prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

7月30日(月)のつぶやき

2018年07月31日 | Weblog

7月29日(日)のつぶやき

2018年07月30日 | Weblog

「荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて」

2018年07月29日 | 映画
監督主演のセス・マクファーレンの売り物にせよ、まあ思い切った下ネタが多くてちょっと参るが、西部では簡単に人が死ぬ、と笑いに紛らわしながら、本当にひどい無法がまかり通った状態だったのをちらちらと下ネタでぶちまけられる血やゲロや下痢など各種の液体にうかがわせる。

シャーリーズ・セロンがうんと小さい時に略奪されるようにリーアム・ニーソンの無法者(たまにこういう徹底したワルをやっても似合う)の妻にされていやいやついていたのが、まったくの弱虫のようで誠実な男と出会ってというあたり、昔の臆病者の男が奮起するクラシックなパターン(「懦夫奮起せば」)と今風のフェミニズムとをうまく合体させている。

飼っているのが馬でなく羊というのが主人公の弱虫ぶりを表わすと共に、一方で羊飼い(よき羊飼いというとキリストのこと)であることで神の恩寵に近いのを表わしてもいるのではないか。

西部劇で先住民の扱いというのは鬼門みたいなところがあるが、ドラッグ絡みのこういう取り込み方はありなのだろうか。幻覚描写自体はダリの絵画を映像化したみたいなセンスが面白い。

「荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて」 - 映画.com

ホームページ

7月28日(土)のつぶやき

2018年07月29日 | Weblog

「ルームロンダリング」

2018年07月28日 | 映画
自殺や殺人、孤独死などでマンション、アパートの家賃が下がってしまう、いわゆる事故物件が出た場合、いったん第三者が借りて問題なく過ごしたら家賃を元に戻して次の借り手に貸す、というのをタイトルになっているルームロンダリングというらしく、実は予告編でこの一事で知って、では見てみようとなった。

たまたまなのだが、大竹まことゴールデンラジオに出た事故物件芸人松原タニシの話とか、事故物件を霊能者と共に審査してまわるマンガ「霊能者と事故物件視てきました」などが重なったせいもある。

で、実際の映画はというと、これがかなり困った出来で、まずストーリーの肝であるところのルームロンダリングの扱いがストーリーに実はあまり生きていない。

ルームロンダリングを依頼する不動産屋にしたら、適当なところでロンダリングで貸している店子を追い出して次の正規の家賃で借りる店子に回さないと商売にならないはずだが、そちらのストーリーはまるで展開しない。
ヒロインが幽霊たちに情が移って出ていきたがらなくくなるとかいったストーリーの綾くらいないと、どうにも単調で困る。

事故物件というものがあるのは、幽霊を特に信じていなくても人死にが出た部屋はなんとなく縁起が悪いから敬遠するといった境界線にいる人が相当にいるからで、そのキワキワのところをすっ飛ばしていきなり幽霊が普通に見えるヒロインを連れてきたものだから、幽霊が普通の人間と大して変わらない存在になってしまっている。


背中に刃物を突き立てたままだったり、手首が切れてぷらんぷらんになっていたりといった幽霊が現れてもヒロインが驚きもしなければ怖がりもしないのは一応初めは面白いけれど、そのあとの展開が手詰まりになることにもつながる。

一種の無風状態を描きたいらしいのはわかるけれど、端的にいって設定だけでストーリーが転がらないわけで、見ていてどうにもかったるい。

早い話、ここには幽霊が見えないキャラクターが出てきて見えるヒロインとの違いを際立たせるといった手続きが抜けている。だからかえってヒロインの変わっているところも生きてこない。

幽霊が見える、というか身近でいる一家の一種の人情話であることはだんだんわかってくるけれど、強引にとってつけたような感じが強い。

幽霊の一人を殺した犯人が見つけるミステリ的趣向もいささか強引。細かいところを言うと、警察に届ける時はこちらから警察署に行かないか。

余談だが、松原タニシの話で事故物件の部屋の風呂に入っていたところ、湯気で曇った鏡に何か字が浮かんでくる、心霊現象かと思ったら「シャンプー」という文字だったのでなんだろうと首をひねったとか、「霊能者と事故物件視てきました」に出てくる部屋に物理的な欠陥があるわけでなく自殺者や殺人があったのがイヤだといった欠陥を「心的瑕疵」というずいぶんもっともらしい言い方をする(「マルサの女」で愛人のことを「特殊関係人」と言っているおもしろさに通じるような)といった豆知識的面白さが事故物件関連にはある。
(☆☆★★★)

「ルームロンダリング」 公式ホームページ

「ルームロンダリング」 - 映画.com

ホームページ

7月27日(金)のつぶやき

2018年07月28日 | Weblog

「最後のランナー」

2018年07月27日 | 映画
「炎のランナー」のラストで主人公の一人であるエリック・リデルについて後に中国で教師として過ごし(もともと中国の天津生まれ)日本軍の収容所で死んだと簡潔にタイトルが出るが、その内実を映画化したのがこれといっていいだろう。

そして正直、それ以上でもそれ以下でもない内容で、日本軍の蛮行の描写については、中国製抗日ドラマほどひどくはないが、日本人役をやっている日本人俳優はユモト・ヨシノリ役の小林成男だけで、イントネーションがおかしい日本語のセリフも多くて、どうもリアリティが薄くて型にはまった印象は免れない。

日本側も物資の不足に苦しんでいて、外部のリデルの中国人の友人が収容所で見張っている日本軍人に賄賂をやって一定の時間、鉄条網に流している電流を切ってもらい収容所の外から物資を持ち込むのを大目に見てもらったり、外で子供たちにあげさせた凧をわざと鉄条網に当てて燃やしてボヤを起こして見張りの目を引き付ける間に脱獄を図るといった趣向は割とおもしろい。

収容所の中で脚力自慢の日本軍人と競走するシーンも、リデルが「炎のランナー」で見せた天を仰いで神の恩寵を受けるような走り方をするのかと思ったらそうともとれるようなそうでもないようなで、今一つ盛り上がりに欠ける。

リデルが人種の隔てなしに子供たちに教えている教師としての顔を見せるシーンは魅力的。それだけに終盤の展開は痛ましい。
(☆☆☆)

「最後のランナー」 公式ホームページ

「最後のランナー」 - 映画.com

ホームページ

7月26日(木)のつぶやき

2018年07月27日 | Weblog

「ワンダー 君は太陽」

2018年07月26日 | 映画
「エレファントマン」は主人公の変形した顔を徹底して隠すという映画の内容にも通じる見せ物小屋的センスで宣伝されたけれど、この映画の予告編では別に隠しもしないで写っていた。
それだけまがりなりにもリテラシーが上がったとも言えるし、見ようと思えばさほどその手の映像を見られるようになっているせいもあるだろう。

とはいえ、映画そのものはすこぶる知的に、進行につれてそれぞれの登場人物の視点の違いによって同じものを見ていても見えてくる世界像は違うことを巧みに比較対照することで示していく。

見かけの美醜と差別というデリケートな問題とは切り離せない理解の必要性とそれゆえに伴うありがちな誤解とその和解、といったプロセスを丹念に解きほぐして描いていく手つきが見事。

いじめっ子たちに対する位置づけも一律ではなく親も含んだものになっているあたり、彫りが深い。
俳優たち、特に子供たちの演技の自然さも特筆もの。
(☆☆☆★★★)

「ワンダー 君は太陽」 公式ホームページ

「ワンダー 君は太陽」 - 映画.com

ホームページ

7月25日(水)のつぶやき その2

2018年07月26日 | Weblog

7月25日(水)のつぶやき その1

2018年07月26日 | Weblog

「インサイド」

2018年07月25日 | 映画
フランス製ホラー「屋敷女」にかなり大胆な脚色を施したリメイク。

妊婦のヒロインが謎の女に二人きりになった屋敷の中でとことん追い詰められるというところは一緒。
屋敷の中はずいぶん大騒ぎになっているのだけれど、夜の上に豪雨が降りしきっていて周囲の家がまったく気づかないあたりが割と周到で、屋敷内にこもらず外にかなり出ていき、それがストーリーの展開に結びつくあたり、変化のつけ方に工夫が見られる。

クロースアップを多用しながらバックのボケ味の出し方のニュアンスが豊か。

そして犯人の動機付けなどの創作部がかなりうまくいっていて、妊婦を追い詰めるというえげつない趣向の末に、また別のカタルシスを生んでいる。
(☆☆☆★)

「インサイド」 公式ホームページ

「インサイド」 - 映画.com

ホームページ

7月24日(火)のつぶやき

2018年07月25日 | Weblog

「天命の城」

2018年07月24日 | 映画
大がかりな製作規模のわりに、煎じ詰めると存亡の危機に戦って死ぬか降伏して生き延びるかの究極の選択を問う二人の家臣、キム・ユンソクとイ・ビョンホンの論争劇になる。

戦いを主張する側が状況の悪化と共に次第に論争において負けていく過程がちょっと丹念すぎるくらい丹念に描かれる。すでに戦いが始まってしまった中、ぎりぎりのところで犠牲者がさらに増えるのを食い止める緊張感は通常の勝つか負けるかとは別の複雑な感慨を呼ぶ。
終盤の大国に屈する屈辱感というのもよく出ていた。

その間に国の中枢からはかけ離れた鍛冶屋が思わぬ形で清国との交渉に関わることになるのが、結局国とはこちらの方なのだという感慨にもつながる。

寒さの表現、戦闘シーンの音響効果など秀逸。

「天命の城」 公式ホームページ

「天命の城」 - 映画.com

ホームページ

7月23日(月)のつぶやき

2018年07月24日 | Weblog