今月MAKIKYUが韓国~中国へ足を運ぶ際には、お馴染みのJR九州高速船「BEETLE」と共同運航を行っている未来高速「KOBEE」を利用した事もあり、福岡(博多港)からの出国となったものでした。
出航時間が午後だった事もあり、福岡近郊を動き回る時間も確保できましたので、福北ゆたか線(篠栗線~筑豊本線)にも足を運んだものでした。
その際には今年春から同線で走り始めた新型車・817系2000番台にも乗車できましたので、取り上げたいと思います。
この車両は福北ゆたか線で活躍中の既存817系と外観は類似しており、勿論既存817系や813系電車との連結運転も行っていますが、単線でホーム長さも限られ、ラッシュ時間帯における輸送力増強も限界状態の同線におけるラッシュ対策として、収容力確保の為に座席をオールロングシートとしているのが最大の特徴です。
JR九州では既にオールロングシートの一般型車両として、熊本地区や大分地区で活躍している815系が存在しており、既存817系もデザインと客室設備を除くと、ほぼ815系と同様の車両と言えますので、今回オールロングシート車を敢えて817系として導入したのかは、少々不思議に感じます。
外観は既存817系と大差なく、やたらと大きい単色LEDによる種別・行先表示なども、最近のJR九州らしい雰囲気ですが、既存817系はアルミ地無塗装であるのに対し、2000番台では白塗りとなっているのが特徴で、両者が併結して運行している際などは、見比べると違いが明確です。
(写真も2000番台2両の前に、既存817系が連結された4両編成です)
また2000番台の車内はオールロングシートだけあって、革張りの転換式クロスシートが並ぶ既存817系とは大違いで、客室照明で今流行のLEDを採用している事も大きな特徴ですが、このLEDによる照明はデザインに拘るJR九州にしては、あまりデザイン面で意識していない様にも感じられたものです。
そして輸送力対策でオールロングシートなった座席は、木材を多用した某デザイナーの最近の流行が存分に感じられ、JR他社や大手私鉄の通勤型車両であればまず考えられない、JR九州らしい雰囲気に満ち溢れており、座席モケットの柄が幾つも存在する辺りも、デザイナーの遊び心が感じられます。
この座席はロングシートでありながらも背もたれが大きく、関西の某大手私鉄が混雑対策で特急車(特別料金不要)の一部座席をロングシート化した際に、クロスシートに負けない座席を…という事でハイバックタイプとして、「スーパーロングシート」と謳っている座席を連想させる造りとなっているのも大きな特徴です。
しかしながら木製ベンチの座面と枕部分にだけクッションを取り付けた格好の座席は、腰掛けた際に背もたれの腰に当たる部分にクッションがなく、しかも湾曲してせり出す形状になっており、個人的には木製の背もたれが腰に当たり、着座している際に少々違和感がありましたので、混雑対策でオールロングシートにしている事と合わせ、この新車は賛否両論が大きく分かれる様です。
個人的にも乗車した博多~篠栗間位ならまだしも、筑豊方面からの通勤で博多まで1時間程度この座席に座り続けるとなると、やや厳しい「痛勤」になってしまうのでは…と感じ、関西の某大手私鉄が導入している「スーパーロングシート」と比べると、見栄えはともかく、実際に乗車した際の座り心地は、随分見劣りが否めないと感じたものでした。
(それでも首都圏の標準軌某大手私鉄が最近導入している「ブカブカ」した座席などに比べれば、個人的には程度はずっと良いと感じていますが…)
無理にハイバックタイプに拘るよりは、これならローバックタイプでも腰部分にクッションが付いた座席の方が…と感じ、他車種と併結編成で運行している列車で双方に空席がある場合、MAKIKYUは転換式クロスシートか813系中間車(ロングシート)の方を選びたいと感じてしまったものです。
今後も福北ゆたか線の混雑対策でロングシート車が導入される場合、この座席の車両が増殖するのか否かも気になる所で、福北ゆたか線は特急バスなどとの競合もありますので、JR側がこの点もどれだけ意識しているのか気になります。
この他に3両編成の同種車両も、少数ながら鹿児島本線などで活躍しており、乗車機会こそなかったものの、活躍する姿を目撃したものでしたが、既存813系と共通運用で快速などに充当し、たまたまロングシート車だけで構成される編成が組みあがった場合、個人的には長時間乗車は少々厳しいのでは…と感じたものです。