尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

加計学園問題、前川発言をめぐって

2017年05月26日 21時34分45秒 | 政治
 岡山にある加計(かけ)学園が愛媛県今治市に獣医科大学を新設するという問題。けっこう問題が複雑なので、今まで書かないできた。それに問題の中身も大事だけど、本来なら「森友学園」問題だけでも安倍内閣の支持率が激減してもおかしくない。それなのに今もまだ高い支持率が続いている。それは何故かという大問題が判らない限り、加計学園問題を書いても同じことだと思った。

 ところが文部科学省内部に「総理のご意向」と書かれた文書があったという報道があった。「国家戦略特区」を担当する内閣府とのやり取りを記録したものだという。しかし、文部科学省が「調査」したところ、文書は「確認できなかった」という話。ところが、25日に前川喜平前文部科学事務次官が記者会見して、その文書は自分が在任中に見たもので、文部科学行政がゆがめられたと批判した。

 ここまでは前置き。一応問題の経過を簡単におさらい。この問題に関して、いくつものことをいろいろ感じ、考えた。そのことを雑多に書いておきたい。まず「文書は実際に存在する」ということである。これは全く疑う余地がない。「怪文書のたぐい」と菅官房長官は言っているが、ならば「公文書偽造」である。前川氏を証人喚問し、偽証で告発すればいい。だけど、証人喚問の必要はないなどと政府、自民党は言い張っているんだから、ホンモノと「自白」しているに等しい。

 ところで、ある人がこういう発言をしている。「重大性への認識が欠けていると言わざるを得ない。隠蔽(いんぺい)と指摘されても当然だろう。」発言したのは、義家弘介文部科学副大臣である。えっ、そんなこと言ってるのと思うかもしれないが、実は話には前段がある。「5月に入り、文科省の指導で市教委がいじめと認識した」と言っていて、これは仙台市のいじめ自殺問題に関する発言なのである。でも、「まず文科省自身の隠ぺい体質をただすべきだ」と思う。文科省そのものが、「強いものには従って、真実に目を閉ざす」のだったら、教育に携わる資格がない。(もっとも前からだが。)

 ところで、前川前次官に対して、菅官房長官は口を極めて個人攻撃をした。天下り問題で辞任したことで、「地位に恋々としていた」とか。しかし、文書の存在の有無と、前次官本人の問題は無関係である。そして、今週の週刊文春に記事が掲載される前に、読売新聞が「前次官が出会い系バーに出入りしていた」という記事が出たという。それは事実だと本人も認め、「女性の貧困問題の研究」としている。しかし、動機が正しいかどうかは僕にはあまり関心がない。なぜなら、勤務時間終了後の私的時間だからである。それより何でそのことを知っている人がいるのかと思う。

 そのことに関して、杉田和博内閣官房副長官から注意を受けたという。この杉田という人は、とても興味深い経歴の人物である。元警察官僚だというのは僕も知っていたが、1941年生まれで、現在76歳なのである。警察庁の公安第一課長や人事課長、警備局長を務め、最後は内閣危機管理監で2004年に退官している。そういう人物が第二次安倍内閣になってから、71歳で重職に付いた。この、公安、情報関係に専門的に関わってきた人物が、なぜだか文部官僚トップの私生活を知っていた

 前川氏がそこで何をしていたかという問題より、僕には杉田氏がそれを知ったという事実の方がより問題じゃないかと思う。そして、週刊誌の取材を受け、時の政府に不利な発言をするという時期には、政府よりの新聞で報じられる。日本はすでにそんな恐ろしい国になっていたのか! この安倍内閣が特定秘密保護法を制定し、いままた「テロ防止」の名目のもと「共謀罪」を通そうとしている。 
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