原題は「バッファロー・ビルとインディアンたち、あるいはシッティング・ブルの歴史授業」Buffalo Bill and the Indians, or Sitting Bull's History Lesson という長いもの。
ビッグ・アメリカンなどという物々しい邦題とポール・ニューマンの笑顔を見るとかなり誤解する。
冒頭のメインタイトルの出し方からしてエンドタイトル風のローリングタイトルというのが人を食っていて、通常の西部劇が終わったところからこの映画は始まりますよといったロバート・アルトマンの宣言ともとれる。
大幅にお話として作り上げられた西部の伝説を上演する西部ショーの楽屋でスターのエゴや出演者の人気比べ、それぞれ自分の功績を言い立てる作者やマネージャーや宣伝担当たちなどがわしゃわしゃしているアルトマン流の人間模様。
アメリカの開拓の「歴史」というのは多分に西部小説や芝居(さらには映画)といったメディアで作られてきたものであり、それが今に至るも生きているのを如実に示す。
ただ、それがわかる人間にはわかりきったことに見え、わからない人間にはおそらく何のことだかわからないであろうのは弱点。
ロバート・アルトマン得意のズームを多用した不安定なフレーミング。
衣装や装置などバカに立派なのに、そこでやっていることときたら見事にウソばかり。
ポール・ニューマン、バート・ランカスターといった大スターを使ってこれだけ空っぽの俗物キャラばかりというのも徹底している。
カスター将軍を殺す「インディアン」の「酋長」に扮するのが黒人という皮肉。
字幕でPC上の理由で「先住民」とか「首長」と出るとどうも皮肉が薄れる。