ピアニスト高橋アキ(1944~)が20曲のタンゴを収録したのが「ためらいのタンゴ」(2006)というCDだ。どこかで知って買ったら素晴らしかった。人に紹介したら、タンゴも聴くんですか? と誰かに言われた。タンゴは名前しか知らないけれど、高橋アキのCDだから買ったのである。「ためらいのタンゴ」はものすごく気に入って、今もよく聴いている。でもホントに一番聴いてる高橋アキのCDは、「ベスト・オブ・サティ」である。それじゃ、全然レアじゃないから「ためらいのタンゴ」にするけど。

高橋アキと言っても知らない人もいるだろう。何でも弾いちゃう人だけど、エリック・サティを初めとして現代音楽に取り組んできた印象が強い。兄が現代音楽の作曲家高橋悠治で、夫が音楽評論家秋山邦晴(1929~1996)だった。現代音楽に詳しくはないけど、高橋悠治は80年ころに「水牛楽団」というバンドを作っていた。タイを中心に世界の民衆の抵抗歌を紹介する活動をしていて、僕も何回かコンサートに行っていたからよく知ってる。
秋山邦晴も70年代に「キネマ旬報」に「日本の映画音楽史」を連載していて、名前はよく知っていた。その秋山邦晴、高橋アキを中心に、フランスの作曲家エリック・サティの連続コンサートを行っていた。今ではCMでも使われるサティだが、70年代にはまだまだ日本でも異端、調子はずれ、美しくないなどと思われていた。音楽に詳しくない僕が知ってるレベルの作曲家じゃないけど、音大に通ういとこに教えられ判ったふりしてサティを聞きに行っていた。
ルネ・クレール監督の短編「幕間」はエリック・サティが曲を付けていて、上映と実演の試みは楽しかった。(お茶の水にあった旧日仏会館だった。)またサティには「ヴェクサシオン」という1分程度の曲を840回繰り返すことと指定されたピアノ曲がある。多くの人が参加して、渋谷ジァン・ジァンで夜から朝までそれを演奏するコンサートにも行った。高橋兄妹を初め、武満徹、林光、一柳慧など著名な音楽家が代わる代わる登場して、一人10分程度弾いて交代する。そんなコンサートで、豪華というかバカ騒ぎというか、若い時だから夜明けまでのコンサートに付き合ったわけだ。
だから高橋アキさんはエリック・サティが似合うと思っていて、特にいつか新宿伊勢丹でやった「エリック・サティ展」で買った「The Best of SATIE」は繰り返し聴いてる。僕が一番聴いたCDかもしれない。チッコリーニとか他の人が弾くCDも持ってるけど、もう抜群に高橋アキのサティがいいと思う。僕の感覚に合ってる。その高橋アキが弾く「ためらいのタンゴ」だから、是非聴きたい。高橋アキのCDでも持ってないのはいっぱいあるのに、つい買ってしまったわけである。

タンゴは全然知らないけど、これはタンゴなんだろうか? 僕もヨーヨー・マが弾いたピアソラは持ってる。アストル・ピアソラはタンゴの革命児らしいが、ヨーヨー・マのCDが話題を呼ぶまで全然名前も知らなかった。そのCDはものすごく素晴らしくて、完全に音に浸ってしまう。しかし、ピアソラはタンゴなのか? 定義はどうでもいいけど、そのようなクラシックやジャズにも影響された独特の現代音楽。それが「ためらいのタンゴ」の世界だ。実際、三宅榛名、近藤譲、西村朗などの曲も入っている。三宅榛名「北緯43度のタンゴ」という曲なんだけど、それもタンゴなんだろう。何度聞いても、どこに魅せられるのか自分でもうまく言葉にできない。そんなCDである。

高橋アキと言っても知らない人もいるだろう。何でも弾いちゃう人だけど、エリック・サティを初めとして現代音楽に取り組んできた印象が強い。兄が現代音楽の作曲家高橋悠治で、夫が音楽評論家秋山邦晴(1929~1996)だった。現代音楽に詳しくはないけど、高橋悠治は80年ころに「水牛楽団」というバンドを作っていた。タイを中心に世界の民衆の抵抗歌を紹介する活動をしていて、僕も何回かコンサートに行っていたからよく知ってる。
秋山邦晴も70年代に「キネマ旬報」に「日本の映画音楽史」を連載していて、名前はよく知っていた。その秋山邦晴、高橋アキを中心に、フランスの作曲家エリック・サティの連続コンサートを行っていた。今ではCMでも使われるサティだが、70年代にはまだまだ日本でも異端、調子はずれ、美しくないなどと思われていた。音楽に詳しくない僕が知ってるレベルの作曲家じゃないけど、音大に通ういとこに教えられ判ったふりしてサティを聞きに行っていた。
ルネ・クレール監督の短編「幕間」はエリック・サティが曲を付けていて、上映と実演の試みは楽しかった。(お茶の水にあった旧日仏会館だった。)またサティには「ヴェクサシオン」という1分程度の曲を840回繰り返すことと指定されたピアノ曲がある。多くの人が参加して、渋谷ジァン・ジァンで夜から朝までそれを演奏するコンサートにも行った。高橋兄妹を初め、武満徹、林光、一柳慧など著名な音楽家が代わる代わる登場して、一人10分程度弾いて交代する。そんなコンサートで、豪華というかバカ騒ぎというか、若い時だから夜明けまでのコンサートに付き合ったわけだ。
だから高橋アキさんはエリック・サティが似合うと思っていて、特にいつか新宿伊勢丹でやった「エリック・サティ展」で買った「The Best of SATIE」は繰り返し聴いてる。僕が一番聴いたCDかもしれない。チッコリーニとか他の人が弾くCDも持ってるけど、もう抜群に高橋アキのサティがいいと思う。僕の感覚に合ってる。その高橋アキが弾く「ためらいのタンゴ」だから、是非聴きたい。高橋アキのCDでも持ってないのはいっぱいあるのに、つい買ってしまったわけである。

タンゴは全然知らないけど、これはタンゴなんだろうか? 僕もヨーヨー・マが弾いたピアソラは持ってる。アストル・ピアソラはタンゴの革命児らしいが、ヨーヨー・マのCDが話題を呼ぶまで全然名前も知らなかった。そのCDはものすごく素晴らしくて、完全に音に浸ってしまう。しかし、ピアソラはタンゴなのか? 定義はどうでもいいけど、そのようなクラシックやジャズにも影響された独特の現代音楽。それが「ためらいのタンゴ」の世界だ。実際、三宅榛名、近藤譲、西村朗などの曲も入っている。三宅榛名「北緯43度のタンゴ」という曲なんだけど、それもタンゴなんだろう。何度聞いても、どこに魅せられるのか自分でもうまく言葉にできない。そんなCDである。