しかし困るのは、両者をつなぐブリッジである男が女を妊娠させて面倒になって捨てる部分に加えて出世を狙って別の女に乗り換える箇所の描写が舞台の下ではほとんど機能していないこと。たとえば劇団の内部で役の取り合いで枕営業するくらいの話を入れるなど、いくらでもアレンジのしようはあったろうにと思わせる。
だからひどい目にあった女の恨みつらみの爆発の部分がどうもパンチが効かない。
あるいは舞台の上と下で加害者被害者がくるりくるりと入れ替わる効果を狙ったのかもしれないが、どうも整理不足。
ふつうだったら掘に戸板の表裏に打ち付けられて放り込まれるお岩さまと宅悦を、舞台の中央に立てておいて回り舞台にしてぐるぐる回転させるシーンが印象的。舞台を見守る裏方たちが観客のようにももっと上から世界を見下ろしている存在のようにも見え、虚実皮膜の趣向をよく画にした。
最初の方に「ある物」のかなり不自然なアップがあって、あとで何か効いて来るだろうなと思ったら案の定。
術、現代のマンションのセット、ともに秀逸。
市川海老蔵が企画も兼ねて主演していて、女遊びが過ぎるあたり、セルフパロディのようでもある。
(☆☆☆)
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映画『喰女-クイメ-』 - シネマトゥデイ