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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

【受け入れる】ということ

2005-11-09 17:20:47 | 好きな絵本

 昨日。
「鏡」→「カンガルー日和」→佐々木マキ→「やっぱりおおかみ」と続いていって、
『やっぱりおおかみ』を何度も読んでいたら、”やっぱり”記事として、
残しておきたくなりました。


やっぱりおおかみ 

 おおかみは もう いないと
みんな おもっていますが
ほんとうは いっぴきだけ
いきのこって いたのです。
こどもの おおかみでした。




 こんな書き出しで、主人公のおおかみはシルエット〈影〉だけの、
そんな絵本なんて、いったいなんなんでしょう!?決しておこっている
わけではありません。ものすごく感心・感動しているのです。

 ひとりぽっちのおおかみは、うさぎの町、ぶたの町、しかの町など、
自分に似た子をさがしてまわります。せりふ(おおかみの話すことば)は
とっても少ないのですが、人気のない遊園地の、誰も乗っていない
メリーゴーランドに、その寂しい気持ちが反映されて、見ている
(読んでいる)こっちも少しだけ寂しくなります。

 おおかみはこれからどうするのだろう‥

 ビルの屋上につながれてあった気球のロープが切れて、空に浮かび、
空の中に消えていくさまをみているおおかみ。

 そして彼は気がつきます。
自分は自分であることをやめることができないということに。
おおかみである自分を、受け入れて生きていくことの清々しさに。

 
 ときどきは、誰でも自分が嫌いになったり、別の人をうらやましいと
思ったりすることがあると思います。(もちろん私もそうですが)
でも、自分が自分を否定してしまったら、それは自分がかわいそう。
せめて、自分だけは自分を好きでいてあげたいなあと思います。

 それと、自分に嘘をつかないこともだいじなこと。おおかみは、
ぶたやしかやうしの町では、自分がしあわせになれないことを
ちゃんとわかって、ひとりのほうを選んだのですから。

コメント (4)
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