prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

8月31日のつぶやき

2020年08月31日 | Weblog



「フローズン」

2020年08月30日 | 映画
終業ぎりぎりの時間のスキー場のリフトに乗った男二人女一人の三人組が、それと知らない従業員に途中でリフトを止められてしまい宙吊りになったまま寒い中を取り残されるというワンシチュエーション・スリラー。
「死刑台のエレベーター」の寒冷版といったところ。

高いところから落ちて脚を折ったところに狼が寄ってきたり、除雪車がやってきて気づかないまま行ってしまったり、いろいろ工夫を凝らしているけれど、基本的に動きが乏しく単調なのは覆い難い。

極寒の中、素手で金属をつかんでしまい張り付いたのを剥がして手のひらの皮がむけるあたり、今一つ痛そうではない。

狙いはいいのだけれど、意余って力足りずというところ。


Frozen

「ブライド・ウェポン」

2020年08月29日 | 映画
ロケもプエルトリコ、キャスティングもプエルトリカンが目立つアクションもの。
主役の本物の女性格闘家ジーナ・カラーノが男たちをびしびし容赦なく痛めつける痛快さが売り。

しかし、手錠をかけた女性を男の刑事がトイレの中にまでついていって見張るというのは珍しいというか、いいのかという感じ。ついていったからノサれてしまうわけだが。

スポーツなどで使う小型カメラ(アクションカメラとかウェアラブルカメラとかいう)をよく使って、高所に張られたワイアに実際にしがみついた人間の接写とか撮っているのがちょっと新味。

プエルトリカンは子沢山というけれど、終盤、わらわらと子供たちが大勢湧いてきてヒロインたちに加勢したり、取り囲んで格闘を見物したりしている。
処刑は子供の目を覆って見せないようにして行うのも珍しい。

トリート・ウィリアムスとかスティーブン・ラングとかダニー・タレホといった名前が並んだキャスティングだと、誰が一番悪いのかわかりにくくて、「プリズン・ブレイク」のスクレことアマウリー・ノラスコがラスボスになるのがちょっと座りが悪い。出てくるの遅いし。




「ブライド・ウェポン」 - 映画.com「ブライド・ウェポン」

8月28日のつぶやき

2020年08月28日 | Weblog

「君が世界のはじまり」

2020年08月27日 | 映画
設定は関西らしく、お好み焼きでご飯を食べるのにはちょっとびっくり。
もっともエンドタイトルを見ると栃木フィルムコミッションが協力とあるから栃木でも撮ったのだろう。

全体とすると田舎の高校の息がつまるような感じ(しかしホントそういうモチーフの映画多い)の中でたまり場になっていたショッピングモールも閉鎖されてしまい、ゾンビみたいに高校生五人で誰もいないモールに出没して臨時のバンドを結成してブルーハーツの「人にやさしく」を演奏するいるところに、父親を殺してしまった同級生の幻影がふらっと現れるのがひとつのクライマックスになる。

正直退屈な日常を退屈なまま描いている感じもかなりして、ひとつひとつのスケッチのセンスはいいところはあるけれど、なかなか全体としてのうねりやリズムは出てこないのがもどかしい。




「アルゲリッチ 私こそ音楽」

2020年08月26日 | 映画
リアル「秋のソナタ」というか、世界的ピアニストの母を持った映像作家の娘の視点から母親として、ピアニストとしてのアルゲリッチを描く。
ただアルゲリッチの演奏そのものはそれほど見られない。

何人も娘がいて、それぞれ母に対する相対し方が違う。ばらけていてまとまりが悪い感じにもなるが、肉親でないと撮れないであろう部分というのはある。

ピアソラのドキュメンタリーで息子のダニエルの視点から描いたのと通じるものがある。

日本との縁が深く別府アルゲリッチ音楽祭を開催しているわけだが、日本の新幹線で箸を使って弁当を食べたり、宿でマッサージを受けたりしている図というのはちょっと面白かった。




「海辺の映画館 キネマの玉手箱」

2020年08月25日 | 映画
撮影監督協会の機関紙「映画撮影」の撮影報告によると、一秒あたりのコマ換算で通常の24コマを22コマにしてあるという。
微妙に早送りしているわけね。
とにかく詰め込めるだけ詰め込んだというか、いじり倒したというか。

エピソードや戦争の描き方そのものは、合成を多用して極端に人工性を強調した作りに見合って、あえて平板にしてある感。

ヌードに局部に限らずボカシがかかっている、場合によっては特にヌードでなくても肌が露出している部分にボカシがかかっているのは、何でもないところが逆に検閲がかって見えて、微妙に逆説がかった。




「ザ・フォッグ」(2005)

2020年08月24日 | 映画
往年のジョン・カーペンター監督脚本によるホラー映画のリメイク。カーペンターは今回は製作にまわっている。

ストーリーはほぼ一緒だが、因果話のもとの惨劇を画面にはっきり出したほか、その時船が燃やされるのに合わせて怨霊たちの呪いの表現が炎や水と多彩になった。
オリジナルだと直接的な暴力、グロテスクな表現は割と避けていたのだが(カーペンターの後の「物体X」を思うとウソみたいだが)、今回は見せ場増量。
ただ昔のスラッシャー映画ほどにはどぎつくない。

ヒロインが黒髪金髪二人に分かれて片方のオチは新工夫。




8月23日のつぶやき

2020年08月23日 | Weblog



「ジョーンの秘密」

2020年08月22日 | 映画
ソ連に原爆技術の情報を流していた実在のイギリス女性研究者をモデルにした映画。

このモデルにしたというのが微妙なところで(名前も変えている)、実際ははっきりKGBのスパイだったとラストの字幕に出るのだが、それまでのドラマがスパイというより自分の意思で東西の力が均衡していた方が平和が保てるという判断の上で情報を渡したという組み立てなのをひっくり返す格好になって、なんだか座りが悪い。
モデルとドラマは違うとはいってもわざわざ直後に水をかけなくてもと思う。

原爆の記録フィルムを映画館で見たことがきっかけという描き方だが、ソ連が原爆を開発する1949年までに記録フィルムが公開されたものか、ちょっと気になった。少なくとも占領下の日本では公開はもっと後だったろう。
 
宣伝ではジュディ・デンチ主演みたいだが、実際は若い(1990年生まれ)のソフィー・クックソンが大半のシーンを演じている。
「キングスマン」シリーズに出ていた人ね。




「すかんぴんウォーク」

2020年08月19日 | 映画
吉川晃司のデビュー作、当時19歳と若くて可愛いのにびっくり。

オープニングの東京上空の空撮から釣り人が集まってわいわいいっているのに寄り、何を見ているのかと思ったら沖からバタフライで抜き手をきって泳いでくる、という登場シーンから水球部員だった経歴と肉体美を生かし、まるで海の向こうからやってきたような現実離れしたキャラクターを提示する。

このあとのセリフなしで1984年の東京の渋谷にPARCOがある風景などを綴るとともに吉川青年が職にありついて(履歴書を書くのに民川裕司という分身的な名前しか見せない)働き出すあたり、雇い主の蟹江敬三が山盛りのカニを食べているというダジャレみたいなシーンを交えて好調。

相棒になる山田辰夫と共に歌で売り出すという現実と虚構を交えて新人売り出し作戦が売り出し成功してずいぶん経つ今ではまた興味深く映る。

白黒画面になったり、マルチスクリーンになったりといったギミックはちょっとうるさい感じで、中盤からは大々的にスターになる姿を見せるにはまだ迷っている感じでもたつく。
監督の大森一樹もこれで自主映画から商業映画の監督になりおおせた感。



8月18日のつぶやき

2020年08月18日 | Weblog


「ローリング・サンダー」

2020年08月17日 | 映画
ベトナム帰還兵がクズどもを退治するという点では
脚本のポール・シュレイダーの代表作「タクシードライバー」とほぼ同じ構造だが、大きく違うのはラストの殴り込みに相棒がいること。兄のレナード・シュレイダーは高倉健主演の「ザ・ヤクザ」の脚本を書いてもいるわけだが、高倉健にあたるウィリアム・ディベインに対する池部良にあたるのがトミー・リー・ジョーンズ。

このあたりの無言でわかりあった二人の男というホモソーシャルな情緒がまるっきりヤクザ映画そのままなのは驚くばかり。



「もどり川」

2020年08月16日 | 映画
萩原健一×神代辰巳の組み合わせとすると一番の大作だが、ショーケンの大麻不法所持による逮捕ですぐ打ち切られたらしい。
大正時代の風俗の再現や関東大震災のシーンなど大がかりだけれど、それ自体を見て楽しむまでには至っていない。

歌人の苑田岳葉が太宰治ばりにやたらとあちこちの女と関係してしまいに心中する。
あまり共感しずらい人間で、共感できなくても一応はわかる業の深さのようなものはショーケンらしく一応出ている。

樋口可南子、原田美枝子、藤真利子、蜷川有紀といった女優陣が華やかに共演するのだけれど、ロマンポルノのつっこみの深さに比べるとかえって散漫になった感もある。