prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

選挙

2005年08月29日 | Weblog
日曜とあって、朝から政党の代表者があちこちのテレビ局に登場。喋る内容は似たりよったりだし、違えば違ってるなりに突っ込み入れたくなるしで、気分のいいものではない。
早く終わってくれないかな。

それにしても、辻本だのムネオだのといった連中がまた恥知らずにも立候補するっていうのは、およそ一般社会で通用する話ではない。こういうことするから、政治離れ(?)が進むんだ。
一番嫌なのは田中真紀子。マスコミも小泉攻撃に使いたくて色々取上げているのだろうが、これがテレビにうつったら瞬間にチャンネルを変える。いつまでもこんなの持ち上げてるんじゃないよ。

自民党が「刺客」という言葉を使わないでくれ報道各社に申し入れたとのこと。当たり前だ。誰が使い出したのか知らないが、キャッチフレーズばかり作って喜んでるんじゃないよ。

〆切りの前日になって、いきなり条件が変更になる。いいかげんにしてくれ。



本屋の中いろいろ

2005年08月27日 | Weblog

池袋東武内の旭屋にて。
リリー・フランキーのサイン。


新宿紀伊国屋にて。
桐野夏生フェア。もちろんサインつき。


赤坂の橋本龍太郎元首相がよく利用していた書店です。
飼犬が歩き回ることがあるそうです。


この他、「妖怪大戦争」関連のグッズコーナーも。



「星になった少年」

2005年08月26日 | 映画


母象と強引に引き離した子象でないと飼いならすことはできず、飼いならされていないと森に帰っても逆に生きて行けない、というあたりが、主人公の少年と母親との関係と対応しているわけね。
柳楽優弥は「誰も知らない」の幼児に続いて動物と共演して食われない資質の持ち主。タイ人に混じっても容貌があまり見分けつかない。
ゾウ学校の校長をはじめ、タイの役者が良い味。

どの程度特殊効果使っているのか、と考えてしまうのが最近の特殊効果全盛の不幸なのだが(エンドタイトルにVFXスタッフの名前が並んでいるので、使ってないわけではないはず)象の演技はさすがに見もの。これがダメだったら映画そのものの意味がないわけでもあるが、あまり可愛いって動物でない分、余計な抵抗を感じないで見ていられる。
常盤貴子のガラッ八な母親は、祖母役の倍賞美津子の若い頃だったらもっと似合ったろう、と余計なことを考えた。
(☆☆☆★)



星になった少年 - Amazon

「マダガスカル」

2005年08月25日 | 映画
都会育ちの動物が野生の島マダガスカルに放り込まれておたおたしたり、草食動物と仲良く暮していたライオンが野生に帰って仲間を食べようとする幻覚を見るあたり、ペンギンの性格の悪さなどはワサビが効いている。ただ、解決の方法とすると魚だって生き物なんで、ちょっとはぐらかされた気はする。

「野生のエルザ」や「アメリカン・ビューティ」(これもドリームワークスだったか)のパロディはまずまず。「ブギー・ワンダーランド」や「ステイン・アライブ」や「この素晴らしい世界」など、やたらと有名な曲が並ぶのは「シュレック」あたりと共通している。
(☆☆☆)



マダガスカル - Amazon

「ロボッツ」

2005年08月24日 | 映画
30年代のハリウッドのウェルメイドなハート・ウォーミング・ドラマ映画のキャラクターをロボットに置き換えたみたい。
勧善懲悪そのまんまな設定といい、ロボットと人間との差違を完璧に無視しさった作劇といい。だいたい、このロボットたち、なんのために、誰に作られたの?
映画のスタッフたち、っていうんじゃ困るんで。
新しいのがいいとは限らないっていうんだったら、IT関連の一般向け設定のフォローのいーかげんさあたりを取上げればいくらでもネタあると思うんだが。
吹き替え版による。最近、見る時間帯が限られてるせいか、字幕版が見られないことが多い。
(☆☆☆)



「チーム・アメリカ★ワールド・ポリス」

2005年08月23日 | 映画



割と期待していたのだが、ちょっとがっかり。
なんでハリウッドのリベラル派のスターたちが金正日の味方になるのか、理解できず。イヤミにしてもピント外れではないか。スター代表がアレック・ボールドウィンというのもよくわからないセレクション。
「『パールハーバー』は最低」なんてのは、当たり前すぎ。
ただ下品な真似したり汚い言葉吐いたりするだけだと、あまり楽しくないし、スカッともしないのだね。攻撃する対象をちゃんと見定めて、足元固めてぶっ叩かないと。
オープニング、チーム・アメリカが攻撃の的を外してエッフェル塔と凱旋門とルーブル美術館をぶっ壊すあたりは、アメリカの正義の迷惑さを代表しているのかと思うと、途中から反権力みたいになるのも、変。
人形の操演技術は大したもの。人形がゲロ吐いたり血しぶきをあげて吹っ飛んだりするというのは、妙に生々しい。人形が“死ぬ”と、もともと命のないものだからこれまた生々しい。
(☆☆★★★)



フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(1)

2005年08月22日 | フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(シナリオ)
<人物表>
小人富雄 41 … 映画プロデューサー
秋月令子 24 … 小人の秘書
山本三助 55 … 映画館「前線座」オーナー
田中 勲 65 … 金持ち
浅間善之 50 … 田中の運転手
清水道子 33 … 市民グループ代表
溝口秀夫 56 … 旭日新聞嘱託・映画評論家
扶桑和人 30 … 映画監督
花山 修 27 … 脚本家
団 裕仁 32 … 男優・メイクアップの達人
赤沢陽一 30 … 男優
福田香子 21 … 女優
山崎秀子 22 … 女優
広瀬康子 24 … 女優
大平 茜 21 … 田中の二号・素人俳優
トニー早川 30 … 自称日系二世・通訳
イォシフ・ビサリオノビッチ・シュガシビリ  33 … 素人俳優
森岡吉見 61 … 撮影所守衛
仁科慶子 47 … 前線座もぎり
宮下孝三 45 … 撮影監督
黒井 徹 27 … 助監督
佐山 明 40 … 美術監督
秋山純子 42 … ヘアメイク担当
栗田 恵 35 … 衣装担当
林 和人 42 … ダビング担当
その他スタッフ・キャスト一同
金坂   45 … テキ屋
吉田   19 … 金坂の子分
東野 … 映画ファン・女・西川とペア
西川 … 映画ファン・男・東野とペア
北山 … 映画ファン・男・南原とペア
南原 … 映画ファン・女・北山とペア
四方 … 映画館の客
喫茶店「白樺」
の客たち
市民グループのメンバー

<ストーリー>
1962年、日本で映画人口が激減していた真っ最中、独立プロデューサー・小人富雄は絶対に当たらない映画を作ろうとしていた。
 なぜそんな真似をするのか。
製作費を集めるだけ集めて、できるだけ安く形ばかりの映画を作り、売れなかったからという言い訳を残して、余った金を持ってドロンしようという目論見なのだった。
ではどんな映画が当たらないか。「良心的」で暗くてうっとうしいものに限る、とあらん限りの手を尽くしてつまらない「良心作」を作ったところ、これがどういうわけか買い手がついてしまう。
しかも買い手は山本という名うての商売人だ。
何が狙いなのか、小人が探ったところ、山本はその「良心作」が予算不足でひどく美術その他がちゃちな上、描写が公式的でやたらと型にはまっているくせに考証的にでたらめなところに目をつけ、これは少し手を加えれば外国映画に出てくる変てこな日本や日本人そっくりになる、作り替えて外国人が日本の誤解して作った「国辱映画」として日本製であることを隠して売ろうとしていたのだった。
そうと知った小人もただ山本に儲けさせる気はない。
どうせ国辱映画として売るなら、初めからもっとそれらしく撮った方がいいと山本と交渉し、小人が責任をもって作り替えるのを条件に、より高く売りつけることに成功する。
それからインチキ日系人などの協力を得て、スポンサーの干渉その他数々の障害をくぐり抜け、この日本製「国辱映画」の作り直しは進む。
そして首尾よく、その国辱性を話題作りに生かし、あるいは実は日本製なのではないかという言い訳も巧みに噂として流して、「日本人とユダヤ人」の映画版とでもいうべき日本製「国辱映画」は何を間違えてかヒットしてしまうのだった。

1 メイン・タイトル(絵)
チビで短足で出っ歯でつり目で眼鏡をかけたサムライたち。
電卓を首にかけ、片手に車、片手にテレビを掲げている帝国軍人。
風呂屋のペンキ絵のようなタッチで描かれた富士山、人力車、芸者、桜、菊などの日本的な風物。
外国人が見た日本人のカリカチュアの、そのまたカリカチャア。
怪しげな日本趣味の音楽。
T「1962年 ’日本」

2 映画館・前線座
六階建てのビルの最上階にある。
すぐそばに階段。
正面には「ぼくは負けない」
といういかにも真面目で良心的な映画のポスターが、ガラスケースにしまわれて貼られている。
自衛官募集のポスターか生命保険のパンフレットのように、青空をバックに子供たちが空の彼方を指さしている絵柄だ。
「文部省選定」
とポスターの上に大書してある。
男の声「映画が完成したら、ここで上映します」

3 階段
がらんとして、下までずっと続いている。
男の声「入りのいい時だと、ここから下までずっと人が続くんです」

4 他のさまざまな映画館の写真
がテーブルの上に並べられる。
男の声「これらも同じ系列の映画館です」

5 ホテルの食堂
写真を出して見せ、しゃべっている男(小人富雄・41)。
反対側にはいかにも金持ち然とした男(田中勲・65)が座ってコーンパイプをふかしている。
机の隅には「小人プロダクション代 表取締役社長・小人富雄」
という名刺が置いてある。
田中の方は名刺など出していない。
小人「…以上です」
田中「条件がある」
小人「パーセンテージにご不満でも」
田中「これだ」
と、傍らの若い女を指し示す。
大平茜(21)、どこか遠くを見ているような目付き。
田中「これを、主役にしてほしい」
小人「失礼ですが、演技経験は」
田中「(大平に)芝居の経験だと」
大平「小学校の学芸会で、主役」
ぷつんと投げ出すように言って、あとすぐぼうっとしている。
小人「なんの役です」
大平「たぬき」
小人「(がっくりきかけるが、気を取り直して)いいでしょう」
田中「本当かね。
監督に聞かなくていいのか」
小人「その監督は私が選ぶんです」
田中、大平に合図する。
大平、テーブルの下から鞄を出して、上にどんと置く。
開けると、中には札束が詰まっている。
田中「持っていけ」
小人、立ち上がって、田中と握手する。
小人が鞄を取ろうとすると、 田中「これも」
と、大平を持って行かせようとする。
小人「そちらは、またあとで」
と、鞄をしっかりと持つ。

6 小人の事務所
狭い中、秘書の秋月令子(24)と客の清水道子(33)がくっつきあうようにしている。
秘書のスペースを別にとる余裕もないのだ。
机の上に、清水が札束を一つ置く。
小人「(怪訝な顔をして)…これは?」
清水「カンパです」
と、机の上の一冊の本を取る。
清水「これの映画化を進めていると聞きました」
「わたしは負けない」
というその表題。
表紙は青空をバックに江戸時代の女たちが空の彼方を指さしている絵柄 だ。
清水「いい本です」
小人「そうですね」
と、言いながら鞄を椅子のうしろに隠す。
清水「子供に読ませたいと思っています」
小人「そうですね」
清水「私も読みたいと思っています」
小人、調子が狂う。
小人「(態勢を立て直し)どこがいいと思います?」
清水「これは『全国よい本を親子で読む協議会』推薦です」
小人「はあ…」
清水「私もその委員なんですけどね。
今の人たちはいい本を読もうとしません。
このカンパを集めるのも苦労しました」
それまで傍らでなぜか疲れた顔をして座っていた秘書の秋月が急に(だめだめ)という具合に手を大きく振り出す。
小人「(秋月に)何やってんだ、疲れた顔して」
清水「(構わず話しだす)まずこの学区内の学校を全部まわりました…」
*   * 
小人、秋月そっくりの疲れた顔をしている。
清水「…こうしてこのお金をつくったのです」
小人「ありがとうございます」
清水「よくこういう話を取り上げられたと感心いたします」
小人「ありがとうございます」
清水「それから、この本を広めるために協議会がどう運動したかといいますと…」
小人、げっそりする。
×   ×
清水が帰ったあと。
秋月、逆さに立ててあったほうきを 戻す。
秋月「失礼ですけど」
小人「何」
秋月「ずいぶんあちこちからお金を集めたようですけど、こんな話で人が見に来ますかしら」
小人「どんな話なのかね」
秋月「(驚いて)…なんですって」
小人「(ごまかす)いや、気にしなくていい」
秋月「さっきあの人に話していましたが、上映劇場が決まっているからですか」
小人「そんなところだ。
あしたからスタッフと出演者の面接を始めるから手配してくれ」
秋月「はい」
秋月が仕事を始めると、小人は隠す ようにして、鞄から金庫に札束を移 す。
×   ×
花山修(24)が、面接を受けている。
昭和初期の文士のような暗い顔。
前髪をぱらりと前に垂らしている。
小人「(『わたしは負けない』を見せて)これを脚色してもらう人を探しているんだ」
花山「…僕も二年前までは純粋でしたから」
花山、ふっと垂れた前髪を横に振る。
(何を言っているんだろう)という顔の秋月。
小人「これ、読んだかね」
花山「所詮、今の日本はアメリカの文化的植民地にすぎませんから」
あくまでナルシスティックな態度。
全然人の言うことを聞いていない。
小人「『ぼくは負けない』の脚本を書いたのは君だよね」
花山「そうらしいですね」
小人「らしいってなんだい」
花山「監督にさんざん勝手に直されましたから」
小人「なるほど」
花山、ふっと前髪を横に振る。
小人、机の引き出しから金を出して机に置く。
小人「前金だ」
花山、立ち上がって前髪をかきあげる。
小人「持ってけよ」
と、言うより早く金は消えている。
×   ×
扶桑和人(30)が部屋に入ってきて一礼する。
と、部屋の隅に新しい仏壇ほどもある、角の丸いブラウン管のテレビの画面を秋月が調節しいいるのが目に入る。
今と違ってひどく写りは悪い。
ただでさえ狭い部屋がもっと狭くなっている。
扶桑「(急に不快そうに)あの、申し訳ありませんけれども」
秋月「お嫌い?」
扶桑「はい」
秋月、テレビを消し、ブラウン管の前にある小さなカーテン(映画館のミニチュアみたいな感じ)の紐をすっすと引っ張って閉める。
小人「(やっと)いいかね」
扶桑「すみません。
これ(テレビ)を見ると腹が立つもので」
と、席につく。
小人「置いておくと、景気がいいように見える」
扶桑「いいんですか」
小人、また金を机の上に投げ出す。
小人「演出を頼みたい」
×   ×
ドアがノックされる。
秋月「どうぞ」
ドアが開いて、団裕仁(32)が入ってくる。
ちょんまげを結い、刀をさしている。
机の上に投げ出される金。
×   ×
棒のようにつったっている赤沢陽一(30)。
小人「では、何か芸をやってみてくれ」
赤沢、発声練習を始める。
「あーえーいーおーうー」
といった奴だ。
机の上に投げ出される金。
秋月のけげんそうなようすが次第に強くなる。
×   ×
福田香子(21)、山崎秀子(22)、広瀬康子(24)の三人娘がついていないテレビの前のソファに座って待っている。
新しくソファが置かれたものだから一段と狭くなっている。
秋月「では、みなさんどうぞ」
どうぞというほど小人との距離はない。
三人、とまどう。
秋月「三人とも、どうぞ」
福田「三人一緒ですって」
山崎「馬鹿にしてる」
広瀬「主役じゃなさそうね」
×   ×
金が三等分される。

7 撮影所・全景 広大な敷地。

8 同・第6ステージ
丁度撮影中なのを見てまわる小人と所員。
所員「申し訳ありませんね、どこもふさがってまして」
小人「一週間でいいんですが」
所員「だったら、あと二週間でここが空きますが、短すぎはしませんか」
小人「空くんですね」
所員「ええ」
小人、ぐいと所員の手を取って金を握らせる。

9 同・スタッフルーム
さまざまな資料、調度が運び込まれ、体裁を整えていく。
せわしなく動く秋月。
×   ×
一段落つく。
部屋には秋月しかいない。
秋月、印刷された台本の束の封を切る。
「雨の吉原」
と表紙に印刷されている。
秋月「あれえっ?」
中を開けて見ると、スタッフ・キャストの名はすでに埋まっている。
秋月、台本を読み始める。
×   ×
秋月、読み終わる。
げっそりしたようす。
花山と同じように前髪がぱらりと垂れている。
小人が入ってくる。
秋月「すみません」
小人「何かね」
秋月「これ、決定稿ですよね」
小人「ああ」
秋月「なんか原作と全然違うみたいですが」
小人「ああ、結局あの話は使わなかった」
秋月「使わないって…いいんですか」
小人「あの前髪ぱらりがあんまり原作をいじるんで、結局別物にしたのさ」
秋月「なんか、ずいぶんじめついて暗くなった感じですが」

10 イメージ
青空をバックに江戸時代の女たちが空の彼方を指さしている絵柄が、すうっと曇天に、さらに雨空になる。
女たちは番傘に隠れてしまう。

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「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」

2005年08月22日 | 映画
元のマンガやテレビシリーズのことを知らないで見るのはムリ。何がなんだかさっぱりわからなかった。全然そういう客想定していないのだろうから、文句言われても困るこもしれないが、ものによっては知らなくても楽しめるようにできてるのあるぞ。
二つの世界を行き来するのに、どっちがどっちだかわからなかったりするのはこっちの予備知識不足のせいではないだろう。
隣の女の子二人連れが最初から最後まで喋りっぱなし。何度注意してもダメ。親の顔が見たい。



裁判員

2005年08月21日 | Weblog
裁判員制度についての携帯配信ドラマのシナリオの依頼を受ける。意外というか、何というか。依頼の台詞の中でもしょっちゅう「陪審員」と呼んでいたくらいで、およそ認知度の低い制度なのを啓蒙していこうという主旨らしい。これまで一般向け解説書は数冊しかなく、確かに啓蒙不足。このまま制度が発足したら、かえって司法が敬遠されるぞ。

調べてみると、資格のある(25歳以上の日本国民、衆議員に立候補できるのになぜか合わせている)人で、実際に裁判員になる確率は120分の1だという。高いのか、低いのか。



「エデンの東」全四巻

2005年08月20日 | Weblog
スタインベックの「エデンの東」四巻を読了。
映画になったのは四分の一程度とは聞いていたが、もっと少ない。まことに思いきった脚色。
もともとトラスク一家とハミルトン一家の二つの家のドラマのはずが前者だけになっている。実は後者の話はそれほど面白くないせいもある。

リーという中国人が重要な役で出てきて、ラストで倒れたアダム・トラスクを看取るのだが、映画ではばっさり完全に切られて、息子のキャル(ジェームス・ディーンね)の役に代えている。リーは聖書の研究をしていたりする老賢者風のキャラ。

兄弟の葛藤のドラマはニ代目のアダムとチャールズの時からで、兄弟両方に関係するとんでもない女キャシーがキャルとアロンの母親でもあり、息子たちの葛藤にも大きく関わってくることになる。
アダムが戦争を嫌い、息子たちを戦場に行かさないのは、自分が戦争に行っているからであることがわかる。
原作では、アロンの方の美貌を強調している。映画だとどう見てもディーンの方がいい男。
アロンという名前は、預言者モーゼの兄の名前からとられたもの。

なんでも、ロン・ハワード監督でリメーク映画化されるらしい。どんな風になるのだろう。
ブラッド・ピットが出演を希望して(ディーンの役か?)歳が合わないとあきらめたが、プロデュースにまわるとか、色々言われている。いずれにせよ、キャル=ディーンがメインになるのは避けられないだろう。

三越で豆入りサラダと鳥の唐揚ネギソースかけを買って夕食にする。
サラダは上にゴボウやレンコン、ゴマなどが混ざったもので、下がダイコン・ニンジンなどで他に豆が三種類とやたらと品目が多い。ドレッシングがついてくるが、これは下のサラダにだけかけてくれというややこしい注文。少しそれにしては、量多すぎ。残しておいて、レタスにでも使おう。

部屋着用のジャージ様パンツをユニクロで買う。二着で2000円。安っ。

通信販売で買った本がどっと10册以上送られてくる。図書館から借りている本も他にあるっていうのに、読めるのか。どうもインターネットだと調子こいて欲しいものを片端から注文していけない。



「ハービー 機械じかけのキューピッド」

2005年08月19日 | 映画
旧シリーズの「続・ラブバッグ」(75)しか見ていないが、30年、間があいてもディズニー印のファミリー・ピクチャーとしての印象はまるで変わらない。

普通リメークしようとすると、発達した特殊効果を見せびらかそうとするものだが、ほとんど30年前と変わらない印象。天下のILMが参加してるってのにね。
違うのは、本物のストックカー・レースをクライマックスに置いていることだが、フォルクスワーゲンが人格を持ってマンガチックな走りをする趣向を、ストレートなカーレースに持ち込むのにかなり手こずった印象。あまり奇想天外な走り方をするわけでもなく、あとカットを割り過ぎて、車が勝手にひょいひょい動いたのか、ドライバーがすごいテクニックを見せたのか、よくわからなくなっている。

リンジー・ローハンがそばかす丸出しで登場。ディズニー風に田舎臭くしているみたい。日本語吹き替えで見て、なんかたどたどしいなと思ったら土屋アンナがアテていた。
マット・ディロンが型通りの悪役をあまりに型通りにやっているのが、御愛嬌。
(☆☆☆)





ゴダール百まで踊り忘れず

2005年08月18日 | Weblog
選挙に備えてか、高校の先輩である某国会議員の後援会から案内が来た、と思ったら文面がどう見ても会員向け。俺、後援会に入った覚えないぞ。

籠みたいにスキマだらけの編み上げ靴をはいたら、涼しくて気分よし。冷房のきいたビルに入ると、足元がスースーする。

最近、何を思ってか哲学をちびちびとかじりだす。今まで丸っきり無関心だったのだが、かじってみると意外と面白い。
それにしても、サルトルの人気の凋落ぶりは驚くばかり。ちゃんと読み直したらどうなのかは知らないが、マルクスとタッグを組んでいたのがまずかったか。
それに比べるとゴダールはしぶとい。哲学じゃないけど、左翼の左に走って、あれだけ“一般大衆”を無視しまくって、それでもファンはついている。
この秋、新作が公開される。多分見るだろう。多分面白くないだろう。じゃあ、なんで見るかっていうと、百まで踊り忘れぬ雀の踊りを見に行く気分だから、といったところ。



「アイランド」

2005年08月17日 | 映画
これ、「2300年未来への旅」Logan's Runの換骨奪胎ですね。
汚染された世界の中に唯一人が生き残っているコミューンがあり、人々は“寿命”が定められていてそれを過ぎると“いいところ”に行けるという設定、その裏のからくりに気付いた男女の脱出行と追跡、ラストの解放と、プロットの基本は同じだ。
冒頭からのやたら真っ白に清潔に保たれた世界、というあたりから70年代SF映画みたいだな、と思っていたのだが、ふとプロットを比較して気がついた。
それに今風のクローン問題と、カーアクションを加えたという次第。

困るのは、換骨奪胎して成果があがるのは元の作品が良い場合で、いささか恥ずかしい日本題からもわかるようにモト自体が相当しょうもない。テレビシリーズにもなったくらいだから結構ウケたのかもしれないが、若者ばかりのコミューンの住人が、外の世界にいた老人を見て人間の命の価値とか尊厳を知るという安直なシロモノ。

安直さに関しては数段パワーアップしていて、臓器移植用にクローン人間を作るって、なんでそんなムダな経費を使うのか。必要な臓器だけ作る方がどう考えても安いし簡単で、しかも“人格”なんて余計な手間暇がかかるものを一緒に育てたものだから、工場をぶっ壊されるハメになる。ビジネスモデルとして、最低。
人間全体を作らないと臓器の成長も不十分という理屈がとってつけられているが、要するにヒーローヒロインとして動かすためには人格なしでは都合が悪いからというのに尽きるだろう。
マッドサイエンティスト風に所長が「人間」を作るのが夢だと語ったりするが、これまたとってつけたとしか言い様がないし、なんで人格が発現したのかの理屈づけもメチャクチャ。

だいたい人格形成にあたっての教育や経験や訓練を、まるっきりデジタル情報みたいにインストールできるものとして描くこと自体、ムチャ。
作り手が生命とか人格とか人間性について、およそマジメに考えていないのは明白。
アクションとロマンスをまぶすハリウッド式娯楽作の基礎である勧善懲悪の口実に使っているだけなのは当然として、こう基礎がガタピシしていてはねえ。退屈だけはあまりしないが。

で、アクションがいいかというと、特殊部隊出身のはずの追跡者が、クローンの主人公が本体の手首にタグをつけるのを見逃すなんて、信じがたいザツな演出。さらにそのタグがついているのを右左間違えていたのがまた見逃されるっていうのだから、白痴的。
車がばんばん壊れたりするのはゲームを実写化したみたいで、ハデにすればするほど、すぐ刺激にマヒしてしまう。「迫真的」なのと「魅力的」なのとは別なのだ。
さらにセックスに関する知識はおろか、そういう意識すら持ったことがない二人が、いきなり堂々とベッドシーンを始めてしまうのだから、頭がくらくらした。

イアン・マクレガーの役がスコットランド出身というのは、大しておもしろくない楽屋オチ。
6という番号がついているのは、まさか「プリズナーNO.6」に合わせたわけではあるまいな。
大勢の人間がずらりとワイアでぶら下げられているのは、「コーマ」(78)みたい。
(☆☆★)



アイランド - Amazon