映画版の「黄昏」1981の方を先に見ていて、主演のヘンリー・フォンダ、キャサリン・ヘップバーン、助演のダブニー・コールマンが亡くなっているので老いと死というモチーフのフィルターを通して見る格好になった。
前半、かなりはっきりと加藤健一扮するノーマンが認知症なのを示していて、映画化だとシリアスに感じられる箇所が役者と観客が直接リアクションを交わす芝居で見ると風通しがよくなって笑えるようになる傾向というのはあると思う。
かなり娘(加藤忍)のチェルシーの登場が遅くて、ヘンリーの実際の娘でもあるジェーン・フォンダがこの舞台を見て自らと父との関係をだぶらせたところから映画化を思い立ったと伝えられるが、そちらの方は意外にかなり引っ込んだ印象。
登場人物は六人とコンパクト。
タイトルになっている黄金の湖は実際には舞台面には現れず、背景の照明の変化で暗示される。
役の設定ではノーマンは80歳で、加藤健一は現在75歳。それほど変わらないのだが、老けづくりをしている。
40年前のイメージの老人と、今とは違うということね。一番大きく変わったところかもしれない。客席も年齢層高め。
加藤健一事務所に直接予約したのだが、チケットぴあを通すと手数料を1000円以上とられるらしい。
小津安二郎「東京物語」的なテイストを感じさせるせいか、これまでも日本でずいぶん何度も舞台化、テレビドラマ化されている。
古いところでは1980年の山村聡 京マチ子 犬塚博 夏木マリ 松田洋治 上條恒彦 主演版、それから八千草薫、村井国夫 朝海ひかる主演版、高橋惠子、石田啓介、瀬名じゅん主演版、テレビだと八千草薫、杉浦直樹、真矢みき主演版などなど。
キャスティングを見ると妻のエセルに焦点が当たっているっぽい。
■作 アーネスト・トンプソン
■訳 小田島恒志 小田島則子
■演出 西沢栄治
■出演 加藤健一 一柳みる
加藤 忍 伊原 農 尾崎右宗 澁谷凜音