東ドイツで社会主義を信じ続けた母親が心臓発作で倒れて意識不明になった間に社会主義諸国が崩壊してしまったので、ショックを与えないように、息子が社会主義が存続しているようにさまざまな手をつくして見せかける苦心が笑いを呼ぶ。
宇宙飛行士が出てくるあたり、ソ連の宇宙飛行士が地球を巡って降りてきたら、ソ連が崩壊してロシアになっていたという実話を思わせる。
嘘で固めた報道を作る主人公の行動の描写が、旧東側だけでなく報道全般のインチキさを象徴するところにまで届いている。
初めのうち資本主義側のこっちとすると優越感混じりで笑って見られるが、そのうちそういう一種過剰なくらいの思いやりが生きる社会を目指したのが、元の社会主義の理想だったような気がしてくる。
資本主義が“勝った”からといって、別に喜べる状況になったわけではないものね。
消費生活にあっという間に慣れていく東ドイツ市民の描写が笑わせる。人間は楽や贅沢にはすぐ慣れて、逆戻りはできないものらしい。
もし南北朝鮮が統合なんてことになったら、その落差は旧東西ドイツどころの騒ぎではないだろう、とも思いながら見ていた。
この作者はキューブリックのファンらしい、「2001年宇宙の旅」を真似るビデオ青年が出てくるし、コマ落としで調度を旧東側のものに改装するのに「ウィリアム・テル序曲」が流れるのは明らかに「時計じかけのオレンジ」、主人公の名前がアレックス(アレクサンダー)というのも、そう。
(☆☆☆★★)
本ホームページ
グッバイ、レーニン! - Amazon
宇宙飛行士が出てくるあたり、ソ連の宇宙飛行士が地球を巡って降りてきたら、ソ連が崩壊してロシアになっていたという実話を思わせる。
嘘で固めた報道を作る主人公の行動の描写が、旧東側だけでなく報道全般のインチキさを象徴するところにまで届いている。
初めのうち資本主義側のこっちとすると優越感混じりで笑って見られるが、そのうちそういう一種過剰なくらいの思いやりが生きる社会を目指したのが、元の社会主義の理想だったような気がしてくる。
資本主義が“勝った”からといって、別に喜べる状況になったわけではないものね。
消費生活にあっという間に慣れていく東ドイツ市民の描写が笑わせる。人間は楽や贅沢にはすぐ慣れて、逆戻りはできないものらしい。
もし南北朝鮮が統合なんてことになったら、その落差は旧東西ドイツどころの騒ぎではないだろう、とも思いながら見ていた。
この作者はキューブリックのファンらしい、「2001年宇宙の旅」を真似るビデオ青年が出てくるし、コマ落としで調度を旧東側のものに改装するのに「ウィリアム・テル序曲」が流れるのは明らかに「時計じかけのオレンジ」、主人公の名前がアレックス(アレクサンダー)というのも、そう。
(☆☆☆★★)
本ホームページ
グッバイ、レーニン! - Amazon