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龍仁軽電鉄(1)~車両編

2014-03-13 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

MAKIKYUが12月に韓国へ足を運んだ際には、ソウル近郊で幾つかの新規開業した鉄道路線・区間に乗車する機会がありましたが、その一つが今日取り上げる龍仁(Yongin)Ever Lineです。

龍仁軽電鉄は最近韓国の都市部で開業が相次ぐ軽電鉄の一つで、軽電鉄は英訳するとLight railですが、LRTをはじめとする路面電車の類ではなく、日本流に言えば新交通システムに相当する軌道系交通機関です。

龍仁Ever Lineは名前の通りソウル南郊の龍仁市内を運行しており、KORAIL広域電鉄盆唐線と接続する器興(Gifung)を起点に、前垈(Jeondae)・Everland駅までの約18kmを結んでいます。

ソウル郊外の通勤通学路線としての色彩が強い路線ですが、終点の前垈・Everland駅近くにあり、韓国有数の遊園地として知られるエバーランドへのアクセス路線にもなっており、龍仁Ever Lineという愛称名もあります。

軽電鉄の中では比較的早期に建設が進み、MAKIKYUは韓国初の軽電鉄として開業するのでは…と思っていた程ですが、運営経費負担の問題などで開業は先延ばしとなり、昨年春にようやく営業運転開始しています。

龍仁Ever Lineは、韓国では4番目に開業した軽電鉄になるのですが、釜山2路線と議政府の1路線はどれも異なる方式の軽電鉄となっており、龍仁Ever Lineはこれら3路線とも異なる方式を採用しています。

韓国では軽電鉄がまだ4路線しか存在しないにも関わらず、そのどれもが異なるというのは、趣味的には非常に面白いものの、今後各地で軽電鉄を普及・維持していく際に差し支えないのか気になる所です。

ちなみに龍仁で活躍する車両は、世界3大鉄道車両メーカーの一つとも言われるボンバルディアが開発した「ART」と呼ばれる車両を用いており、丸っこい前面形状などは見るからに異国の交通機関という印象を受けます。

設備的にはリニア地下鉄の地上区間を、駅設備などを小規模にして無人全自動運転化した路線と言う雰囲気で、軽電鉄ながらも2本のレールが敷設されている辺りは、釜山の釜山・金海軽電鉄とも共通します。


釜山・金海軽電鉄は2両編成での運行なのに対し、龍仁Ever Lineは現在単行運転ですので、釜山・金海軽電鉄でも設備過剰な印象を受けるのですが、こちらは尚の事という気がします。

車両内に足を踏み入れると、短距離の通勤通学路線だけあってか、設備的には実用本位なオールロングシートで、立席空間を広く取った設計となっており、車体幅が広い割には車高が低く、客ドアも広めに確保されているため、少々扁平な印象を受けます。


座席がステンレス製となっている辺りは、モケットが張られた座席に馴染んだ日本人の目で見ると、少々違和感を感じますが、乗車時間が比較的短い事を考えると、まあ許容範囲といった所かと思います。
(韓国ではソウル市内や近郊を運行する地下鉄車両の一部でも、難燃化改造の際にステンレス製座席に取り替えられた車両が存在しています)

荷棚やつり革が設置されていない辺りも、如何にも異国の交通機関と感じる所で、全体的に簡素な印象が強い車両ですが、韓国の都市鉄道車両における化粧板は、無地でシンプルな印象のモノが大半を占めている中で、この車両は柄入りとなっている点も特徴的と感じます。

無人全自動運転の車両だけあり、当然ながら前面展望は良好な部類に入りますが、前面形状が丸みを帯びており、車体幅の割にガラスが小さめな事もあり、座席に座ったまま前面展望を楽しむにはやや難有りです。


折り畳み椅子でも持ち込んで乗車(さすがにこの列車に乗車するためだけに、わざわざ異国から折り畳み椅子を持ち込むのは大袈裟過ぎますが…)したいと思ってしまう造りなのは少々惜しい所で、車両片側は車椅子スペース確保のため、座席が片側にしか設けられていないのも特徴です。


また新規開業した都市鉄道で、他路線とは互換性がないシステムを採用した独立線区の場合、どうしても車両バラエティと言う面では既存路線に比べると見劣りが否めないものですが、龍仁Ever Lineは特殊塗装車が多数走っており、カラーバリエーションと言う点では、新路線にしてはかなり充実した部類に入るのも特徴です。

 
標準塗装車を探す方がむしろ…と感じてしまう程で、僅か18km程度の路線でよくここまで様々な装いの車両を走らせていると感心する程ですが、特殊塗装車でも車内の内装などは特に変化が見られないのは惜しい限りで、こちらも何らかの工夫があれば…と感じたものでした。

駅設備などに関しては、近日中に続編記事で取り上げたいと思います。



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