水に、三日月に、燃える木といった視覚的モチーフが全体にわたってかなり細かく統御されている。
日本版の「2」が闇鍋みたいにごちゃごちゃした作りなのとは対照的。
ビデオを燃やす場面で夜空に三日月が見えたり、子供部屋の窓ガラスに星が描かれていて、大詰めの井戸の場面でも思わぬ形で三日月のモチーフが顔を出すなど、芸が細かい。
母と子供の関係の修復が全体のテーマだが、水と組み合わさった三日月は欠けた母性の象徴といったところだろうか。
サマラ(貞子)の実の母のキャスティングに納得。
その母が入っていた救護院がマクダレン修道院というのは、望まぬ妊娠をした女性から子供を取り上げ、神の意思に背くふしだら女として社会から隔離した(映画「マクダレンの祈り」にもなった)悪名高い実在の修道院から名前をとったものだろう。
犠牲者がくわっと口を開いて死んでいるのは、日本版「リング」の型を踏襲しているが、ただ口を開いているのではなくて骨格が歪んでいるように作っているのは手がかかっている。
水の操り方など、あまりCGに頼らず生の効果を強く出しているのは、見ていてどこかほっとする。
監督が日本人ということは見ていてあまり意識しない、監督が表に出ない作りだが、通してみると最近のハリウッド映画としては、けたたましくなくて結構、新鮮。
(☆☆☆★)
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