山田太一作の2003年作。
考えてみると、金で人の女房を借してくれと言いだす山本学も、奥田瑛二の世にもいい加減な髪結いの亭主(自分も理髪師ではあるのだが、印象として)もせっかくだからと隠れて金を受け取っているあたり、男のセコさとリアリティが出た。
なぜ山本が竹下恵子に一日つきあってくれなどと言い出すのか、ずいぶん教養があるみたいなのにどういうつもりかといった謎でストーリーを展開していって、10年あまり前より今の方が切実なモチーフが見えてくる。このあたりのストーリーテリングは冴えているが、今だったら逆にラストか話を起こしてしまいそう。
以下、
テレビドラマデータベースより
2003年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞作品。不景気のため人影のめっきり少なくなった愛知県豊橋市の商店街にある理髪店『バーバー春日』は、近所の美容院のせいで閑古鳥が鳴いていた。この店を夫婦で切り盛りする春日直也(奥田瑛二)と良子(竹下景子)は、高校1年生の一人息子・俊也(金井勇太)と3人で暮らしていた。ある午後、良子は、何かにつけ店を抜け出してスナック『ナポリ』のママ・麻美(金久美子)のところへ入り浸っている直也と喧嘩になる。店を飛び出し、フルーツパーラーで休んでいると、知性の感じられる初老の男・岩上始(山本學)が声をかけてくる。鎌倉から旅行に来たという始は別れ際、突然、良子に「なんて綺麗なんだ」と言う。翌々日、店に始が現れ、直也に「一日、奥さんを100万円で貸してもらいたい」「一緒に歩くだけでいい」と言い出す。いちおう断ったものの金に未練たっぷりの直也の態度から、夫婦はまた喧嘩をしだした。謝って店を出て行く始。何か気になるものを感じた良子は、金抜きならデートすると言ってしまう。翌朝パーラーで待ち合わせた後、楽しい時間を過ごすが…。
【以上、文・練馬大根役者】
ロケ協力・伊良湖ガーデンホテル、伊良湖ビューホテル、ファッションセンターしまむら、MARUEI豊橋、豊橋ステーションビル、西武百貨店豊橋店、精文館書店、豊鉄タクシー、蒲郡駅前本通り発展会、吉倉理容館。理容指導・下里 之夫(下里理容店)。データ記載の放送枠は東海地区のもの。関東、関西地区の放送枠は、同じ日の土曜14:00~15:24。
キー局 CBC 放送曜日 土 放送期間 2002/10/26~2002/10/26
放送時間 14:00-15:21 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 平成14年度芸術祭参加作品 山田太一スペシャル2002
主な出演 竹下 景子、奥田 瑛二、山本 學(山本 学)、金井 勇太、森 絵梨佳、金 久美子、大島 久枝、伊沢 勉、巣山プロ、ともだち、全映、N・A・C、劇団タハラジャ、(豊橋ことば指導・伊沢 勉、伊藤 亜季)
主な脚本 (作・山田 太一)
主なプロデューサ 山本 恵三、冨永 晃一、(プロデュース補・松井 智人)(番宣・横地 晶子、重松 和世)
主な演出 山本 恵三、(演出補・佐藤 和成、青山 貴洋)(記録・阪野亜矢子)
原作 (詩・平田 俊子「あいさつは大事」「ひ・と・び・と」)
局系列 JNN
制作会社 CBC
制作協力 名古屋東通企画、第一舞台、若尾綜合舞台、エヌティービー
制作 (制作進行・田中 靖浩)(制作デスク・廣瀬 幸江)
音楽 矢野 立美、(音響効果・高野 浩夫(ビズ))(MA・樋渡 和祐(東海ビデオシステム))
撮影技術 柘植 昌紀、中村 寛志、長崎 康弘、(技術・伊藤 義之)(調整・後藤 稔彦)(音声・伊藤 敏明、渋谷 昇)(照明・中濱 守)(編集・藤田 憲史(東海ビデオシステム))
美術 三木 和彦、(衣裳・山崎 武(東京衣裳)、林 洋子)(化粧・竹市 直美(ストロベリーキッズ)、倉本 〆子(ストロベリーキッズ))