「日本の温泉」1回目は「色」に注目して「国見温泉」を取り上げた。温泉の魅力はいくつもあるが、湯そのものに焦点を当てれば、泉質と湧出量になる。効能とか色というのは「泉質」の問題だが、「湧出量」が風呂のあり方を決める。20世紀終わり頃から、「源泉掛け流し」という言葉が聞かれるようになった。湧出量がいっぱいある温泉は、温泉を循環する必要が無い。やはり僕も温泉は豊富な湯がいっぱい流れている方がうれしい。
ただ僕は一概に「循環」を否定するつもりはない。素晴らしい泉質を持ちながら、湧出が少ないために循環せざるを得ない温泉もある。限られた温泉資源を循環することで守っている小さな宿の魅力もある。僕が困ったのは、バブル期に作られた大ホテルである。内湯も露天風呂も豪華にして、ジャグジーなど多彩な機能の風呂がある。僕も若かったから最初はそういう風呂を喜んだ。でも塩素殺菌が強すぎて、入浴後にかえって肌が荒れてしまう風呂まであった。本末転倒だ。
ということで2回目は「湧出量」を見てみる。湧出の仕方で「足下湧出泉」を大事にしている人もいる。お風呂の下からどんどんお湯が湧き出しているという温泉である。しかし僕がここで書きたいのは、単に量的にいっぱい出てる温泉である。ドバドバ出ているから、「ドバドバ泉」と勝手に呼んでいる。山梨県山梨市の「はやぶさ温泉」は風呂からどんどんお湯があふれていて凄い。カランやシャワーもすべて温泉。毎分500リットルも出ているという。ただし、ここは立ち寄り専門で、宿泊できない。でも近くに行ったら是非寄りたいところ。泉質もアルカリ泉で肌に優しい。
宿泊したところでは、あまり知られていないだろう奈良県川上村の「入之波温泉 山鳩湯」を思い出す。「入之波」は知らないと読めないと思うが、「しおのは」で所在地の地名。奈良県東南で、山また山の地帯。吉野川に沿ってダムがあり、大迫ダムに面している。僕は熊野古道に行きたいと思って、途中で三重県の榊原温泉に泊まり、翌日に赤目四十八瀧や大宇陀町に寄って、山鳩湯に泊まった思い出がある。(南紀には何度か行っているが、この時は台風に直撃され熊野古道を歩くことは出来なかった。)

山鳩湯は確かにたくさん出ているんだけど、ここの風呂はちょっと裏技である。普通は源泉掛け流しだと風呂から湯があふれている。(最近はあふれないで湯を片側から抜くような風呂も多いが。)しかし山鳩湯はあふれない。なぜなら湯はどんどん外の露天風呂に出て行くからである。それが一枚目の写真で、どんどん内風呂から流れているのが判るだろう。そもそもの湯は上からホースでどんどん内風呂に供給されている。露天風呂もあふれない。こっちはどんどんダムへ落ち込んでいる。いいのかそれで的な設計である。

全体としてはジャブジャブ湯がどんどん交代しているのは確か。宿のホームページにある写真を見ると、源泉ではどんどん噴出している。最初は無色だが、風呂の中で茶褐色に変わっている。何だか土を溶かした感じだけど、炭酸泉と書いてある。写真を見てもずいぶん秘境で、「秘湯の会に入ってない本当の秘湯」である。
もう一つドバドバ泉を紹介すると、長野県の湯田中渋温泉郷にある上林温泉仙壽閣である。こっちは山鳩湯と違って高級旅館である。高いんだけど立ち寄り湯をやってないので、泊まるしかない。ある時泊まってみたが、これはまたすさまじいドバドバ泉だった。男湯と女湯を分ける大きな壁があって、そこから滝のように湯が落ちてくる。華厳の滝や那智の滝ではない。ナイアガラの滝とかイグアスの滝である。つまり壁の上全面からどんどんあふれ出しているのである。下が風呂になっていて、風呂からもどんどんあふれ出す。毎分720リットルというからすごい。
湯田中渋温泉郷は長野県東北部の山ノ内村にあって、9つの温泉がある。最近火事が起こった「よろづや」のある湯田中温泉、「金具屋」が有名な渋温泉、猿が温泉に入る公園がある「地獄谷温泉」、戦時中に林芙美子が疎開していた角間温泉など個性ある温泉が集まっている。その中で宿も少ない上林温泉は知名度は低いが、仙寿閣は長野電鉄が直営する高級旅館なのである。今回の温泉も行きにくいところを選んだが、長野県随一の湧出量を誇る宿で、お金があるときなら行く価値あり。

他にもお湯が川になっているところ、それどころか川そのものが温泉のところもあるじゃないかと温泉通なら言うかもしれない。確かにその通りで、それはまた数回後に書きたいと思う。
ただ僕は一概に「循環」を否定するつもりはない。素晴らしい泉質を持ちながら、湧出が少ないために循環せざるを得ない温泉もある。限られた温泉資源を循環することで守っている小さな宿の魅力もある。僕が困ったのは、バブル期に作られた大ホテルである。内湯も露天風呂も豪華にして、ジャグジーなど多彩な機能の風呂がある。僕も若かったから最初はそういう風呂を喜んだ。でも塩素殺菌が強すぎて、入浴後にかえって肌が荒れてしまう風呂まであった。本末転倒だ。
ということで2回目は「湧出量」を見てみる。湧出の仕方で「足下湧出泉」を大事にしている人もいる。お風呂の下からどんどんお湯が湧き出しているという温泉である。しかし僕がここで書きたいのは、単に量的にいっぱい出てる温泉である。ドバドバ出ているから、「ドバドバ泉」と勝手に呼んでいる。山梨県山梨市の「はやぶさ温泉」は風呂からどんどんお湯があふれていて凄い。カランやシャワーもすべて温泉。毎分500リットルも出ているという。ただし、ここは立ち寄り専門で、宿泊できない。でも近くに行ったら是非寄りたいところ。泉質もアルカリ泉で肌に優しい。
宿泊したところでは、あまり知られていないだろう奈良県川上村の「入之波温泉 山鳩湯」を思い出す。「入之波」は知らないと読めないと思うが、「しおのは」で所在地の地名。奈良県東南で、山また山の地帯。吉野川に沿ってダムがあり、大迫ダムに面している。僕は熊野古道に行きたいと思って、途中で三重県の榊原温泉に泊まり、翌日に赤目四十八瀧や大宇陀町に寄って、山鳩湯に泊まった思い出がある。(南紀には何度か行っているが、この時は台風に直撃され熊野古道を歩くことは出来なかった。)


山鳩湯は確かにたくさん出ているんだけど、ここの風呂はちょっと裏技である。普通は源泉掛け流しだと風呂から湯があふれている。(最近はあふれないで湯を片側から抜くような風呂も多いが。)しかし山鳩湯はあふれない。なぜなら湯はどんどん外の露天風呂に出て行くからである。それが一枚目の写真で、どんどん内風呂から流れているのが判るだろう。そもそもの湯は上からホースでどんどん内風呂に供給されている。露天風呂もあふれない。こっちはどんどんダムへ落ち込んでいる。いいのかそれで的な設計である。


全体としてはジャブジャブ湯がどんどん交代しているのは確か。宿のホームページにある写真を見ると、源泉ではどんどん噴出している。最初は無色だが、風呂の中で茶褐色に変わっている。何だか土を溶かした感じだけど、炭酸泉と書いてある。写真を見てもずいぶん秘境で、「秘湯の会に入ってない本当の秘湯」である。
もう一つドバドバ泉を紹介すると、長野県の湯田中渋温泉郷にある上林温泉仙壽閣である。こっちは山鳩湯と違って高級旅館である。高いんだけど立ち寄り湯をやってないので、泊まるしかない。ある時泊まってみたが、これはまたすさまじいドバドバ泉だった。男湯と女湯を分ける大きな壁があって、そこから滝のように湯が落ちてくる。華厳の滝や那智の滝ではない。ナイアガラの滝とかイグアスの滝である。つまり壁の上全面からどんどんあふれ出しているのである。下が風呂になっていて、風呂からもどんどんあふれ出す。毎分720リットルというからすごい。


湯田中渋温泉郷は長野県東北部の山ノ内村にあって、9つの温泉がある。最近火事が起こった「よろづや」のある湯田中温泉、「金具屋」が有名な渋温泉、猿が温泉に入る公園がある「地獄谷温泉」、戦時中に林芙美子が疎開していた角間温泉など個性ある温泉が集まっている。その中で宿も少ない上林温泉は知名度は低いが、仙寿閣は長野電鉄が直営する高級旅館なのである。今回の温泉も行きにくいところを選んだが、長野県随一の湧出量を誇る宿で、お金があるときなら行く価値あり。

他にもお湯が川になっているところ、それどころか川そのものが温泉のところもあるじゃないかと温泉通なら言うかもしれない。確かにその通りで、それはまた数回後に書きたいと思う。