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「MAKIKYUのページ」では先日、開通したばかりの仙台空港アクセス線で活躍するE721系電車(500番台・SAT721系)に関する記事を取り上げましたが、そうなると同系の大半を占める0番台は…と思われている方も居られる様ですので、今日はE721系の0番台車を取り上げたいと思います。
この車両は新線開通に伴って増備された空港アクセス用車両とは異なり、仙台地区で国鉄時代から活躍していて老朽化が進行し、元が急行形であるが故に2扉でそれも両端に寄った配置が幸いして混雑や遅延の要因にもなっている455系と呼ばれる旧型車両などの代替に製造された車両で、仕様は車端部の荷物置場が設置されていない事を除くと設備面でも空港アクセス用車両とは大差ありません。
セミクロスシートの車内は内装の化粧板も白木の木目入りとなっており、これは近年JR東日本が多数導入している低コスト形一般車両の中では少々高級感を感じるものですので、これは他形式にも波及させて欲しい気がしますが、MAKIKYUが乗車した感触としては他にも走行音(特に100km程度の高速走行時)も以前仙台地区に導入された通勤型車両に比べて低減されている様に感じますので、低コスト型車両にしては出来栄えも悪くない気がします。
ただドア内側は金属地剥き出しに黄色のカラーテープが張られた仕様となっており、同様の仕様となっているE531系では早くもカラーテープが剥れかかり、惨めな状況になっている姿を何度も目撃していますので、この点はやはり最近登場し、ドア内側全体を黄色としたキハE130系に比べると見劣りする感が否めませんし、床面を低くした上につり革の長さも短め(最近JR東日本で流行している、真っ黒で持ち難い異様な物でないのは良いのですが…)でつり革を吊っている支えがかなり長くなり目立ちますので、欲を言うなら車内の見付けも一工夫が欲しかった気がします。
塗装は仙台地区で多数が活躍している既存の719系や701系と呼ばれるステンレス製車両と同様の緑と赤帯を纏ったものになっており、編成は1編成2両のみでの運行をはじめ、2~4編成を連結した4~8両編成で運行される事も多く、また701系との連結運転も可能な仕様になっている様ですが、現状では営業運転での701系との併結は行われていない様です。
またワンマン運転に対応可能な設計で自動放送装置も設置されていますが、ワンマン機器の設置は見送られていますので、まだまだ本領発揮には至っていない様な印象を受けますが、まだまだ増備されて結構な勢力になる様ですので、今後の展開に期待したいものです。
ただE721系の勢力拡大の影では、旧型の455系だけでなく、国鉄末期に少数が製造された417系などのまだまだ使えそうな車両も退役を余儀なくされる様ですので、この車両の退役は少々惜しい気がします(JR他社では455系とほぼ同等の交直両用車が主力となり、更に状態の悪い車両もゴロゴロ走っているエリアがありますので…)し、旧型車両では3両編成で運行していた列車が車両取替えで2両編成に減車となるなど、乗降性は改善されても混雑が激しくなるのは問題ありと感じているのはMAKIKYUだけでしょうか?
500番台と0番台は意外と両者の差異が小さいですが、後者は結構長距離を走る列車にも充当されますので、これがオールロングシートにならなかったのは幸いですね。
ただ前者は運行距離も短い空港アクセス専用ですし、昼間時間帯は2両編成という短編成で運行される事が多く、JR線内や杜せきのした駅利用客(駅とダイヤモンドシティエアリ=大型ショッピングセンターが直結)で混雑も激しい状況ですし、JR線内の運行本数も大幅な増加は見込めませんので、短編成で運行する事が常態化するのであれば、むしろこれをロングシート車として作り分けしても良かったのではという気がします。
またこの車両の内装も化粧板などはかなり評価できる気がしますが、つり革の配列や前面展望などは先代の701系の方が良い気もしますし、一長一短という気がします。
(それでも総合評価は、E721系の方が上出来な気がしますが…)