昨日フロスト警部の話を書いた後で、ジャンヌ・モローの訃報を知った。すぐ書くには遅すぎたので今日にまわそうと思ったけど、朝刊を見たらサム・シェパードの訃報も載っていた。合わせて二人のことを振り返っておきたい。まずはジャンヌ・モローから。
ジャンヌ・モロー(1928~2017.7.31、89歳)はフランスを代表する大女優だった。もともと演劇から出発したが、50年代後半にその時代の新しいフランス映画にいっぱい出演した。今でもルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」(1957)が一番最初に言われる。翌年の「恋人たち」も素晴らしい。1960年のピーター・ブルック監督、マルグリット・デュラス原作の「雨のしのび逢い」ではカンヌ映画祭主演女優賞を受賞した。デュラス作品は後に「マドモアゼル」にも出てるし、本人役を演じたこともある。
(「死刑台のエレベーター」)
という話をいくら書いても仕方ない。僕にとってはフランソワ・トリュフォー「突然炎のごとく」(1962)に主演した人なのである。もちろん、今まで挙げた映画は同時代に見たわけではない。世界の映画を見るようになって、フェリーニの「甘い生活」やゴダールの「気狂いピエロ」なんかと並んで「発見」したわけである。これらの映画は僕の最も好きな映画だから、もう何度も見ている。何度見ても面白いし、心打たれる。映画の中でも「美人というより、神秘的な顔立ち」などと評されている。「美人」と言えばそうなんだろうけど、むしろ「人をひきつけてやまない独特の風貌」というべきか。
(「突然炎のごとく」)
「突然炎のごとく」の他では、ルイ・マル「鬼火」が凄かった。またトリュフォーの「黒衣の花嫁」もすごいけど、怖い。同時代には何を見たかと思い出すと、監督もした「ジャンヌ・モローの思春期」(1979)は岩波ホールで公開されたときに見たなあ。テオ・アンゲロプロスの「こうのとり、たちずさんで」なんかもあった。最後の作品、「クロワッサンで朝食を」(2012)では、パリに住む気難しい老婦人を見事に演じていた。だけど、もう僕の同時代には大女優すぎて、特にファンというわけでもなかった。でも、見事なるフランス女優だった。去っていくのが惜しい。
サム・シェパード(1943~2017.7.27、73歳)は、アメリカの劇作家、俳優。訃報では「ライト・スタッフ」(1983)が大きく扱われている。実在の米空軍パイロット、チャック・イェーガーを演じて、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。イェーガーは史上最初に音速を超えたパイロットで、調べてみるとサム・シェパードよりも20歳も年上だけど、まだ存命である。

僕も「ライトスタッフ」で名前を知ったけど、それよりもヴィム・ヴェンダース監督の「パリ、テキサス」(1984)の脚本を書いた人という印象が強い。もう、圧倒的に素晴らしい映画で、素晴らしいシナリオだ。映画俳優としていろいろ出てたが、本職は劇作家。日本でも上演されたのがあると思うが見てない。ロバート・アルトマン監督の「フール・フォア・ラブ」(1985)は、シェパードの原作、脚本、主演なんだけど、どうもシェパードの書くアメリカは結構ドロドロしていて人間関係が大変。ヴェンダースとは、「アメリカ、家族のある風景」(2005)でも組んで、脚本、出演している。外見的にはすごいハンサムなんだけど、アメリカを見つめる視点が深くて暗い。出てると注目してしまう俳優だった。
ジャンヌ・モロー(1928~2017.7.31、89歳)はフランスを代表する大女優だった。もともと演劇から出発したが、50年代後半にその時代の新しいフランス映画にいっぱい出演した。今でもルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」(1957)が一番最初に言われる。翌年の「恋人たち」も素晴らしい。1960年のピーター・ブルック監督、マルグリット・デュラス原作の「雨のしのび逢い」ではカンヌ映画祭主演女優賞を受賞した。デュラス作品は後に「マドモアゼル」にも出てるし、本人役を演じたこともある。

という話をいくら書いても仕方ない。僕にとってはフランソワ・トリュフォー「突然炎のごとく」(1962)に主演した人なのである。もちろん、今まで挙げた映画は同時代に見たわけではない。世界の映画を見るようになって、フェリーニの「甘い生活」やゴダールの「気狂いピエロ」なんかと並んで「発見」したわけである。これらの映画は僕の最も好きな映画だから、もう何度も見ている。何度見ても面白いし、心打たれる。映画の中でも「美人というより、神秘的な顔立ち」などと評されている。「美人」と言えばそうなんだろうけど、むしろ「人をひきつけてやまない独特の風貌」というべきか。

「突然炎のごとく」の他では、ルイ・マル「鬼火」が凄かった。またトリュフォーの「黒衣の花嫁」もすごいけど、怖い。同時代には何を見たかと思い出すと、監督もした「ジャンヌ・モローの思春期」(1979)は岩波ホールで公開されたときに見たなあ。テオ・アンゲロプロスの「こうのとり、たちずさんで」なんかもあった。最後の作品、「クロワッサンで朝食を」(2012)では、パリに住む気難しい老婦人を見事に演じていた。だけど、もう僕の同時代には大女優すぎて、特にファンというわけでもなかった。でも、見事なるフランス女優だった。去っていくのが惜しい。
サム・シェパード(1943~2017.7.27、73歳)は、アメリカの劇作家、俳優。訃報では「ライト・スタッフ」(1983)が大きく扱われている。実在の米空軍パイロット、チャック・イェーガーを演じて、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。イェーガーは史上最初に音速を超えたパイロットで、調べてみるとサム・シェパードよりも20歳も年上だけど、まだ存命である。

僕も「ライトスタッフ」で名前を知ったけど、それよりもヴィム・ヴェンダース監督の「パリ、テキサス」(1984)の脚本を書いた人という印象が強い。もう、圧倒的に素晴らしい映画で、素晴らしいシナリオだ。映画俳優としていろいろ出てたが、本職は劇作家。日本でも上演されたのがあると思うが見てない。ロバート・アルトマン監督の「フール・フォア・ラブ」(1985)は、シェパードの原作、脚本、主演なんだけど、どうもシェパードの書くアメリカは結構ドロドロしていて人間関係が大変。ヴェンダースとは、「アメリカ、家族のある風景」(2005)でも組んで、脚本、出演している。外見的にはすごいハンサムなんだけど、アメリカを見つめる視点が深くて暗い。出てると注目してしまう俳優だった。