先月MAKIKYUが福島県会津地方へ足を運んだ際には、会津盆地内の鉄道や路線バスの指定区間が2日間乗り放題で2600円、このエリアのJRを除く交通機関の普通運賃が割高な事を考慮すると、使い方次第ではかなりお得な「会津ぐるっとカード」を利用したものでした。
その際には会津ぐるっとカードのエリア内だけでなく、別途乗車券を購入して喜多方から少しエリアを外れ、野沢まで足を伸ばしたものでした。
野沢は駅前に会津乗合自動車(会津バス)の野沢営業所もあり、JR(磐越西線)の運転本数も限られている土地柄、発着するバスは各系統合わせても決して多いとは言い難いのですが、現在では一般路線は全て廃止されて西会津町民バスに転換され、この町民バスを会津バスが受託運行する形態となっています。
西会津町民バスは現在、定時路線と地方閑散路線で近年増えているデマンドバス(予約制)の2種類が存在しており、前者は「Let's Go シャトル」、後者は「こゆりちゃん号」という愛称が付けられています。
共に会津地方一帯の乗合バスで実績のある会津バスが運行を担うとはいえ、自治体バスで良く見られる「白ナンバー」(自家用扱い)のバスとなっており、デマンドバスの方はこの類の路線で典型的なワゴン車を充当していますが、定時路線ではマイクロバス(三菱ローザ)以外に中型バスも用いており、MAKIKYUはこの中型バスに乗車したものでした。
中型バスは比較的新しいいすゞガーラミオのトップドア車で、一般路線ではバリアフリー法の関係で低床中扉付きとなる年式ですが、比較的新しい車両ながらもトップドアの2段ステップ車となっている辺りは、如何にも白ナンバーの自治体バスらしいと言えます。
この車両は一応いすゞ車の扱いとはいえ、実質的には日野メルファのOEM車で、最近の日野中型車でいすゞのOEM車(レインボーⅡ)は乗り慣れた存在であるものの、メルファ自体が路線バスとして活躍する事例が少なく、MAKIKYUが乗車したのは青森県の外ヶ浜町営バス程度です。
更にそのOEM車ともなると、路線バスで使用している事例はもっと少なく、MAKIKYUが日野メルファOEM車のガーラミオに乗車したのは、今回の西会津町民バスが初めてと言う状況です。
西会津町民バスでガーラミオは、専ら野沢坂下線(野沢営業所~坂下(Bange)営業所)間の路線で用いられている様で、MAKIKYUもこの路線で乗車したのですが、片道40分以上の乗車にも関わらず、運賃は200円均一と安価に設定されており、運転本数も平日4往復と決して多くはないのですが、土休日でも減便ながら運行しているのは評価できるものです。
(会津地方では休日全面運休の路線も多く、喜多方~坂下などが該当します)
始発時の車内放送では高速バスなどを思わせる豪華なチャイムが流れる事や、福島県内の路線バスでは珍しい運賃前払い方式となっている点も注目で、それにも関わらず車内には次停留所名表示装置付で24コマの運賃表示器が設置されている辺りは、MAKIKYUの地元・横浜市内で多数走っており、本州最大規模を誇る某民営バスを連想してしまいますが、さすがに整理券発行器(某民営バスでは大半が均一・全系統が前払いの営業所でも、ご丁寧に運賃表示器と整理券発行器を装備したバスが多数走っています)は見当たらなかったものでした。
ちなみに西会津町のHPでは、専用回数券を購入して乗車する旨が案内されていますが、乗車の際に訪ねたら現金乗車も可能で、MAKIKYUは現金で乗車していますが、他の乗客は通学定期券の学生ばかり、通学バスに便乗している様な雰囲気を感じたものでした。
また野沢では町民バス以外の一般路線バスこそ運行していないものの、野沢営業所には高速バス用の古参観光型車両が1台在籍しており、このバスが野沢で見かけた唯一の会津バス塗装&緑ナンバーの車両でした。
この車両は1日2往復運行している会津若松~野沢間の高速バスに充当している模様で、同路線は普通運賃が600円(JR利用は740円)と安価に設定されており、定期券も通勤・通学共にJRより安くなっているなど、こちらも町民バスと共に運賃面で随分健闘している感があります。
ただ会津バスの会津若松周辺を走る一般路線は、若松~喜多方間を乗車しただけでも運賃は4桁に達し、野沢はおろか郡山までの高速バス運賃を越えてしまう程で、会津若松~喜多方間では、東京方面高速バス乗り継ぎの割引運賃適用と会津ぐるっとカード利用を除くと、列車の運転間隔が大幅に開く時間にどうしても両都市間を公共交通機関を利用して移動する必要があるケースを除くと、現行運賃では路線バスに通し乗車する乗客は殆どいないかと思います。
会津ぐるっとカードでも持ってないと、会津バスの一般路線は気軽に利用できる交通手段とは言い難いのが現状で、鉄道並行路線などを中心に今後上限運賃制を導入するか、高割引回数券・定期券の導入など、何らかのテコ入れを検討する余地は充分にあると感じたものでした。