新藤兼人、98歳の新作。東京映画祭での上映。
戦争で生き残った男が、死んでいった戦友に対する自責からその未亡人のもとを訪ねる、という渥美清が生涯一本だけ製作を兼ねて主演した「ああ声なき友」に似たモチーフだが、悲惨な一方かなりユーモアが入っているのが違うところ。
こちらは大竹しのぶの未亡人が豊川悦司の主人公に「なんであんたは生き残りさったんじゃ」と理不尽な問いをぶつけるところからドラマが動き出して、くじに当たるか当たらないかだけで生死が決まるもっと大きな理不尽に広がっていくのがさまざまな、ときに素っ頓狂とも思える局面を生んでいくのが面白く、シナリオと出演陣の腕を見せる。
歳をとると、独特の大胆さというのが出てくるものなのだろうか。
大杉漣の大竹に懸想する(こういう古い言葉が似合う感じ)男が、いくら好いても相手からは悪い人ではないとは認められても、好かれることはないというあたりに新藤先生の独特の野趣のあるユーモアが出ている。
ラストは「裸の島」と通じる水桶をかつぐ姿で、男が水桶をかつぐこつをつかむ姿が入っているあたり、人間は生きなくてはいけない、生きて働かなくてはならない、という主張が描かれる。
そして上映後の挨拶で登板した車椅子姿の監督自身の姿がそれをまた実践しているのをありありと感じさせる。
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戦争で生き残った男が、死んでいった戦友に対する自責からその未亡人のもとを訪ねる、という渥美清が生涯一本だけ製作を兼ねて主演した「ああ声なき友」に似たモチーフだが、悲惨な一方かなりユーモアが入っているのが違うところ。
こちらは大竹しのぶの未亡人が豊川悦司の主人公に「なんであんたは生き残りさったんじゃ」と理不尽な問いをぶつけるところからドラマが動き出して、くじに当たるか当たらないかだけで生死が決まるもっと大きな理不尽に広がっていくのがさまざまな、ときに素っ頓狂とも思える局面を生んでいくのが面白く、シナリオと出演陣の腕を見せる。
歳をとると、独特の大胆さというのが出てくるものなのだろうか。
大杉漣の大竹に懸想する(こういう古い言葉が似合う感じ)男が、いくら好いても相手からは悪い人ではないとは認められても、好かれることはないというあたりに新藤先生の独特の野趣のあるユーモアが出ている。
ラストは「裸の島」と通じる水桶をかつぐ姿で、男が水桶をかつぐこつをつかむ姿が入っているあたり、人間は生きなくてはいけない、生きて働かなくてはならない、という主張が描かれる。
そして上映後の挨拶で登板した車椅子姿の監督自身の姿がそれをまた実践しているのをありありと感じさせる。
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