極端な接写の連続で背景や前景の人影などがぼやけていて、何か胎内でまどろんでいるよう。
ナレーションなどによる説明もまるでないので、佐川一政というのがどんな人物なのか知らない人にはどう映るのかちょっと見当もつかない。
佐川自身が性欲というより食欲の方に執着があったらしいが、映画も肉体そのものに文字通り肉薄している感。肉薄し過ぎて周囲に溶け込んでいるみたい。
佐川一政が主演したAV(そんなのがあったなと思い出した)や、自身が描いたマンガなどが引用されるが、どうもとってつけたような違和感は否めない。外界との齟齬というのが外部からも当人からもあって、当人も自分を持て余しているみたい。現在は半身不随でなおさら自由がきかないのを、介護している弟が妙に似ているのが、肉体を重視する作りに貢献している。
兄弟の子供の時の白黒映像でしきりと相撲をとっているところがピックアップされ、テレビに映っている大相撲の力士が写る(力士の顔に修正が入るのはどういうことか)のが、極端な未熟児として生まれ、150センチしかなかったという佐川とコントラストをなす。
「カニバ パリ人肉事件38年目の真実」 - 公式ホームページ
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