prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「グッバイ・レーニン!」

2005年01月31日 | 映画
東ドイツで社会主義を信じ続けた母親が心臓発作で倒れて意識不明になった間に社会主義諸国が崩壊してしまったので、ショックを与えないように、息子が社会主義が存続しているようにさまざまな手をつくして見せかける苦心が笑いを呼ぶ。
宇宙飛行士が出てくるあたり、ソ連の宇宙飛行士が地球を巡って降りてきたら、ソ連が崩壊してロシアになっていたという実話を思わせる。

嘘で固めた報道を作る主人公の行動の描写が、旧東側だけでなく報道全般のインチキさを象徴するところにまで届いている。
初めのうち資本主義側のこっちとすると優越感混じりで笑って見られるが、そのうちそういう一種過剰なくらいの思いやりが生きる社会を目指したのが、元の社会主義の理想だったような気がしてくる。
資本主義が“勝った”からといって、別に喜べる状況になったわけではないものね。

消費生活にあっという間に慣れていく東ドイツ市民の描写が笑わせる。人間は楽や贅沢にはすぐ慣れて、逆戻りはできないものらしい。

もし南北朝鮮が統合なんてことになったら、その落差は旧東西ドイツどころの騒ぎではないだろう、とも思いながら見ていた。

この作者はキューブリックのファンらしい、「2001年宇宙の旅」を真似るビデオ青年が出てくるし、コマ落としで調度を旧東側のものに改装するのに「ウィリアム・テル序曲」が流れるのは明らかに「時計じかけのオレンジ」、主人公の名前がアレックス(アレクサンダー)というのも、そう。
(☆☆☆★★)


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グッバイ、レーニン! - Amazon

諸行無常

2005年01月31日 | Weblog
六本木の青山ブックセンターに行ってくる。
なんか、何事もなかったかのようにフツーに営業していた。内実は知らないが。

一方、一番近いコンビニがついに完全閉店。以前、牛丼屋が入って撤退したと思ったら、また撤退。それ以前は銀行。なんか、客がいつかない場所みたい。


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共産党のアンケート

2005年01月30日 | Weblog
ポストに日本共産党のアンケートが入っている。
設問の仕方がイカニモで、“石原都知事になってから、福祉が削減されました。賛成ですか反対ですか”とか、“東京都は建築基準を変更して高層建築を促進しています。環境が大切だと思いますか”という具合に、誘導尋問といった方が正確なもの。
だものだから、全部答えさせたいのと反対の答を書いて出す。何か効果があるわけもないが。

香典返しでカタログが送られて来て3000~5000円くらいの商品を選べるようになってきたので、腕時計兼用の万歩計を選んだのが送られてくる。一万歩を歩くというのは、かなり大変。一時間半くらいかかってしまう。


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Big Issue

2005年01月29日 | Weblog
あちこちでホームレスが雑誌Big Issueを売っているが、誰か買ったところを見たことがない。
もともと、イギリスだったかでがホームレス支援用に創刊したのを日本に持ち込んだものなのだが、効果あるように見えない。
無理もないので、オッさんや爺さんが、ただ雑誌を頭の上で振っているだけじゃ、買わないよ。


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「ネバーランド」

2005年01月28日 | 映画
実在の子供のピーターがジョニー・デップ扮するジム・バリーになつくかと思うと急に気難しくなったり、ジュリー・クリスティーの口やかましい祖母が急にバリーの芝居を見て拍手したかと思うと次の場面では突き放し、それからまたすぐ許したりで、感情の流れが唐突なところが割と目につく。

劇作家なのだからもともと言葉の産物であるバリーの夢想を映像で描くのは、とっつきやすいには違いないが、なんだか陳腐にも見える。ピーター・パンのドラマ自体が夢想と現実との相克なのを、その作者の現実と創作化とだぶらせる発想は魅力的でずいぶん期待したのだが、結果はまずまずといったところ。

デップは「妹の恋人」や「シザーハンズ」あたりのイノセントな持ち味に現実の苦味を加えた役どころ。しかし、オスカーとなると、どうだろう。
ダスティン・ホフマンのプロデューサー役は平板。このところ、役に恵まれていない感じ。
(☆☆☆★)


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からくりミュージアム

2005年01月27日 | 写真
渋谷2丁目バス停前。どういうわけか、ガキンチョが大勢来ていて、落ち着いて見てられなかった。残念。
場内写真撮影自由。撮り方のアドバイスまである。


表看板。白と黒のぶち模様の中に、牛が3頭いる。

座れない椅子。

一見普通のバッグ、実は陶器製。

はみ出たテーブルクロスのように見えて、実は絵のうち。

手回しで動かすおもちゃ。

おみやげ。おならメーカー、ジャンボ耳など。

手回しで動くおもちゃ。羽ばたくペンギン、暴れる俎板の鯉。

入場時にもらうスナック。

スナックの中身。



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コンビニ閉店

2005年01月27日 | Weblog
一番近くのコンビニが閉店で、4割引セールをやっていた。
真っ先にスナック類がなくなって、雑誌類は返した感じ(写真)。
牛乳とアイスクリームを買って帰る。
他のコンビニチェーンを出店させないためか、やたらと同じコンビニが狭い地域にまとまって出店していたが、さすがに間引く必要が出てきたみたい。
しかし、街に閉めた店が増えるのは、景気が悪くていけない。


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「カンフーハッスル」

2005年01月26日 | 映画
画面はまるっきりマンガだけれど、中身は勧善懲悪ではないのだね。
最初に出てきた悪者があっさりもっと悪い奴らにやられてしまう、チャウ・シンチーは初めワルぶって出て来て最後に改心、というか変身する、スラムに住んでいた貧乏で冴えない連中の中から達人が続々と現れる、という調子で、劇中の人物の扱いが大きく変わっていて、悪玉善玉が必ずしも初めからはっきりしていない。
だからスッキリしないかというと、そんなことはなくて、クライマックスで雲が仏の姿になって、巨大な掌で問題を解決するあたり、案外マジメに仏の救いを描いている感じ。CGを多用していても、ハリウッド式とは一味違う。

チャウ・シンチーの英語名がStephen Chowというのは、なんか変な感じ。

車の中で大家の妻が刺客を威嚇する動きが、そっくりそのままブルース・リーなのが可笑しい。

長部日出雄「紙ヒコーキ通信」によると、最後の暗殺剣変じて蓮の花になる場面は、お釈迦様とその弟子が元だろうとのこと。
(☆☆☆★)


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偽札

2005年01月26日 | Weblog
スーパーで旧一万円札を出したら、じいっと見て確認していた。当局からの指導なのだろうが、よほど駆け込み的に偽札が流通しているのだろう。

ソウルで420万円も偽札を使った男の自宅捜査の後、どうなったのだろう。普通考えて、“知らなかった”で済む量ではないし、第一それほど大量の現金を外国に持ち出すこと自体、変ではないか。

何だか、韓国・朝鮮がらみの記事になると、いつも奥歯に物がはさまったような表現になる。

「誰にでも秘密がある」

2005年01月26日 | 映画
三人姉妹とイ・ビョンホンとのそれぞれのアフェアの経緯が時間が行きつ戻りつして、同じ出来事も姉妹によって違う角度から繰り返し描かれる。それぞれのパートの区切りに、姉妹の似顔のアニメやバルザックなどの箴言が出てくるのが目印になる。キューブリックの「現金に体を張れ」以来、「レザボア・ドッグス」などでも使われた技法。

こうすると、それぞれの場面が姉妹の主観に添った描き方になるので、ビョンホン扮する男が何を考えているのかわからないのがミソ。姉妹のみならず、弟まで彼か関わる事で幸せになるのだから、「テオレマ」のテレンス・スタンプみたいだなと思っていたら、なんとこれが大当たりだったので逆に驚いた。

ずいぶん韓国の映画人は幅広く勉強しているみたい。
(☆☆☆)


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札幌中島公園の見せ物小屋

2005年01月25日 | 写真
札幌中島公園に出た見せ物小屋です。昔ながらのものは、日本で二つしか残っていません。

これからヘビの頭を齧ります。



蛇女オミネさん



ヘビ女のおミネさんが蝋燭を用意してます。融けた鑞を飲みます。


ヘビ女と、大蛇。


見せ物小屋では、呼び込む人が真打ちです。



見せ物小屋の看板。ヘビ女の由来です。



見せ物小屋の看板。



ヘビ女の因果の説明。



お姉ちゃん、うちで働かない? 給料いいわよ、とホントに言ってました。



小屋の前の人ごみ。



真打ちが、子供にヘビを触らせています。



呼び込み。



見せ物小屋の外景。



「ハウルの動く城」

2005年01月25日 | 映画
ソフィーが上り坂で息がきれたり、節々の痛みを訴えたり、呪いをかけた魔女自身が途中からしぼんだようになった姿など、割とリアルな“老い”の表現。
宮崎駿の年齢からして、老いを考えるようになって不思議はないが。

「もののけ姫」のアシタカが受けた呪い同様に、「歳をとる」ということも一種の解けない呪いと思わせる。あまり脈絡なく(一応恋心と関係あるみたいだが)若返ったり、部分的に頭が白いままだったりするあたり、“呪い”が解けておしまいというパターンをあらかじめ解体しているよう。

「ナウシカ」以降はいわゆる脚本を作らないでいきなりコンテを立てているせいか、論理的なコンストラクションより画(これが凄いのは今更いちいち言うまでもない)から来る無意識の連想法で展開していくよう。
ソフィーが帽子を作る縫い子で、魔女が使う下っぱのクリーチャーたちががなぜか皆帽子をかぶってるあたりのつながりなど、普通の作劇だったらもっと帽子の持つ意味をきちんとつけていくだろう。

ハリウッド式の制御されすぎた作り方からはみ出たスリルはある一方、意地悪く見ると作り手自身何を言いたいのかわからないまま手探りで作っていて、最後までよくわからないまま終わっている感もある。
おとぎ話の“呪いが解けて王子様の正体が現れてめでたしめでたし”のパターンのパロディなのかどうか、よくわからない終わり方。

オープニングのさまざまなパーツが組み合わさってそれぞれが動く城が霧の向こうから現れるショットは、ノルシュテインの切り紙アニメ、特に「霧の中のハリネズミ」をちょっと思わせる。

爆撃の描写が引きっぱなしの割に妙に生々しい戦争の匂いがする。
(☆☆☆★★)


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バッくれ

2005年01月24日 | Weblog
25日の朝日新聞の朝刊では、まったくNHK問題について触れた記事なし。
24日のテレ朝のサンプロでも取り上げていないし、進展がないせいもあるだろうが、撤退モードに入ったか。本気で訴訟沙汰になったら、かえって騒ぎが沈静化するだろう。
結局この問題を国会に持ち出すのはムリな雰囲気にはなったが。

アメリカ・ボストン在住の知人から58センチの積雪だとメールがある。車が埋まってしまっているらしい。


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「マイ・ボディガード」

2005年01月22日 | 映画
なんでこう画面を悪く凝りますかねえ。ちゃかちゃかコマをとばして昔の8ミリじみて色を不安定にしたりして、見ずらくっていけない。だものだから肝腎の芝居やアクションが良く見えなかったりする。

後半、誘拐事件で人質が殺されて(と思われて)から、やたらハードなヴァイオレンス描写に突っ走ってそれ自体が目的化したみたいで、仇討ちが口実じみてくる。
エンドタイトルでわざわざメキシコ・シティに謝辞を出しているのは、警察まで誘拐団とぐるというヒドい状況の描き方に対するエクスキューズみたい。同じ監督の「リベンジ」と凄惨さでは近い。

デンゼル・ワシントンの手の甲の煙草を押し付けたようなヤケドの跡、あれは一体何なのか。
(☆☆☆)


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「ターミナル」

2005年01月22日 | 映画
本来宙ぶらりんでドラマになりようがない状況にムリに悪玉善玉がかった設定をしてドラマに仕立てている。主人公がニューヨークに出ていくクライマックスにせよ、本当に求めていたわけではなくて、周囲が勝手な善意からお膳立てしただけなもので、一向にカタルシスがない。
実話の方だと空港に暮していた男は現地のフランス語をまるで覚えようとはしていなかったというが、それくらい一種の狷介さがあって当然のオハナシだろう。

出るなと言われた空港から出ないのは、先生に言いつけられた小学生みたい。それを周囲が助けてやるという展開なのだが、子供ならともかく大人に周囲がお節介をやくのは見ていて周囲の自己満足じみて見える。
もちろん政治的な重さや不条理は、要求するだけヤボというもの。

エンドタイトルを見ていると、編集にムヴィオラを使っている。「プライベート・ライアン」ではスタインベックをつかったそうだが、デジタル編集が当たり前になった現在、わざわざアナログなやり方をしているのはスピルバーグらしい。
(☆☆☆)


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