先日「MAKIKYUのページ」では、大井川鐵道で運行している京阪旧3000系譲渡車に関して取り上げましたが、先月MAKIKYUが大井川鐵道沿線へ足を運んだ際には、同社路線バスにも初めて乗車する機会がありました。
同社路線バスはかつて、大井川本線の起点となる金谷近隣でも運行していた様ですが、現在は千頭駅を起点に運行する2路線のみとなっており、土地柄や運行本数などを考えると、有名な事業者の割には、乗り難い存在と言えます。
現在運行している路線は、千頭駅~奥泉駅~寸又峡温泉間の路線がメインで、他に近年運行開始した千頭駅~奥泉駅~閑蔵駅間の路線が存在します。
MAKIKYUが乗車したのは後者の方で、井川線乗車の際にこの路線バスと組み合わせると、往復で異なるルートが楽しめるほか、時間短縮にもなるなど、井川線を利用する際には、同線と組み合わせての利用価値が高い路線です。
どんな車両がやってくるかも気になっていたのですが、出没したのは中型ロングのノンステップバス、それも日野レインボーHRだったのは予想外で、大井川鐵道の路線バスと言うと三菱ふそう製車両の印象が強く、意外に感じたものでした。
ただ名鉄グループでは以前から一部を除き、三菱ふそう製車両の導入比率が高いものの、最近では名鉄バスなどで日野車の導入も進むなど、以前とは傾向が変わってきています。
そのため一応名鉄グループに属する大井川鐵道に日野車が導入されるのも、ありえない話ではないのですが、この車両も年式的には決して古くなく、大都市圏排ガス規制で継続使用不可となる車両ではないものの、名鉄バスからの転出車両で、この手の車両がもう名鉄バスから放出されるというのは、少々驚きに感じます。
(事業廃止による余剰などでなくても、同程度の車両が淡路交通→神姫バスに移籍する事例などもありますので、全くありえない話ではないのですが…)
名鉄グループ内での移籍と言う事もあってか、外見はは名鉄バスそのもので、社名だけ書き換えた状況になっているのですが、車内に足を踏み入れると、こちらも名鉄バス表記のある乗務員氏名札挿しがそのまま残っている状況でした。
座席カバーにも「MEITETSU BUS」と書かれたものが用いられており、運転席付近には名鉄バス名古屋営業所の名前が書かれた注意表記まで見受けられるなど、如何にも名鉄バスから移ってきた車両である事をアピールしているかの様に感じられる程で、いくら系列事業者間移籍とは言えども、ここまで元事業者仕様そのままというのは珍しく感じる程で、鉄道と同様にバスも前事業者の姿を敢えて残す形で動態保存を目論んでいるのでは?と感じてしまう程です。
ただ2列席主体でやや座席数が多く、首都圏などで活躍する同車種の大半などよりはマシとはいえども、車両自体が基本的に都市型仕様ですので、この車両が一日に指の数の便数もない山深くを走るのは少々違和感を感じます。
路線特性を踏まえれば、既存トップドア車の方が座席数が確保でき、観光・高速バス車両でも…と感じる程ですが、車椅子対応などのバリアフリー対策を進める上では、この手の車両も必要になりますので、数台程度はあっても良い気もします。
しかしながらこの車両の前面行先表示が固定タイプになっており、基本的には閑蔵線専用車状態になっているというのは、車椅子利用者などの要望があれば、どの路線にでもバリアフリー対応車を入れられる体制を整える事を考慮していない様にも感じられ、余り感心できない気もします。
ちなみに大井川鐵道の一般路線は2路線のみ、ワンマン設備も整理券発行機や自動両替機能付運賃箱が備えられている程度で、音声合成による車内放送や、デジタル運賃表示器の設置がないなど、離島や山村など過疎地域の町村営バスを連想させる簡素かつ最低限といった装備のみとなっており、鉄道系バスにしては異色と感じる程です。
音声合成や運賃設定などの関係で、使用車両を限定しなくてはいけない状況でない事を踏まえると、わざわざ前面に閑蔵系統の固定表示を出す位なら、この部分は白幕か社名表示にでもした上で、プレート等で行先や路線名を掲出し、寸又峡方面にも充当できる方が…と感じたものですが、こんな事を感じるのはMAKIKYUだけでしょうか?
(この状態で行先表示などを示す紙などを貼り、仮に寸又峡方面の便に充当する位ならば、前面の固定表示はない方が良い状況になり
ますので…)