3回目の「読み聞かせ」は、6月の3週目、6年生のクラスでした。
私が選んだのは まめじかカンチルが穴におちる話
おおきなポケット7月号(福音館書店)に、松井由紀子再話 柚木沙弥郎絵 で
載っていましたが、おはなしのろうそく8に入っている、インドネシアの昔話だそうです。
6年生のクラスに、昨年度3回程入る機会がありましたが、やっぱり一番本選びに
悩みました。上の学年へ行けば行くほど本が好きな子と、そうでもない子がわかれて
くるので、あきらかに飽きてしまっているなあというのが、読んでいる最中にも
伝わってきます。
でも、今回のカンチルの話は、ちょっと自信がありました。なにしろ、話が
おもしろいのです。
大好きなドリアンを食べて、満足して駆け回っていた小さな「まめじか」のカンチル。
突然、ジャングルの中の大きな穴に落ちてしまいました。地上にもどるためには、
どうしたらいいのだろう?と考え、とてもいいアイデアが浮かんだのです。
「ホーン、ホーン」となき、初めにサルを誘いいれます。誘い文句はこの通り。
「たいへんなことがおこるんだ。今日、世の終わりがくるって、アラーの神の
お告げがあったんだぞ。地上にいるものはたすからないけど、この穴の中に
いるものだけが生きのこれるんだって。だから、ぼくはここにはいっているんだ」
同様の手口で、トラとゾウも穴の中に引き入れます。誘うときに、クシャミをしないか
どうかも確かめておいたことが、最後に役立ち、カンチルだけが、みごと穴の外に
出られるのです。
「やあ、穴からだしてくれて、どうもありがとう。じゃ、みんな元気でね」
太字に変えたところの、カンチルのせりふが読みたいばっかりに、今回この話を
選んだのでは?と自問してしまうほど、ここを読むのは楽しかったです。一体、この先
どうなるの?と思わせておいて、最後の最後で、あっけらかんとジャングルの中に
カンチルだけが消えていきました。
いつものように、「おしまい」と言った後、しーんとしていた教室が一瞬ざわめきました。
その場にいた子誰もが、あっけにとられ、インドネシアのジャングルから教室に戻ってきた
ことが、それでわかりました。こうなると、「今日の本大成功!」 だと思います。
ところで「おおきなポケット」は昨年の4月号よりリニューアルされて、和田誠さんが
表紙を担当されています。ふくやま美樹館で和田さんの展覧会があるそうです。
広島県および、西の方にお住まいの方、うらやましいです。