先日「MAKIKYUのページ」では、伊予鉄道の郊外線で活躍する3000系電車に関して取り上げましたが、1月にMAKIKYUが郡中港(JR伊予市駅に近接)から伊予鉄道に乗車した際には、JR四国の「四国再発見早トクきっぷ」を所持していた事もあり、松山市内から伊予市までの片道は、JR線の普通列車を利用したものでした。
その際に乗車した車両がキハ32形気動車で、同系は国鉄末期の分割民営化直前に、JR化後の運営状況などを懸案し、置き土産的に導入された車両ですので、車齢は25年を越えており、意外と新しそうに感じるこの形式も、JR四国の中ではベテランの部類に入ります。
JRグループの旅客車両各形式の中で、最も小柄な旅客車両としても知られており、非力故に勾配線区での使用にはやや難がある様で、同系が主力として活躍する予土線においても、有名なトロッコ車両を牽引する列車へは充当されず、他形式車両を充当している程です。
ローカル輸送用に製造された車両ですので、全体的に簡素な作りとなっているのも特徴ですが、それでも第3セクター鉄道などに導入されたレールバスに比べれば乗り心地も良く、運転台周りの雰囲気などは今日のJRにおける新鋭車両とは異なり、国鉄車両の重厚な雰囲気が色濃く感じられます。
座席はほぼ同時期に四国に導入された別形式の軽快気動車や、JR化後にJR西日本の閑散線区に導入された軽快気動車の様な「超硬」ではなく、一般的な座り心地を誇るのも評価できる所ですが、オールロングシートでおまけにトイレなしですので、20~30分程度の乗車なら充分許容範囲ですが、2時間以上の長時間走破列車などでは少々辛いかもしれません。
(実際に2時間以上走る列車での充当も数多く存在しているのですが…)
また松山~伊予市間は愛媛県の県庁所在地・松山市の都市圏輸送区間と言っても過言ではなく、沿線人口などもそれなりにあるはずですが、それにも関わらずMAKIKYUが乗車した列車の一つ前は、普通列車の運転間隔が1時間以上も開いている有様でした。
MAKIKYUが乗車した列車以外でも、この区間で運転間隔が1時間程度と言うのは当り前で、それにも関わらず県庁所在地の都市圏で、この小柄な車両が1両だけで足りてしまうのは…とも感じたものです。
(ちなみに伊予鉄道郡中線は、松山市~郡中港間を2~3両編成の電車が昼間15分間隔で運行しています)
おまけにJR松山駅も設備的には貧弱さが否めず、未だに自動改札機の設置も行われていない程(松山市内には四国初の自動改札機設置駅も存在しているのですが…)で、伊予鉄道グループが健闘しているからこそ、JRが貧弱な設備や輸送レベルでも松山都市圏の公共交通は何とかなっているのでは…と感じたもので、松山周辺は特急による都市間輸送だけでなく、都市圏輸送にもテコ入れが必要なのでは…と感じてしまったものでした。
キハ32形はオールロングシートである上にトイレなしで、おまけにJRグループの旅客車両では最も小さい車両ですので、収容力の面でも難ありで、混雑時や長時間乗車となる際には余り乗りたくない車両ですね。
ただほぼ同時期に四国に導入されたキハ54形に比べると、座席の座り心地の面ではまだ良好(というよりもキハ54形が酷過ぎるだけですが…)なのは、せめてもの救いと言う気がします。
またキハ32形は予土線でも頻繁に運用されますが、同線は普通列車のみの運行となっており、予讃線の様に特急料金を支払ってでも快適な車両に…という選択肢がなく、今日では否応なしにキハ32形か54形に乗るしかない状況ですので、せっかく風光明媚な四万十川の車窓を楽しめる路線ながらも、運用車両のお陰で魅力半減と感じてしまうのは頂けないですね。
1500系や1000系などの新系列DCは、ブレーキ方式の相違などもあり、予土線での運用は難しいかと思いますが、せめてキハ40形を充当する列車でも走らせれば…と感じてしまうものです。