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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ふゆじたく

2005-11-24 15:25:44 | 好きな絵本
 しだいに秋が深まっていく今日この頃。
 
 黄色く変わった柳の葉が、冷たい風に吹かれているところが見たいなあと思い、
家の近所や、自転車に乗ってちょっと遠くの公園まで探しに行きましたが、
イメージ通りの柳は見つかりませんでした。
 私の思っている柳の木は、「やなぎむらのおはなし」に出てくるものなので
見つからなくって当然かもしれません。

 夏には、ほたるのピッカリさんたちと、 『ほたるホテル』を開いたやなぎむらにも
秋が訪れます。やなぎむらの秋のお話は 『きんいろあらし』 です。

 もうすぐ嵐がやってくるよ、と知らせてくれるのは、あかとんぼのアカネさん。
やなぎむらのみんなは、暗くなってきた空を見上げながら、いそいでかくれる場所をさがします。

    にしのほうから くろい くもが
   あっというまに ひろがってきて、
   かぜも つよくなってきました。

    びゅー びゅー びゅー

    かぜが うなります。

 
嵐というと、つい台風を想像してしまいますが、やなぎむらに来たのはどうやら
竜巻のようでした。風がやんで、陽がさしてくると、柳の葉はすべて落ち、
きの まわりは、きいろい おちばでいっぱい になっていました。
 ほっと一息つく間もなく、くものセカセカさんがいないことに気がつきます。
飛ばされたのかもしれないと、大騒ぎしているところへ、再びアカネさん登場。
ほたるいけにセカセカさんが落ちていることを、教えてくれました。

 みんなが急いで池へ行くと、セカセカさんが池の真ん中で泣いています。
  でも こまったことに、ほんとうに こまったことに、
  だれも およげないのです。
みんなは、池のまわりで、ただおろおろするばかり。見開きほぼいっぱいに描かれた池の水の色が、
とても冷たそうに感じられます。手をさしのべて、ひょいとセカセカさんを助けてあげたい、
と思っていると・・・ありのぼうやが、適任者を見つけてきました!

 池の番人のカメキチおじいさんは「おーや、すーい、ごーよ、う」 
すぐにセカセカさんを助けたくれた上、後日、大切なお話もしてくれました。
もうすぐやってくる冬と、雪についての話です。

 やなぎのはっぱを集めて、おちばの家を作り・・・カメキチおじいさんのおかげで、
冬支度もばっちりできました。


 やなぎむらのシリーズの、いいなあと思うところ【その1】は、小さな虫たちだけでは
どうすることもできない事態に遭遇したとき、手を貸してくれる「小動物」が現れる、
というところです。秋編では、カメキチおじいさんの存在は大きいです。
(もう少し寒くなったら書こうと思っている『ふわふわふとん』でも、緊急事態に
救世主(?)が現れて、ほっとする場面があります)

 いいなあと思うところ【その2】は、カズコ・G・ストーンさんの描く絵はほんとうに
美しいということ。色鉛筆と水彩をうまく使い分けて、虫たちの身に付けているものや、
それぞれの表情をとても細かく描いています。

 ↓のページは池に落ちたセカセカさん。
こまったことに、ほんとうに こまったことに、 の場面です。

コメント (11)
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