prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「エルピス ―希望 あるいは災い」

2023年06月16日 | 国内ドラマ
長澤まさみと眞栄田郷敦のふたりが代わりばんこに正義感にかられたり日和ったりする(ナレーションも交代する)、裏を返すと追求の手が結果として途切れないで続く。
どんな組織も一枚岩ではありえず良くも悪くも全体として動くというセリフがあるが、その現れだろう。

眞栄田郷敦が三浦透子に尻尾をつかまれ、あとになると眞栄田郷敦がその他大勢の女の子の尻尾をつかむ(あとでデキてるのがわかる)といった具合にそうとうアモラルな手を使っている。

長澤まさみが独断で逆転の一発を放ってから、テレビ局側が丸め込みにかかり、長澤もいつの間にか引きずられるあたり、スリリング。

レイプ犯が警察から手を回してもみ消してもらったというのは明らかに山口敬之が伊藤詩織を準強姦した事件をもとにしたもの。
永山瑛太はワンシーンだけの出演だけだが印象的。

勧善懲悪で終わらせないのはむしろ当然なのだが、今の政治状況からするとこれでもまだ甘いということになるだろうが、そうそう手を広げられないだろうとも思う。




「The Days」

2023年06月07日 | 国内ドラマ
原発がいったん制御できなくなったら、あらゆる努力や苦労が基本的に徒労と化し、暴走しなくなったのもそれこそ「なぜ」なのか不明のまま、制御できると思う方が間違っているのではないかと思えるほどで、思った時はすでに手遅れということになる。

官邸と東電と現場の間の齟齬を含めて、個人と個人の間の感情とは関係なく(役者たちはそれぞれ好演している)もっと大きなメカニズムの一部として捉えられている。
視点は基本的には引き気味な一方、細部には密着している(必ずしも正確ということではない)。

冒頭の地震と津波を除いてむしろタッチは淡々としており、その後にはひたすら後始末が続く。
いくつかある感動的なシーンも、すぐにダレてきてブレーキがかかる。
意地悪というより、悪意を超えている。

原発事故を扱ったドラマシリーズとすると「チェルノブイリ」があるのだが、あれは大きな軸として党幹部と実務派との対立がはっきりしており、ロシア製ではなく英語作品であって第三者的視点が入っていてメリハリが効いていた。
ここでは官邸、東電本店が半ば敵役だが良くも悪くも両義的で現場の悪戦苦闘とのコントラストでそう見える。

役所広司の無精ヒゲが伸びないあたり、どうハサミを入れてるのかなと思った。
2011年にはスマートフォンが出ていたはずだが、ガラケーが目立つ。




「カルテット」

2023年06月04日 | 国内ドラマ
坂元裕二がカンヌで脚本賞を受賞したので、見そびれていたこのシリーズを見ることにした。
連続ドラマを途中から見るのは気が進まないのだが、今では配信という手がありますからね。

初めから話を割らずにカラオケボックスで四人が出会うところから偶然ではないこと、松たか子の夫を初めのうちに顔を伏せておいて小出しに出してくる。
満島ひかりがもたいまさこに松たか子が犯罪に絡んでいると匂わせる物騒な依頼を受けるところから始まって二転三転する展開。

満島ひかりがテーブルの下で寝ているのが笑わせるのだが、それがその場で終わらないで伏線になっている。

鳥の唐揚げにレモンをかけるかどうかで高橋一生がもめて、あとで宮藤官九郎がイヤがっていたことがわかるあたり(宮藤は高橋とは会っていない)の人物設定のずらし方。

プロとしては四流だなど言われながらバイトしたりしている中途半端なところにある(あれで四流なのかな、と思わないでもないが)。
酷い匿名の中傷の手紙を受け取るのだが、空き缶を投げ込んでくるところも含めて姿を見せない悪意とそれと裏腹に手紙の主自身が自分に嫌悪感を持っているのではないか、と思わせる。

松田龍平がマジメでゴミ出しに厳格なのがなんだか可笑しい。

カルテットとはいっても四角関係にはならない。喋り方が微妙に他人行儀で、それでいて恋人未満、夫婦未満、家族未満になっている。



「サンクチュアリ 聖域」

2023年05月30日 | 国内ドラマ
角界で主人公が行儀が悪いのはマンガの「のたり松太郎」「ああ播磨灘」といった先例があるけれど、先輩の力士から親方衆から親から記者からタニマチに至るまで何かしらの負の要素を抱えているのは珍しい。

余貴美子が咥えているタバコの灰がぽろっと落ちるのが、ふだん電子タバコを吸っているだけに生きる。
主人公のライバルの静内が使う技でとっくり投げというのが出てくるのが珍しい。
寺本莉緒のホステスの一切の説明抜きで悪いのかどうか微妙な感情表現など見事なもの。
最終の二話で「ロッキー」ばりに根性が入る。

現役の力士をピエール瀧が合成で描いているのが可笑しい。




「全裸監督」

2020年04月05日 | 国内ドラマ
偶然なのだが、原作の本橋 信宏によるルポルタージュは出版されてから間もなく読んでいて、特に村西という男の破天荒なキャラクターが面白いけれど、ドラマか映画になるとは思っていなかった。

内容が膨大なのと初期AV業界の裏側を描くのだから際どい描写も当然出てくるわけで、映画にもテレビドラマにもはまらない、それをNetfixの配信ドラマという形で共にクリアしたのはこちらの固定観念を快く覆された。

堂々とピエール瀧がかなり大きな役で長いこと出ているのが爽快。シーズン2にも出るらしい。
リリー・フランキーの刑事(!実にいかがわしい)とツーショットという「凶悪」コンビの再現シーンもあり。

「ナイスですね」をはじめ、変な英語混じりの喋りはトニー谷(おそ松くんのイヤミのモデル)みたいでもあり、日本人のアメリカコンプレックスを巧まずして出した。ちょっと羽振りが良くなるとハワイでAVを撮るという発想ともつながってくるのだろう。
ハワイで撮ったAVに出演した外人女優にあなたの撮っているのはあなたのマスターベーションだと批判する視点が入る。

出演にあたって女優の合意を得ているのかどうかという問題がちょっとだが入っている。このあたりはAV業界で最近問題化したのを取り入れたのだろう。黒木香が親に逆らって自分の意志で業界に入ってくるのがひとつの芯になる。

ビデ倫を老舗のビニ本兼AVのメーカー社長(石橋凌)が発足させるあたり、映倫のトップをピンク映画出身の爺さまが占めていたりする皮肉と通じる。

よく考えてみると、実際に村西のAV見ているわけではないし、バブルの熱狂というのを実感したことなどないのだが、奇妙な既視感がある。というか、イメージとしてのバブルを再現したわけで、電話ボックスにびつしり貼られたピンクチラシなど、いかにもあの時代の感じを出している。

古い映画人が俺たちは映画を撮ってるんだと変な上から目線でクソ威張るのを追い出すあたりは爽快。映画出身の作り手たちとすると自戒のつもりもあるか。

村西と女性を含むスタッフたちが中華テーブルを囲んでいるのが円卓みたいな感じでみんな平等というニュアンスを出した。

村西の本拠地になるガレージみたいな場所、良く見ると上に行き交う人々の足が見えたりする。パラサイトに先んじて半地下なのね。

シーズン1は上昇のドラマだから割とカタルシスに結びつけやすかったと思うが、シーズン2は当然調子に乗りすぎてべらぼうな借金を背負う話になる。どう処理するか、見もの。




「恐怖劇場アンバランス 木乃伊の恋」

2015年12月20日 | 国内ドラマ
鈴木清順が劇場用映画を撮れないでいた時期にテレビで撮った怪作。

死んでも死なない男の話を、雨月物語風の説話形式で描くのと現代の話と二重にだぶるようにして描いている。これだけでも「ツィゴイネルワイゼン」をすぐに想起させるし、実際脚本は同作の田中陽造。
素っ頓狂というか時空を断ち切り普通つながらないようなカットを平気でつなげてしまう清順演出はテレビでもまったく変わらない。

いったい入定して悟ったはずの男がいっこうに悟れず現世でうろうろし続けるというあたりが可笑しいしもっともらしい。演じるのが大和屋竺。「ルパン三世」ファースト・シーズンの脚本家であり、「荒野のダッチワイフ」「毛の生えた拳銃」の監督であり、清順の「殺しの烙印」ではハンカチで自分の顔を覆って死んでいく殺し屋を演じた怪人。
ここでの出演の奇怪さは特筆もの。
ホスト(「世にも奇妙な物語」)役が青島幸雄というのは驚いた。
タイトルデザイン(炎に猫のシルエット)は「ウルトラセブン」にちょっと似ている。

DVD恐怖劇場アンバランス Vol.1
クリエーター情報なし
ビクターエンタテインメント

「香港明星迷」

2015年12月08日 | 国内ドラマ
山田太一作、テレビ東京製作。タイトルの中の明星はスター、迷はファンのこと。

2002年製作とあって、日本女性がアジアスターの追っかけをやるにしても香港のイーキン・チェン(本人役で出演)が相手、ということになる。もっと後なら韓流スターになるのだろう。

もっともスターの追っかけのドラマかというとそうでもなくて、接点がありそうにないまるでタイプが違う薬師丸ひろ子、室井滋、山本未來という三人の女性たちが知り合うきっかけにすぎず、本筋のドラマは国内で完結している。
もっともこういう会いそうにない組み合わせを実現するのがドラマであり、そういう出会いが大事であることも確か。

外資系の企業に勤めている薬師丸ひろ子が本社の方針とは別に独自の路線をとろうとしてあさりクビになるあたり、今の方がもっとありそうな話。上役が岡田真澄、恋人?役がブレイク前の堺雅人。

香港明星迷 - テレビドラマデータベース



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「ナイフの行方」

2015年06月16日 | 国内ドラマ
ナイフで無差別に人を襲いかけていた若者を取り押さえた元警官が、若者を警察に突き出さず自分の家に軟禁するというありえそうにないが不思議に刺激的なフィクション性を生かしたドラマ。

松本幸四郎と松坂慶子が昔一緒に見に行ったのがミュージカル「ヘアー」というのがおもしろいセレクション。反体制運動との関わりがあることがわかる。

ナイフを振り回す青年の深層にはあまり迫ろうとしない。というか、迫っても案外つまらないものではないかと思わせる。山田太一作だから「心の闇」なんて空疎なマスコミ用語を埋めようとはしていないのは当然だろう。

クライマックスで海外の凄惨な体験を長台詞で処理する場面、アメリカ産の「LAW & ORDER」あたりだと台詞だけの描写にすごい重量感が出るのだけれど、日本でやるとなんか軽くなる。芝居の巧拙だけの問題ではない気がする。

エンドタイトルに石田徹也の作品(消防士を描いた無題の作品)が使われているのが印象的。

ナイフの行方 - テレビドラマデータベース



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キー局 NHK GTV 放送曜日 月~火 放送期間 2014/12/22~2014/12/23
放送時間 22:00-23:15 放送回数 2 回 連続/単発 単発
番組名 特集ドラマ
主な出演 松本幸四郎(1)(2)、今井  翼(1)(2)、津川 雅彦(1)(2)、松坂 慶子(1)(2)、相武 紗季(1)(2)、玉野 るな(1)(2)、石橋  凌(1)(2)、久保 酎吉(1)、久下 恵美(1)、阿部百合子(1)、青木 和代(1)、原田 裕章(1)、野添 義弘(2)、久世七曜会(1)(2)、クロキプロ(1)(2)、劇団ひまわり(1)(2)、(擬斗:久世  浩(1))(医事指導:山本 昌督(1)(2))
主な脚本 (作:山田 太一(1)(2))
主なプロデューサ 大越 大士、
主な演出 吉村 芳之(1)(2)、(記録:石川真紀子(編集も))
局系列 NHK
制作会社 (制作著作:Shin企画、NHK)(制作:NHKエンタープライズ)
制作 (制作統括:近藤  晋、海辺  潔、遠藤 理史)
音楽 住友 紀人、(音響効果:下城 義行(1)、矢崎 裕行(クレジット表示では「崎」は「たつさき(立崎)」))
撮影技術 宮田  伸、(照明:吉澤 一生)(音声:国沢 藤一)(映像技術:富澤 信義)(編集:石川真紀子(記録も))
美術 川口 直次、(タイトル:(絵画:石田 徹也)(資料提供:静岡県立美術館))

「昭和怪盗傳」

2015年05月20日 | 国内ドラマ
このドラマの制作は説教強盗が出没していた頃から約50年後の1977年で、古い家などにロケして時代色を出す一方で新宿西口の高層ビル群に説教強盗が現れカメラに向かって直接語りかけるという形で時代を超えた官憲やお偉方の権威主義や偽善性を批判しているあたりは戯作者の本気が見られる。

このドラマが作られてからまた40年近く経っているわけで、浅草六区の映画館街など今ではなくなった風景が見られる。
タイトルでわざわざ「せうわくわいたうでん」とルビを振っているレトロ感の凝りよう。
わざわざ内務省の検閲による○○○とか×××とかやっていたのを取り入れているのもギャグっぽくやっているけれど、みんな50年後さらには90年後の今につながっている。

だいたい、このドラマ自体2時間ドラマの創世記でまだ1時間半枠で試しに長めの単発ドラマを作り出した頃の一編。これとか同じ岡本喜八監督の「幽霊列車」が成功したので2時間ドラマ枠に進んだといっていいだろう。

誤認逮捕してから田中邦衛の刑事が「指紋がぜんぜん違うんです」と言うのが笑いごとではないのだが笑ってしまう。
誤認逮捕された友人を見捨てられずに自主するあたりは「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャンみたい。

昭和怪盗傳(昭和怪盗伝) せうわくわいたうでん

昭和に入って間もない頃、東京に横行した奇妙な強盗、説教強盗の悲哀を描く異色コメディー。
キー局 ANB 放送曜日 土 放送期間 1977/11/19
放送時間 21:00-22:24 放送回数 1 回 単発
番組名 土曜ワイド劇場

主な出演 仲代 達矢、田中 邦衛、岸田今日子、神崎  愛、横森  久、大木 正司、小川 真司、松本 克平、嵯峨 善兵(嵯峨 喜兵)、佐伯 赫哉、早川 純一、加太こうじ、松田 春翠(特別出演)、成瀬 昌彦、阿部百合子、遠藤  剛、檜 よしえ、青山 眉子、森田川利一、川本 高大、鈴木  朗、水野 悟郎、河津さえ子、後藤  緑、井上 憲子、有田美和子、中山 広通、張  明男、姿 鉄太郎、小山 友成、栗又  厚

脚本 廣澤  榮(広沢  栄)
監督  岡本 喜八
原作 加太こうじ
音楽 佐藤  勝

局系列 ANN
制作会社 大映映画、俳優座映画放送、ANB

「春の惑星」

2015年02月03日 | 国内ドラマ
山田太一作、緒形拳、ともさかりえ、いしだ壱成、中井貴一、倍賞美津子、手塚理美出演。1999年放映。

ともさかりえが新卒で会社の面接に行き、そこで面接官を務める緒形拳に今だったらパワハラ、セクハラそのまんまの質問を受けて憤慨し、同棲中のいしだになんとかいろと訴えるところから話が入っていくのが時代が出てます。
しかし、会社に入ってからだったら訴えようもあるのだろうが、入る前だったら今でもハラスメントはどんなものだろうか。

かつては社内で威勢良く肩で風きっていたの緒形拳が落ち目になって、それだけにひねくれて権柄づくになっているのをだんだんわからせていく語り口が毎度のことながら巧み。しかもいざバックがなくなってみると仕事の仕方も驚くくらい甘いのがわかるのが、鋭いところ。

音楽が「エスクアロ」などアストル・ピアソラの曲を使っている。ちょうどヨーヨー・マによるピアソラの「リベルタンゴ」カバーがサントリーのTVCMに使われて、ピアソラがポピュラーになってきた時期ということになるだろう。

登場人物全員が集まってピクニック風になるのが山田太一のドラマのひとつの終わらせ方で、ここでも全員集合するのだが、窓の外でヒッチコックの「鳥」みたいに不気味に烏が集まっているのを大声を出して追い払う、という異様な結びになっているのが、何か予感的。



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春の惑星 - ドラマデータベース

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「霧の旗」(2014 堀北真希版)

2015年01月11日 | 国内ドラマ
ヒロインの冤罪をかけられる兄が知的障碍者というのが脚色の新工夫で、ある程度気のきく弁護士だったら善悪の判断がつくかで争うと思うのだが、それがあっさり認められて有罪になってしまうあたり、障碍者に対する無理解ひとつだけでドラマが出切るのをはしょってしまった感じはある。
妹が働きながら足りない分は生活保護を受けているのにナマポの不正受給しているかのような目で見られるのも今風。

弁護士が冤罪事件を解決したのを見てヒロインが依頼しに来るのだが、結局正義感より勝てる裁判だから引き受けていたというあたりも、人権派といっても単純な正義漢・弱者の味方ではないという事実を押さえていて、それだけにこれまたもっと突っ込んでほしいと欲を言いたくなる。

山口百恵版ではヒロインに協力する新聞記者に三浦友和を配してのが工夫だったのだが、今回それにあたる役をやっているのがなんと高橋克実。

倍賞千恵子をキャスティングした時にもっと小悪魔的な女優の方がよくないかと言われたのに対して、監督の山田洋次は小悪魔的でない女性がやるから意味があるのだと反論したそうで、今回のもその線に沿ってはいるが、一種の悪役は映画の「白夜行」でもやっているのだし、意外性は必ずしもない。

しかしこの話、何度見ても逆恨み、というか恨む相手違うだろうと思う。ただ、大岡昇平は松本清張を「ひがみ根性の文学」と評したがそういう歪み方に清張の人気があるとも思える。
昔の貧乏人と金持ちの関係とは変わっているが、今の貧困あるいは社会的弱者のあり方がまたややこしくなっている感あり。

堀北真希が水商売をしているセクシーな扮装が宣伝に使われていた、というかメディアが勝手に変な盛り上がり方していたが、あれだけ綺麗で素人っぽいホステスしたら売れるなんてものではないだろうな。

改めて見てみると、ずいぶんこの原作ドラマ化されているのにびっくり。ヒロインだけ並べてみると、広瀬みさ、栗原小巻、植木まり子、大竹しのぶ、安田成美、若村麻由美、星野真理、相武紗季といったところ。

霧の旗(2014)- テレビドラマデータベース



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バリバラ特集 ドラマ“悪夢”

2014年12月21日 | 国内ドラマ
手記「統合失調症がやってきた」を著した自身統合失調症のハウス加賀谷が主演するドラマ。
大駱駝艦が演じる白塗りの男たちが、子供たちの背後からぬっと現れたり、すりガラスの向こうで蠢いていたりと神出鬼没に現れる幻覚表現の、特に思いがけないところから現れる怖さというのは、こういう障碍者を扱ったドラマをつかまえて言うのはなんだが、Jホラー表現そのもの。というか、悪夢的な恐怖表現を狙うと自然にそうなるのかもしれない。

本物の障碍者たちが集まるクラブなど、昔だったら石井輝夫的(「恐怖奇形人間」はまさに土方巽主演だった)な見世物として扱われかねないシーンだが、考えてみると画そのものは実はそれほど変わっておらず、見世物映画として見られるかNHKの番組として見られるか、社会的文脈によって見え方が変わってくるということだろう。
「恐怖奇形人間」など日本ではDVDが発売されずアメリカからの逆輸入盤だけなのだから。

このドラマに関連したトーク番組で、障害が消えるか記憶が消えるかという果実は、実際の障碍者施設で行われているアンケートをヒントにしていると語られ、それに対する答えも障碍者によってというか、人によってバラバラで、また人によっても時期によって変わってくるともいう。かなり自己肯定感との兼ね合いで答えが決まってくるように思われ、そのあたりはやはり人間一般にいえることだろう。

チャンネル [Eテレ]
2014年12月10日(水) 午前0:00~午前0:55(55分)
ジャンル 福祉>障害者
情報/ワイドショー>健康・医療
ドラマ>国内ドラマ
番組内容バリバラが障害者週間に送る特集ドラマ。幻覚に苦しむ統合失調症の男が、障害のある人たちとの交流を通じ、自分を受け入れていくハートフルコメディー【主演】ハウス加賀谷
出演者ほか【出演】松本ハウス,カンニング竹山,桂福点,片山真理,【朗読】杉田かおる
詳細バリバラが障害者週間に送る特集ドラマ。幻覚に苦しみ就職できない統合失調症の男が、さまざまな障害者との交流を通じ、自分自身を受け入れていくハートフルコメディー。主演は、自身も統合失調症であるハウス加賀谷。その他40人のもの障害者が自身の障害の役で出演。ドラマには、障害が消えるが、記憶も消えるという果実が登場。食べるべきか、食べざるべきか。悩んだ末に主人公が選んだのは…?【主演】ハウス加賀谷

「旅の途中で」

2014年11月15日 | 国内ドラマ
山田太一作の2003年作。
考えてみると、金で人の女房を借してくれと言いだす山本学も、奥田瑛二の世にもいい加減な髪結いの亭主(自分も理髪師ではあるのだが、印象として)もせっかくだからと隠れて金を受け取っているあたり、男のセコさとリアリティが出た。
なぜ山本が竹下恵子に一日つきあってくれなどと言い出すのか、ずいぶん教養があるみたいなのにどういうつもりかといった謎でストーリーを展開していって、10年あまり前より今の方が切実なモチーフが見えてくる。このあたりのストーリーテリングは冴えているが、今だったら逆にラストか話を起こしてしまいそう。

以下、テレビドラマデータベースより
2003年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞作品。不景気のため人影のめっきり少なくなった愛知県豊橋市の商店街にある理髪店『バーバー春日』は、近所の美容院のせいで閑古鳥が鳴いていた。この店を夫婦で切り盛りする春日直也(奥田瑛二)と良子(竹下景子)は、高校1年生の一人息子・俊也(金井勇太)と3人で暮らしていた。ある午後、良子は、何かにつけ店を抜け出してスナック『ナポリ』のママ・麻美(金久美子)のところへ入り浸っている直也と喧嘩になる。店を飛び出し、フルーツパーラーで休んでいると、知性の感じられる初老の男・岩上始(山本學)が声をかけてくる。鎌倉から旅行に来たという始は別れ際、突然、良子に「なんて綺麗なんだ」と言う。翌々日、店に始が現れ、直也に「一日、奥さんを100万円で貸してもらいたい」「一緒に歩くだけでいい」と言い出す。いちおう断ったものの金に未練たっぷりの直也の態度から、夫婦はまた喧嘩をしだした。謝って店を出て行く始。何か気になるものを感じた良子は、金抜きならデートすると言ってしまう。翌朝パーラーで待ち合わせた後、楽しい時間を過ごすが…。
【以上、文・練馬大根役者】

ロケ協力・伊良湖ガーデンホテル、伊良湖ビューホテル、ファッションセンターしまむら、MARUEI豊橋、豊橋ステーションビル、西武百貨店豊橋店、精文館書店、豊鉄タクシー、蒲郡駅前本通り発展会、吉倉理容館。理容指導・下里 之夫(下里理容店)。データ記載の放送枠は東海地区のもの。関東、関西地区の放送枠は、同じ日の土曜14:00~15:24。
キー局 CBC 放送曜日 土 放送期間 2002/10/26~2002/10/26
放送時間 14:00-15:21 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 平成14年度芸術祭参加作品 山田太一スペシャル2002
主な出演 竹下 景子、奥田 瑛二、山本  學(山本  学)、金井 勇太、森 絵梨佳、金 久美子、大島 久枝、伊沢  勉、巣山プロ、ともだち、全映、N・A・C、劇団タハラジャ、(豊橋ことば指導・伊沢  勉、伊藤 亜季)
主な脚本 (作・山田 太一)
主なプロデューサ 山本 恵三、冨永 晃一、(プロデュース補・松井 智人)(番宣・横地 晶子、重松 和世)
主な演出 山本 恵三、(演出補・佐藤 和成、青山 貴洋)(記録・阪野亜矢子)
原作 (詩・平田 俊子「あいさつは大事」「ひ・と・び・と」)
局系列 JNN
制作会社 CBC
制作協力 名古屋東通企画、第一舞台、若尾綜合舞台、エヌティービー
制作 (制作進行・田中 靖浩)(制作デスク・廣瀬 幸江)
音楽 矢野 立美、(音響効果・高野 浩夫(ビズ))(MA・樋渡 和祐(東海ビデオシステム))
撮影技術 柘植 昌紀、中村 寛志、長崎 康弘、(技術・伊藤 義之)(調整・後藤 稔彦)(音声・伊藤 敏明、渋谷  昇)(照明・中濱  守)(編集・藤田 憲史(東海ビデオシステム))
美術 三木 和彦、(衣裳・山崎  武(東京衣裳)、林  洋子)(化粧・竹市 直美(ストロベリーキッズ)、倉本 〆子(ストロベリーキッズ))

「天才脚本家 梶原金八」

2014年04月14日 | 国内ドラマ
時代劇専門チャンネル製作のオリジナル・ドラマ。
昭和初期に共同ペンネーム・梶原金八を使った京都の八人の若い映画人たちの群像劇で、志を一にする青年たちが集まってもっぱら好きなジャンルへの愛情と互いの友情で嫉妬や反発なしに結ばれている情景は、まんが創成期のトキワ荘みたいな感じもある。
一時間枠なのでアウトラインを描くのに絞って、女性の登場人物は庶民代表といった感じの下働きの女の子だけ、色恋抜きなのですっきりしている。

ほとんど八人の青年が集まってわいわいやっているシーンで構成されていて、当時の風俗を限られた範囲内ながらかなり力を入れて再現している。京都組協力とあるけれど、いまさらだけれど日本映画は大雑把に京都と東京で別々に発達したのがわかり、上方の意地を見せている感もある。

「天才脚本家」といいながら、メンバーは当時もその後の進路も監督やプロデューサーなどごっちゃになっていて、はっきりした分業制になっていない。劇団みたいな感じで、本質的に共同作業の上にしか成り立たない映画というメディアで作家性とか著作権とか限られたところにだけ認めるというのはどんなものなのだろうと思わせる。

しかし、この頃の映画人って集まっては呑んでばっかりいますな。

山中貞雄の戦病死の報を聞いたところで、はっきり死んだとはセリフで聞かせず、近くにいた子供が落とした紙風船がころころと転がるので表現している。知っているのを前提にした表現と思える。

製作 時代劇専門チャンネル
脚本 松下隆一 
撮影 金原美穂 照明 清水克彦 録音 本所伸啓 美術 伊藤祐太 安田幸二 編集 山本浩史
監督 宇喜田尚
主演 ヨーロッパ企画(劇団)

天才脚本家 梶原金八 - 時代劇専門チャンネル



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「ダブルフェイス 潜入捜査編・偽装警察編」

2014年04月11日 | 国内ドラマ
香港映画「インファナル・アフェア」の日本版リメーク。
トニー・レオンにあたる暴力団に潜入した警官が西島秀俊、アンディ・ラウにあたる警察に潜入した暴力団員が香川照之。ちなみにハリウッド・リメイクではレオナルド・ディカプリオとマット・デイモン。香港オリジナルがオリジナルであることによって一番ではあるけれど、ではまったく代替不可かというとそんなことはないので、基本的な発想が黒澤映画のように単純明快でだから変奏可能ということになるだろう。それぞれ男っぷりの良さを競うことになるが、並べると香川照之だけ二枚目ではない。
二人の男が互いに鏡像のような関係になるのだが、ナルシズムより「龍馬伝」以来の歪んだ嫉妬の感じの方が強くなった。

今回は洋画風に格好つけた演出なのだが、映画館で秘密の話をする、とか、警察と暴力団が街中で銃撃戦を繰り広げるというのはどうにも不自然で困った。
もともとナルシズムと泥臭さとがせめぎあうのがおもしろいところで、その配分がそれぞれ違う。

全体に男ふたりの一種の様式美で見せるので、女の出番が弱くなるのはいたしかたない。



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ダブルフェイス ~潜入捜査編・偽装警察編~ [DVD]
クリエーター情報なし
ワーナー・ホーム・ビデオ