ずいぶんシブい番組組みますね。
キューザック扮するシークレット・エージェントとマリン・アッカーマン扮する暗号作りのエキスパートが機密指令の送信所に行ったところ、思いがけず詰めていたスタッフが皆殺しになっていて、辛うじて中で待ち伏せしていた敵は倒したが、外にも敵がいるので出るに出られず籠城状態になる。さらにすでに各秘密組織の幹部15人の暗殺指令が送信されていたので、取り消すため暗号を解読しなくてはならなくなる。
全編の多くを限られた空間の二人の芝居で通しているけれど、二人が来る前に何が起こったのかをボイス・レコーダーの記録から解読していくうちに絵解きのフラッシュバックをはさんでいく編集と音響処理の手際が良くて、重ったるくならない。
アクション・シーンは随所にあるけれど、必要にして十分という感じ。爆発シーンなどもっとにぎにぎしくやるかと思った。
実際に一番盗聴しにくいのは旧式の黒電話だったりするらしいが、ここでの暗号送信も解読もずいぶんとアナログな方法を使っているのが逆にもっともらしい。
ほとんど出ずっぱりで二人芝居を支えるマリン・アッカーマンって何に出ていた人だったっけと思ったら「ウォッチメン」のシルク・スペクターや、「ロック・オブ・エイジス」でトム・クルーズとできてしまう雑誌記者とかやっていた人ね。
出番が多いせいもあるけれど、これまでで一番印象が強い。
ドラマとすると殺しを目撃した無関係な少女を殺せないで、しかも結局死なせてしまった負い目を抱えているという、エージェントとしてはかなり甘さを抱えた設定なのが、キューザックのあまりタフではない植物的な柄に合っていた。
その少女とアッカーマンとが二重写しになっているわけで、男女二人きりでひとつの空間に閉じこもっていても性的に流れず自然にストイックなのが、逆にお約束通りでけっこう気持ちいい。
昔だったら名画座で期待しないで見て損はしませんという感じ。それが今では結構贅沢にうつる。
(☆☆☆★)
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