戦場から戻ってこない恋人を待つ女性の話といったらメロドラマの王道みたいなものだが、この場合待つだけではなく恋人を捜して死んだとされる状況を徹底して調べる探偵役になっていて、半ばミステリ。そのはずで、宣伝には全然出なくて後で知ったのだが、原作はセバスチャン・ジャプリゾ(「長い日曜日」)。ただ、映像で見ると誰が誰だか一回で頭に入るというわけにいかず、しばしば混乱する。
オープニング、雨がびしょびしょ降る塹壕を移動する死刑判決を受けた兵士たち、という図を見てキューブリックの「突撃」を思い出したが、おそらくあれもここで描かれる第一次大戦に実際にあった、凄惨さで有名なヴェルダンの戦いをヒントにしているので、自然似てきたのだろう。
メロドラマ的な筋が通っている以外は、戦場や野戦病院ほかの凄惨な描写が大半を占める。監督の体質とするとそっちの方がやりたかったのかも。
凄惨な戦場と芳醇な野山と、映像的にはともに壮麗をきわめる。
ジョディ・フォスターにいやに似た人が出ているなあと思っていたら、御当人。ちゃんとフランス語で芝居していて(特技のはず)、特にタイトル上で特別扱いしているわけではない。ただし、エンドタイトルを見たらアシスタントはついていた。
(☆☆☆★★)
ロング・エンゲージメント - Amazon
オープニング、雨がびしょびしょ降る塹壕を移動する死刑判決を受けた兵士たち、という図を見てキューブリックの「突撃」を思い出したが、おそらくあれもここで描かれる第一次大戦に実際にあった、凄惨さで有名なヴェルダンの戦いをヒントにしているので、自然似てきたのだろう。
メロドラマ的な筋が通っている以外は、戦場や野戦病院ほかの凄惨な描写が大半を占める。監督の体質とするとそっちの方がやりたかったのかも。
凄惨な戦場と芳醇な野山と、映像的にはともに壮麗をきわめる。
ジョディ・フォスターにいやに似た人が出ているなあと思っていたら、御当人。ちゃんとフランス語で芝居していて(特技のはず)、特にタイトル上で特別扱いしているわけではない。ただし、エンドタイトルを見たらアシスタントはついていた。
(☆☆☆★★)
ロング・エンゲージメント - Amazon
2時間という長尺でものものしいテンポ、冒頭の下草がガサガサいう森の映像などタルコフスキーの「サクリファイス」みたいだなと思ったが、どうも空中に浮かぶ少女だの、トンネルの向こうに鉄扉がある造型(「ストーカー」の肉挽機)など、けっこうマジでタルコフスキーしてるのかも。色彩や光の使い方など大いに凝っている。
謎解き映画ではないにせよ、ちょっと?がつく結末。意味はわかるけど、こういう記憶をモチーフにした作品ではズルがしやすいので、ちょっと辛めに見たい。
試写会ではどういうミャクラクか、川島なお美がゲスト。映画に合わせて緑のイメージでコーディネートしたファッションで、記憶に関するクイズをやって優勝者にはワインをプレゼントという趣向。なんですか、コレ。
(☆☆☆★)
スパイダー・フォレスト - Amazon
謎解き映画ではないにせよ、ちょっと?がつく結末。意味はわかるけど、こういう記憶をモチーフにした作品ではズルがしやすいので、ちょっと辛めに見たい。
試写会ではどういうミャクラクか、川島なお美がゲスト。映画に合わせて緑のイメージでコーディネートしたファッションで、記憶に関するクイズをやって優勝者にはワインをプレゼントという趣向。なんですか、コレ。
(☆☆☆★)
スパイダー・フォレスト - Amazon
冒頭で水の中になぜか花が咲いているという設定で、同じ場面で水中と地上を混ぜ合わせた演技をできる設定にうまく持っていっているのが「ファインディング・ネモ」とはまた違ったマリンもの。
魚のヒレを手足みたいに見立てた演技の面白さ。なんでもないようにやっているけれど、どんな膨大な手間ひまがかかっているのか、見当もつかない。
ストーリーは、もう定石・定石で堅め、細かいヴェジタリアンのサメというナンセンスな設定で笑わせる。だけど、何を食べているのだろう、という疑問はいやでも持つ。
ハリセンボンがモデルの監督と顔だけでなく膨れたりしぼんだりといった落ち着かない感じまで、特に先日オスカーを逃しただけにそっくり。
アニメにスターの声をあてるというやり方は好きではないのだが、デニーロとのかけあいなどの楽屋落ちなどお楽しみ。
エンドタイトルの見せ方に工夫らしい工夫がないのは残念。
時節がら子供連れの客が多く、騒ぎはしないかと思ったらおとなしく見ていた。アメリカなら逆にみんなで騒ぐ映画なのだろうが。マナーが悪いのは、クライマックスが終わっただけでまだフィナーレが続く前に携帯のメールチェックをした大人の方。
(☆☆☆★★)
シャーク・テイル - Amazon
魚のヒレを手足みたいに見立てた演技の面白さ。なんでもないようにやっているけれど、どんな膨大な手間ひまがかかっているのか、見当もつかない。
ストーリーは、もう定石・定石で堅め、細かいヴェジタリアンのサメというナンセンスな設定で笑わせる。だけど、何を食べているのだろう、という疑問はいやでも持つ。
ハリセンボンがモデルの監督と顔だけでなく膨れたりしぼんだりといった落ち着かない感じまで、特に先日オスカーを逃しただけにそっくり。
アニメにスターの声をあてるというやり方は好きではないのだが、デニーロとのかけあいなどの楽屋落ちなどお楽しみ。
エンドタイトルの見せ方に工夫らしい工夫がないのは残念。
時節がら子供連れの客が多く、騒ぎはしないかと思ったらおとなしく見ていた。アメリカなら逆にみんなで騒ぐ映画なのだろうが。マナーが悪いのは、クライマックスが終わっただけでまだフィナーレが続く前に携帯のメールチェックをした大人の方。
(☆☆☆★★)
シャーク・テイル - Amazon
ほとんどアートシアター映画(「スローターハウス5」)並みに複雑に時制が交錯し、過去の場面に未来からの記憶を持ち込まれたり現実に幻想が入り込むのだから、ほとんど絶え間なく頭を使って最後まで息をつかずに見た。
猛烈に複雑なカット構成で、一見映像的だが、原作は「アイデンティティ」のマイケル・クーニー作の舞台劇。
なるほど、舞台の方がむしろこういう錯綜した表現は向いているだろう。
映像にするとどこに軸足を置いて見ていいのか、ちょっと戸惑うところがある。過去の情景に現在の主人公が入り込んで眺めているあたり、元は舞台の技法の翻訳だろうし。
とはいえ、こういう頭を使って見せる映画は全然内容知らなくて見た分、拾い物。
(☆☆☆★)
猛烈に複雑なカット構成で、一見映像的だが、原作は「アイデンティティ」のマイケル・クーニー作の舞台劇。
なるほど、舞台の方がむしろこういう錯綜した表現は向いているだろう。
映像にするとどこに軸足を置いて見ていいのか、ちょっと戸惑うところがある。過去の情景に現在の主人公が入り込んで眺めているあたり、元は舞台の技法の翻訳だろうし。
とはいえ、こういう頭を使って見せる映画は全然内容知らなくて見た分、拾い物。
(☆☆☆★)
このシリーズは、ちょっとマジになりすぎる傾向があるみたい。
ジャッキーらしい愛嬌があまりない。
だけど、当人は一番愛着があるというインタビューを読んだ記憶がある。マジメじゃないと、あれだけ動ける体は維持できないのだろうけど。
ニコラス・チェーのコート姿が「踊る大捜査線」そのまんまなのには、驚いた。
とはいえ、体の張り方は相変わらずすごい。
香港国際警察 NEW POLICE STORY - Amazon
ジャッキーらしい愛嬌があまりない。
だけど、当人は一番愛着があるというインタビューを読んだ記憶がある。マジメじゃないと、あれだけ動ける体は維持できないのだろうけど。
ニコラス・チェーのコート姿が「踊る大捜査線」そのまんまなのには、驚いた。
とはいえ、体の張り方は相変わらずすごい。
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「マークスの山」で凶器になるのはアイスハーケンだが、ロシア革命の時権力闘争に破れてキューバに亡命したトロツキーがスターリンの指令で暗殺された時の凶器がアイスピッケル。形はまるで違うが、冬山登山に使うものには違いない。同作は昔の左翼の内ゲバが事件の発端になっているわけで、とすると、マークスはマルクスにかけているのか?
マークスの山アミューズソフトエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
「切腹」で侍たちが歩く時、手を振らないでぐっと拳を握って歩いているのに感心。相撲と一緒で右手と右足を同時に出すか、動かさないかが武芸をやっている人間の習慣。右手と右足、左手と左足を同時に出す。いわゆるナンバ走りというのは日本以外ではアイヌくらいしか見られないらしい。
。伊福部昭・東京音楽大学学長のお話によると、エイゼンシュタインが「イワン雷帝」を撮った時、日本の歌舞伎を演技術にとりいれて、こんな動きがあるかとヨーロッパの批評家に言われたとか。
大河内伝次郎など昔の時代劇スターはなんば走りをしていることが多い。頭がぶれないので、顔がよく見えるという利点もある。
。伊福部昭・東京音楽大学学長のお話によると、エイゼンシュタインが「イワン雷帝」を撮った時、日本の歌舞伎を演技術にとりいれて、こんな動きがあるかとヨーロッパの批評家に言われたとか。
大河内伝次郎など昔の時代劇スターはなんば走りをしていることが多い。頭がぶれないので、顔がよく見えるという利点もある。
原題がTHE HUNT FOR THE BLOOD ORCHIDとあるように、不老不死の妙薬になる蘭を探して探検に出るという、よく考えてみるとものすごく古めかしい設定。
それが一応ちゃんと意味があって、なんであんなバカでかいアナコンダがぞろぞろいるんだ、という理屈づけになっているあたりが、B級といえども(と、いうか逆にB級だからよく見える)アメリカ映画らしいスジの通し方。
全然期待しないでみたら、けっこうイケるじゃない、という出来。ただし、まともに期待してはいけません。
何しろ、ボルネオが舞台。ボルネオは、アジアだろう。アナコンダがいるのは、南米。ひどいね、どうも。
CGバリバリではなくて見せ場をちびちび節約してつないでいる。セコくもあるが、今どきCG製のアナコンダを得意げに見せられても始まらないので、かえって新鮮。
軽薄な男が「ジョーズ」のテーマをふざけてハミングして女の子を脅かすシーンなんてのがあるのだが、その曲の権利がちゃんとエンド・タイトルに出る。うるさいなぁ、もう。
(☆☆☆)
それが一応ちゃんと意味があって、なんであんなバカでかいアナコンダがぞろぞろいるんだ、という理屈づけになっているあたりが、B級といえども(と、いうか逆にB級だからよく見える)アメリカ映画らしいスジの通し方。
全然期待しないでみたら、けっこうイケるじゃない、という出来。ただし、まともに期待してはいけません。
何しろ、ボルネオが舞台。ボルネオは、アジアだろう。アナコンダがいるのは、南米。ひどいね、どうも。
CGバリバリではなくて見せ場をちびちび節約してつないでいる。セコくもあるが、今どきCG製のアナコンダを得意げに見せられても始まらないので、かえって新鮮。
軽薄な男が「ジョーズ」のテーマをふざけてハミングして女の子を脅かすシーンなんてのがあるのだが、その曲の権利がちゃんとエンド・タイトルに出る。うるさいなぁ、もう。
(☆☆☆)