オープニングで主人公のクラバートが仲間二人とキリスト生誕を祝いに来た東方の三博士に扮して家をまわり食べ物をもらうハロウィンみたいな遊びをするが、本筋に入ると「親方」のもとで水車小屋で十一人の仲間の子供たち(つまり全部で十二人)とこき使われる、してみると「親方」はキリストみたいな位置づけになるが、やっていることは逆。
魔法を使って子供を牛に変えて町の市場で売り、そのあと逃げてきた牛を子供に戻すというインチキで小金を儲けるのが「親方」のやり口なのだから。
放浪の自由を失う代わりに抑圧されながら日々のパンだけは得られる、という環境はまことに典型的に人間の生活を描いている。
人はパンのみにして生きる、というキリストの教えの逆の世界。
切り紙アニメの中に、水や煙などの実写が合成されるのがすこぶる刺激的。
「愛以上の魔法はない」という、気恥ずかしくなりそうな評言が生きて聞こえる不思議。
(☆☆☆★★)
本ホームページ
クラバート - goo 映画
幻想の魔術師 カレル・ゼマン 「クラバート」 短編 「クリスマスの夢」- Amazon
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