prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「夕陽のガンマン」

2016年10月31日 | 映画
もう実に半世紀前の製作なのですね。この当時イーストウッドがこうもランクの高い映画人になると誰が思っただろう。

「荒野の用心棒」の完全ピンの主演ぶりに比べてリー・ヴァン・クリーフと二枚看板の主演で、どちらかというとクリーフの方が背景も描き込まれていて儲け役。これがさらに「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」だとイーライ・ウォラックが加わってこちらがまた儲け役という具合に後になって出てくる方が得をしているのが面白いところ。

ほとんど笑ってしまうくらいガン・プレイとかシガーの吸い方といったディテールに凝りまくっている。
カットによっては背景がボケないよう合成を使っているくらい超どアップにこだわるレオーネ独特の画面構成。時計やフラッシュバックの使い方もこの後独自のスタイルとして精錬していくことになる。



10月30日(日)のつぶやき その2

2016年10月31日 | Weblog

10月30日(日)のつぶやき その1

2016年10月31日 | Weblog

「スター・トレック BEYOND」

2016年10月30日 | 映画
エンタープライズ号が無数のドリルのような宇宙船に襲撃されるシーンが、敵の戦闘機のデザイン、戦闘法ともに斬新で、ここまでメタメタにやられたことあったかと思わせる。
不時着してから反撃するのに忍者ばりの分身の術や肉弾戦になったり、ストーリーからするとテレビシリーズとスケールはそれほど変わらないのではないかと思ってしまう。

CGの向上ぶりに対してメイクとかコスチュームなどのデザインが古めかしいままなのはトレッキーを裏切るわけにはいかないからだろう。

「エリジウム」をもっと複雑にしたような上下関係が錯綜した宇宙都市の造形が見もの。川の下をエンタープライズが航行するといった光景が新鮮。
(☆☆☆★)

スター・トレック BEYOND  公式ホームページ

映画『スター・トレック BEYOND』 - シネマトゥデイ

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10月29日(土)のつぶやき

2016年10月30日 | Weblog

「われらが背きし者」

2016年10月29日 | 映画
エスピオナージものというのは陰鬱なものになりやすいのだけれど、とにかく家族を守る、信義を重んずる、腐敗は許さない、といったまっとうな価値観が渋いトーンの中にも全体に通っていて意外なくらい娯楽作として楽しめる。

一種の巻き込まれサスペンスなのだが、イアン・マクレガーが今上映中の「ジェーン」の板につかない悪役とは同じ役者とは思えないくらい良い意味でお人よしといっていいキャラクターを好演。まった諜報の世界とは無縁のど素人さ加減もサスペンスになっている。
妻役のナオミ・ハリスとごく普通に白人黒人の組み合わせの夫婦をやっているのも好感度で得点。

派手なアクション・シーンはないに等しいが素晴らしい撮影に支えられ緊張が途切れない。
ジョン・バカンの「39階段」ばりのえらくクラシックな手が使われるところがあって、こういう超ローテクというのはかえって使いようがあるのだろう。

テレビの「ホームランド」のスリーパーなのか無実なのかわからない米帰還兵を演じたダミアン・ルイスが英情報部員を演じ、眼鏡をかけているとパトリック・マクグーハンみたい。マクグーハンというと「秘密指令」「秘密諜報部員ジョン・ドレイク」でスパイ役としてならし、初代ジェームズ・ボンドの候補になった人だが、ルイスが今やはり新ボンド役者として取り沙汰されているので、柄としては英スパイに合っているのだろう。
(☆☆☆★★)

われらが背きし者 公式ホームページ

映画『われらが背きし者』 - シネマトゥデイ

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10月28日(金)のつぶやき

2016年10月29日 | Weblog

「映画「聲の形」」

2016年10月28日 | 映画
聾唖者の女の子をいじめる男の子を主人公にするとはずいぶん思い切ったモチーフを選択したもので、正直何度も不快感を覚えた。

どちらかというと男の子の方が途中から見たくないものを見ず聞きたくないものを聞かない、障害ではなく自分で耳をふさいでいる存在で、そこからなんとか脱出しようとする話であることがわかってくる。

終始ヒロインが曖昧な微笑みを浮かべていじめられてもいじめられた方が謝る、という反応を見せ続ける。自衛のためにそうしているのだろうと思う一方で、アニメとしての可愛いらしさを見せる"需要"を感じてしまう。
正直、ヒロインの痛みや辛さをいくらかでも共有しないで済ませてしまっているわけで、解決の仕方も本当に正面から謝ったわけではないから若干ひっかかる。

人間関係をいきなり明かさないで順々にわからせていく語り口がおもしろい。親子とか兄弟といった具合に固定したものとして提示しないでもう少し不定形な関係として提示しているみたい。

人物の顔に×をつけたりフレームから外して意識から他人を排除しているのを文字通り画にしている表現が面白い。
(☆☆☆★)

映画「聲の形」 公式ホームページ

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10月27日(木)のつぶやき

2016年10月28日 | Weblog

「ジェーン」

2016年10月27日 | 映画
予告編見た感じでは、負傷した夫を追ってくる悪党どもから夫と幼子を守る女性の話、だと思ったら、そうには違いないのだけれど、助っ人を頼んだ男と、悪党の首領とがヒロインと昔関係があってという事情の方に話がいってしまい、それがいちいち回想で入るものだから、話の展開が腰を折られてばかりでまだるっこいたらない。

初めの方、ヒロインが銃の腕を見せるところでわざわざ家に備え付けの斧の柄を撃つのだけれど、斧が使えなくなったら自分が困るではないか、他に撃つ的はいくらもあるのだしと演出が雑なのではないかとイヤな予感がしたら、よくない予感というのはなんで当たるかなあ。

子供を守る、というサスペンスの醸成には絶好の設定をしかけておいて途中から親戚の家に預けてしまい(それもセリフで説明するだけ)まるで生かされない。
迫りくる悪党どもに対抗して仕掛けを作るのはいいとしてそれが働くのにためがなく、あっという間すぎていささかあっけない。

クライマックスが夜で、ろくすっぽ明かりがない中でどうやって射撃するのか不思議だし、炎が上がったかと思うといつの間にか消えてしまったりと、やることがバラバラ。
西部劇ならではのシンプルな作りにできるものをなぜかごたごたして、しかも内容が複雑なニュアンスを持ったわけでもない。

原題はJane Got A Gun。
男性形のJohnny Got A Gunといったら反戦小説・映画の代表作「ジョニーは戦場へ行った」の原題で(元は第一次大戦の兵隊募集のジョニー=男性全般よ銃をとれという文句からきたらしい)、暴力渦巻く西部を女性の非暴力的視点で描くのかと思ったらそこまでいってない。
家族の再生ドラマみたいにもっていきたかったのかもしれないが、これもとってつけたよう。
監督の交代劇があったらしいが、製作過程全般にコントロールが効いていない感じ。

トウモロコシ畑が美しかったり、熱気球が西部の空を飛ぶといった珍しい風景が楽しめたりはする。
(☆☆★★★)

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10月26日(水)のつぶやき

2016年10月27日 | Weblog

「人形つかい」(ブレイン・スナッチャー  恐怖の洗脳生物)

2016年10月26日 | 映画
WOWOWで「ブレイン・スナッチャー  恐怖の洗脳生物」という変なタイトルで放映されたが、ロバート・A・ハインラインの「人形つかい」の映画化。
劇場未公開で国内DVDもなし。

宇宙から来た生物に取り憑かれた人間が自分の意思を失って操り人形になるというストーリーは、原作が書かれた1951年が米ソ冷戦下で共産主義者によって洗脳される恐怖の反映だと言われ、同じ時期(1955)に書かれたジャック・フィニイの「盗まれた街」(The Body Snatchers)とモチーフは共通している。

その「盗まれた街」の2度目の映画化「SF ボディスナッチャー」の主演の(邦題はこのあたりから来ているのだろう)ドナルド・サザーランドをここでも主演に迎えているのはわかりやすいというか、悪く言うと一種見え透いた感じ。

「ボディスナッチャー」「遊星からの物体X」みたいに見かけはまったく普通の人間と見分けがつかないわけではなく、いささか目立ちすぎるくらいわかりやすい体裁なので、誰が取り憑かれているのかというサスペンスは薄い。
期待値低かった分、割と楽しめたが、後になると類似作と比べたりしていろいろ不満が出てくる、そういう出来。

時代設定を原作とはずらして映画化当時(1995年)に合わせて現代化しているようだが、携帯もPCもなしでこれはこれで時代の違いを感じさせる。

「人形つかい」の造形はまだCGではないよう(「ジュラシック・パーク」が1993年)でこれまた今ではほとんどレトロに映る。



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10月25日(火)のつぶやき その2

2016年10月26日 | Weblog

10月25日(火)のつぶやき その1

2016年10月26日 | Weblog

「ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄」

2016年10月25日 | 映画
監督がウリ・エデルというのが意外だった。
ドイツ出身で麻薬に溺れる14歳の少女を実録に基いて描いた「クリスチーネ・F」、現代版「神曲」の「ブルックリン最終出口」、過激派組織の経緯を実録に徹して描く「バーダー・マインホフ/理想の果てに」といった暗くハードで割と個性的な作品を撮っている人がホラーというのは合っているような、場違いのような、どちらだろうと思ったら、まあ普通のホラーで作家性といったものはあまり出していませんでした。

調べてみたら、劇場用映画よりテレビ演出の方が多いので、普通に職人的にまとめるのも慣れているのだろう。

ホラーシーンは色々あるのだけれど、全体に散発的で本格的に怖くなるところまでいかず。
黒い鳥が飛びまわるくらいではそれほどインパクトはない。

子供の失踪というモチーフは現実の方が陰惨だろうから、あまりリアルに処理しないでホラーの約束事の範疇にとどめたみたい。

ニコラス・ケイジ(しかし、よく出ますなあ)の奥さん役が、「プリズン・ブレイク」や「ウォーキング・デッド」のサラ・ウェイン・キャリーズ。でかい画面で吹き替えでなしに見ると、同じ顔がずいぶん印象が違って見える。
(☆☆★★★)

ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄 公式ホームページ

ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄|映画情報のぴあ映画生活

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公開時期をハロウィンに合わせた賑やかしと言いますか。