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三宅島に試験就航した「セブンアイランド」~片道無料モニターも…

2012-07-03 | 船舶[日本国内]

今月18日と25~27日には、日頃東海汽船が大島などへ運航している高速船(ジェットフォイル)「セブンアイランド」が、試験的に三宅島まで運航しており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、ご存知の方が居られるかと思います。

三宅島までの高速船試験就航は、昨年も行われており、今年で2回目になりますが、三宅島は東京から180km程度しか離れていないにも関わらず、通常1日1便運航の東京(竹芝)~八丈島間を運航する大型客船では6時間以上を要し、東京発は夜行運航となっています。

1日1便運航している航空機(ANA)も、トラブル続出で悪評名高いボンバルディア製プロペラ機である上に、火山ガスの影響で空港閉鎖となる事も多く、欠航率が高く使い勝手が悪い事でも知られています。
(空を飛ぶのがダメなMAKIKYUの事ですので、ジェット機で欠航率が低いとしても、余程の事がない限り利用する気にはなれませんが…)

そのため三宅島は、距離の割には非常に足を伸ばし難い「近くて遠い島」になってしまっているのが現状で、大島やその先の新島・神津島方面への運航実績がある高速船「セブンアイランド」が三宅島に就航すれば、所要時間も大型客船の半分程度で済み、非常にアクセスしやすくなります。

 
試験運航は定期運航に向けたデータ収集的要素が大きいかと思いますが、この試験運航では三宅島行きの無料モニター(東京発片道のみで途中館山からの乗船も可・復路は自己負担)をHPでも募集しており、MAKIKYUもこのモニターに応募し、晴れてモニターに当選して東海汽船から通知が送られて来たものでした。
(MAKIKYUがこの手の応募に当選したのは、過去に交通系試乗では九州新幹線新八代~鹿児島中央間開業前の片道試乗当選(熊本~新八代間接続列車込み)があり、他には某大手私鉄の卓上カレンダー当選や、某大手飲料メーカーが主催する有名アーティストライブのペアチケット当選がありますが、どれも生活圏の首都圏とは異なる地域に関連したものばかりです)

HP無料モニター当選者は事前に乗船希望日こそ選べるものの、「往路欠航時は、東京・館山~大島までの無料モニターとなります」「復路欠航時に三宅島にいらっしゃる場合は、三宅島14:20発大型客船(20:30東京竹芝着)のご利用となります(2等7020円~をお求めください)」という条件付になっていました。

そのため往路で欠航となってしまい、大島で足止めされて三宅島に行けなくなる事(現在大島から三宅島へ直接向かう定期航路は存在しておらず、一旦東京へ戻るか、1日1便だけで定員が少なく、運賃も高額なヘリコプターを利用する事になり、非常に不便です)だけは…と思っていたのですが、MAKIKYUが往路で乗船した25日は、天候こそ決して良くはないものの、無事三宅島まで就航したものでした。

HP無料モニターとしての乗船だけあって、マル優印の押された¥0乗船券と共に、モニターアンケートの用紙(両面)が渡され、下船時までにご協力を…との事(アンケート用紙は船の出口付近にあるアンケート回収箱へ投函)で、この他に大島出航後も各乗客に対し、三宅島試験就航に関するアンケート依頼がありましたので、合計2枚のアンケートを船内で書く事になったものでした。


乗船日は途中寄港地の大島・岡田(Okata)港や目的地の三宅島・伊ヶ谷(Igaya)港では、「海況不良のため船が揺れますので…」という案内があり、艇走体制では船体がかなり大きく揺れていた他、翼走体制時も大島を過ぎてからはかなり大きく揺れる状況でした。
(写真は三宅島到着前の船内から撮影した、海上と三宅島の様子です)

条件付運航が常態化している利島が、セブンアイランドの「欠航確定」という、海上は時化とうねりで荒れている状況でしたので、アンケートを書いている途中で少々船酔い状態になり、下船後にも回答できる体制であれば…と感じたものでした。

アンケートの内容は、伊豆諸島や三宅島への訪問回数や乗船動機、、運賃や時刻設定、その他要望についてなどがあり、MAKIKYUとしては、「無料モニターとして乗船したが、定価で1万円を越える運賃は…」という印象がありますので、運賃は「高い」の項目を選んだものでした。

大島航路の一部で実施している久里浜寄港か、熱海発着(これらの航路と大島で相互接続を確保し、通し運賃で乗船可能な形態でも可)にして乗船時間・運賃両面でもう少し手頃感が出れば悪くないのでは…と感じたもので、この旨もアンケートにも記したものです。

ちなみに東海汽船の高速船「セブンアイランド」は「愛」「夢」「虹」というそれぞれ異なった名称と装いの3艘があり、MAKIKYUが5月に同社の高速船を利用して伊豆大島へ出向いた際には、往復共に「夢」に当たりましたので、出来れば他2艘のどちらかに…と思っていました。


どの船に当たるかは当日の配船状況次第で、東海汽船HPの運航状況を見ても、大型客船の様に船舶名が記される事もありませんので、実際に港へ足を運ばなければ…という状況ですが、出航地の竹芝桟橋へ足を運ぶと、今回の三宅島行きに充当されるのは「セブンアイランド 愛」で、ほぼ同時刻に東京(竹芝)を出航する神津島行きは「セブンアイランド 虹」が充当される旨が出ていました。


竹芝で乗船当日にモニター当選の無料引換証から引き換えた乗船券(乗船時と下船時に回収され、手元には残りません)にも「1240便愛」と記されていましたが、復路分は翌日で配船が確定しないのか、単に「ジェット船」とだけ記されている有様でした。
(実際には「愛」が充当された模様ですが、この便は大島~三宅島間が欠航になってしまい、残念ながら復路乗船券は無手数料払戻となりました)


5月に乗船した「セブンアイランド 夢」でなかったのは、少々嬉しいものでしたが、船内設備などは「愛」も「夢」と大差なく感じたもので、乗船時間も1時間程度の久里浜や熱海から大島へ向かう便なら問題ないレベルとは言えども、乗船時間がJR九州の国際航路「BEETLE」の福岡~釜山間(約3時間)を越える程(セブンアイランドの三宅島試験運航は、館山・大島と途中2箇所の寄港地があり、運航距離はBEETLEの福岡~釜山航路より短いです)にも関わらず、決して広いとは言い難いリクライニングなしの座席しか選択肢がないのは、本格運航となれば少々問題ありと感じます。


「セブンアイランド」の定期運航便では、寄港地到着前に「われは海の子」のメロディーに続いて案内放送が流れ、三宅島行きでも館山と大島到着時にはこの放送が流れたのですが、三宅島到着時にこの放送が流れなかったのも、試験就航ならではと感じたものでした。
(写真は通常ジェットフォイルが姿を見せる機会が限られる三宅島・伊ヶ谷港を出航する「セブンアイランド 愛」です)


また到着地となった三宅島の伊ヶ谷港は、漁港と僅かな集落以外には何もないと言っても過言ではなく、食料調達や島内バスへの接続なども芳しくない上に、MAKIKYUが帰路乗船予定だったジェットフォイルは欠航(他の試験運航日は全て就航した模様)になり、その場合は大島へ向かうのが極めて困難になるなど、運航体制にもまだまだ課題があると感じたものでした。

今後三宅島へのジェットフォイル本格運航を実施するとなると、改善点は山積していると言わざるを得ないのが実情で、神津島などの様に海の向こうに見える島へ直接向かう定期航路も整備されていない事を踏まえると、新路線として三宅島航路を運航するのではなく、既存の神津島航路延伸も検討した方が…と感じたものです。

今回のジェットフォイル試験運航実績を踏まえ、実際に定期就航に向けて動き出すのか否かも気になる所ですが、三宅島が首都圏からは大型客船とプロペラ機でしか行けない「近くて遠い島」ではなく、ジェットフォイル定期就航によってもっと身近に感じられる日が訪れれば…と感じたものでした。