など盛りだくさんな中に、裁判シーンのスリリングな展開は無類の面白さ。でも、最後の結末は全然予想できなかった。というか、これは予想しようがないですね。ボッシュシリーズを全部読むのは大変だけど、前回の「リンカーン弁護士」を最初に読む方がいいとは思います。まあ、もう前作はほとんど忘れて読んだから、まあ、これだけ読んでも十二分に面白いと思うけど。
巻末に著作リストがあるけど、僕は全部読んでる。時々やり過ぎと思うこともあるけど、その度合いはディーヴァーやスティーヴン・ハンターより少ない。この本は、リンカーン弁護士シリーズの2作目。だけど、コナリー最大のシリーズ、ロス市警のハリー・ボッシュが捜査担当者として出てくる。コナリーの得意技に、登場人物そろい踏みがある。ボッシュシリーズを書きながら、当初は独立したミステリーとして、新聞記者ジャック・マカヴォイ(「ザ・ポエット」)や心臓移植を受けた捜査官テリー・マッケイレブ(「わが心臓の痛み」)を書いた。それがまた面白くて評価を受けると、今度はシリーズに昇格し、その中でハリー・ボッシュと共演したりする。
そうやってマンネリ化を防ぎ、新アイディアを出し続けていた。マッケイレブは死んでしまったので、もう出てこないが、新しく始まったのがリンカーン弁護士シリーズ。リンカーン弁護士と言うと、弁護士の姓かと思うが、事務所を持たずに高級車リンカーン(フォード社)の後部で仕事をするのである。その名もマイケル・ハラ―は、パソコンを車内で操り提出書類を裁判所に電子メールで送る。そういう弁護士なのである。前回初登場で、大変面白かった。その2作目で、法廷小説の形をとるが、警察捜査小説でもある。最後の最後に、事件の本筋以外の点で、ビックリの展開がある。あれま。
ハラ―弁護士は、銃撃を受けて治療中に薬物中毒になり、リハビリ途上。1年間何の事件も手掛けていない。そこへ突然事件が多数舞い込む。知人の弁護士が殺害され、契約事項に引き継ぎ弁護士はハラーとなっていたという事情。引き継いだ弁護士の書類もパソコンも、殺害と同時に奪われ何の事件を手がけていたかもわからない。ただ、ハリウッドの大物プロデューサーが妻と愛人を銃殺した容疑の事件があることは知っている。突然、大もうけの事件を担当することになるが、無実を主張する被告人は本当に事件と関係ないのか。一方、弁護士殺害事件の捜査を担当するボッシュの捜査は何をめざしているか。
というような設定で、実にうまいよ。アメリカの裁判制度、特に陪審の実情、銃や薬物の問題、親子の関係など盛りだくさんな中に、裁判シーンのスリリングな展開は無類の面白さ。でも、最後の結末は全然予想できなかった。というか、これは予想しようがないですね。ボッシュシリーズを全部読むのは大変だけど、前回の「リンカーン弁護士」を最初に読む方がいいとは思います。まあ、もう前作はほとんど忘れて読んだから、まあ、これだけ読んでも十二分に面白いと思うけど。