尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

信州の鎌倉-東信旅行②

2013年11月21日 23時47分24秒 |  〃 (温泉)
 長野県上田市の別所温泉塩田平のあたりを「信州の鎌倉」とよく呼んでいる。文化財がたくさん集中していると共に、北条氏の一族が支配し、鎌倉時代にさかのぼる寺院が多いこともあるだろう。旅館に囲い込まれて町を歩く人が少ない温泉も多いが、ここは草津や道後のように温泉街を回る人が多い。外湯も3つあるし。僕は前から大好きで、今回で5回目の泊まり。だけど、近くの別の温泉(鹿教湯、沓掛など)に来た時も別所温泉を回ったことがある。上田駅から上田鉄道というかわいい私鉄が通っているので、電車でもすぐ来られる。それも昔行って面白かった。しばらく来てなかったけど、とてもいいところで、関東関西からは一度は行きたい温泉。

 この地域の文化財は数多いが、やっぱり一番の魅力は、国宝の二つの塔だと思う。別所温泉街の安楽寺と、少し離れた青木村の大宝寺の三重塔である。まず、その二つの塔の写真を載せておきたい。前者が安楽寺で、四重に見えるが一番下は裳階(もこし)で、さらに八角三重塔と言う実に珍しい形式。写真ではその素晴らしさが伝わらない。日本を代表する塔の一つだと思う。一方、次の大宝寺は「見返りの塔」と呼ばれる美しい塔で、見飽きない塔で、どちらも優劣つけがたい立派な国宝だと思う。
    
 車を安楽寺に停めて、まず大好きな八角三重塔を見に行く。石段を上り、寺内に入ると、鐘楼と刈り込まれたコウヤマキの巨木が目に入る。料金所を通って三重塔へ。階段を登ると次第に目に入ってくる。途中に重文指定の開山時代の和尚像をおく「傳芳堂」(太陽の具合で全く写真が撮れないが、とても立派な彫像である)、島木赤彦の碑などがある。上がるたびに塔が大きくなっていく。
   
 登り切ったら、あとは四方を回りゆっくり三重塔を見て回るだけ。実に不思議な形の塔である。建立は鎌倉末期と言われている。日本最古の禅宗様式の塔とされる。どうも快晴の日の午前中は太陽の加減で写真が撮りにくい。
   
 いつまで見てるわけにもいかないので、飽きないけど降りていく。そこから車ではなく、歩いて常楽寺へ行くのがおすすめのコースで、これは是非。浅間山、四阿山(あずまや)などの名峰がきれいに望めるし、塩田平を一望できる。また、すぐ近くに戦前に建てられた山本宣治の碑、タカクラテルの碑などがある。「山宣」は戦前の政治家、社会運動家、医師で、無産政党の代議士として治安維持法に反対を貫き、右翼に暗殺された。「山宣ひとり孤塁を守る」の言葉で有名。忘れてはならない人物である。その碑を上田自由大学の関係者が作り、戦時中を守り抜いた。
  
 10分もしないで常楽寺に着く。ここは重要文化財の石造多宝塔で知られる。まあ見てもよく判らない文化財だけど。境内には大きな松がある。奥にある多宝塔はとても暗い中にあるが、写真を撮るとけっこう明るい。実際の印象は杉木立の中で日が差さない場所。戻ってくると美術館があるが、入ったことがない。お茶とお菓子の梅楽苑というお店もあり、今回初めて入った。ここだけの梅の菓子がある。また寺を出たところに「お茶の間」という名前の店がある。この不思議な名前の店は一度入りたいと思い以前に入ったことがある。ほんとの「お茶の間」のアットホームな場所だった。
  
 別所温泉にはもう一つ有名なお寺がある。それは「北向観音」。何で北を向いているかというと、長野の善光寺と向かい合っているというのである。「愛染かつら」があることでも知られている。川口松太郎の原作が映画化され大ヒットした。主題歌も有名である。今も名前は何となく知られているだろうけど、別所温泉にモデルの桂の木があることを知らない人が多い。参道も面白い。写真の最後、鐘楼の隣が愛染かつら。別所温泉だけで長くなったので、塩田平は別に書きたい。
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする